Geminiを業務で活用する企業が増える一方で、
中小企業から最も多く寄せられる質問は、実は 「情報漏洩が心配です…」 という声です。
- 社員が誤って顧客リストを貼り付けてしまった
- 提案書の一部をそのままGeminiに入力してしまった
- 無料版Geminiを業務に使っている
- 社内共有リンクを誤って外部公開に設定していた
こうしたリスクは、決して“大企業だけの問題”ではありません。
むしろ、 情シスがいない/兼務が多い/ルール整備が後回しになりがち という中小企業こそ、情報漏洩が起きやすい構造を抱えています。
重要なのは、 「Geminiが危険」なのではなく、“使い方を間違えると危険” という事実です。
Google Workspace版Geminiは非常に安全性の高いAIですが、 人的ミスやルールの不備があれば、どんなに優れたツールでも情報漏洩は起こりえます。
では何を理解し、どこから整備すれば、 社員が安心してGeminiを使い、情報漏洩を防ぎながら業務効率化できるのか?
本記事では、
- 中小企業に特有の情報漏洩リスク
- 絶対に知っておくべきNG入力例
- 最初に整えるべき設定と社内ルール
- 大企業とは違う“中小企業向けの対策の優先順位”
- 情報漏洩を防ぐための社員教育・運用フローの作り方
まで、実務レベルで体系的にまとめました。
「何を入力してよくて、何がダメなのか」
「社員に何を説明し、どう徹底させればいいのか」
その疑問がすべて解消できる内容になっています。
まずは、中小企業が理解すべき “Geminiの情報漏洩リスクの本質” から解説します。
- なぜ今、中小企業こそ「Geminiによる情報漏洩リスク」を理解すべきなのか
- 中小企業が絶対に理解すべき|Gemini利用時の情報漏洩リスクの正体
- 絶対にやってはいけない入力例|“入力NG”を明確化する
- すぐできる・絶対やるべき|安全に使うための初期設定チェックリスト
- 社員に徹底すべき“情報漏洩しない利用ルール”10選(最大の差別化ポイント)
- 報漏洩を防ぐための「社内教育・研修」の作り方
- 1時間でできる“セキュリティ研修”の構成案(中小企業でも即実行)
- 社内展開のステップ(情シス不在でも運用できる)
- 情報漏洩を未然に防ぐ“社内ルールセット”テンプレ
- まとめ|正しい理解と運用で、Geminiは中小企業の“強力な武器”になる
なぜ今、中小企業こそ「Geminiによる情報漏洩リスク」を理解すべきなのか
生成AIの活用が広がる中で、中小企業が最も不安に感じているのが 「情報漏洩のリスク」です。特にGeminiはGoogle Workspaceと連携して使われるケースが多いため、日常業務の中で自然と社内情報が扱われるシーンが増えています。
しかし、結論から言えば——
Gemini自体は、法人向けでは非常に高い安全性を持つAIです。
それでも“情報漏洩が起きる可能性が残る”のは、システムの問題ではなく 運用の問題(人的ミス) によるものです。
まずは、この構造を正しく理解することが必要です。
まず前提:Gemini自体は高い安全性を持つ
Google Workspace版のGeminiは、以下のように企業向けの高い保護構造が確保されています。
- 入力データはモデルの学習に利用されない
- ビジネスアカウントは企業内の管理者権限で制御可能
- Drive・Mail・Calendarのデータは強固な暗号化で保護
- 利用ログの管理やアクセス制限が可能
つまり、“正しく使っている限り” Geminiそのものがデータを外部に流すことはありません。
他社記事もここまでは触れていますが—— 安全なのは「設定」と「使い方」が正しい場合だけです。
それでも“漏洩リスクは残る”理由=9割が「人的ミス」
情報漏洩の原因のほとんどは、システムの脆弱性ではありません。
中小企業で起きているトラブルの大半は 人の操作によるミス が引き金です。
例:
- 間違って顧客リストを全文貼り付けてしまう
- 社内資料をまるごと入力してしまう
- 外部共有してはいけないはずのDriveリンクが誤って公開範囲に
- 社員が無料版Geminiを業務利用してしまう
- 退職者がアクセスできるアカウントが残っている
競合の記事は「設定ミス」「共有ミス」などは触れているものの、 なぜヒューマンエラーが起きやすいのかという“構造”まで踏み込んでいません。
中小企業で人的ミスが多発するのは、次の3つの背景が重なっているためです。
中小企業が特に危険な3つの構造的要因
① 人が少なくチェック体制が甘い
- 情シス部門が存在しない
- 誰が管理者なのか曖昧
- 二重チェック文化がない
- 属人化したやり方が横行している
→ 「誰も気づかないうちに漏れる」環境が生まれやすい。
② 情報管理ルールが属人化している
- 明文化されたAI利用ルールがない
- 部署ごとにルールが違う
- そもそも“入力してはいけない情報”が共有されていない
→ 結果、「知らなかったので入力してしまった」が発生する。
③ 無料版Geminiの使い方に対する理解不足
- 業務で無料版を使ってはいけない理由が知られていない
- 学習データとして扱われるリスクが理解されていない
- 個人アカウントと仕事アカウントが混在しがち
→ 「無料版に社内データを貼ってしまう」が最も危険なパターン。
機密情報を入れてしまう“典型的な誤入力パターン”
競合記事がほぼ書けていない部分ですが、 実際のサポート現場でよく見る “誤入力あるある” は次の通りです。
- 顧客エクセルファイルの中身を丸ごと貼り付け
- Slackの会話をそのままコピペ
- 社内マニュアルの全文を入力
- 見積書・契約書のPDFをアップロード
- 特定顧客のトラブル文面をGeminiに貼り付けて“返信案”を作成
- 部署や個人名を伏せずに入力
これは悪意ではなく、 「どこまで入力していいか分からない」状態のままAIが導入されるために起きています。
Geminiを業務に活用すれば、資料作成や分析の生産性が大幅に向上します。
しかし、生産性を上げるためにAIを使う以上、安全性への理解は避けて通れません。
生産性向上の流れの中でAI活用が必須になっていくからこそ、 同時に「情報漏洩を防ぐ運用ルール」の整備が欠かせないのです。
中小企業が絶対に理解すべき|Gemini利用時の情報漏洩リスクの正体
GeminiはGoogle Workspaceの高度なセキュリティ基盤上に構築されており、 AIそのものが勝手に情報を外部に送信することはありません。
それでも、情報漏洩は起こり得ます。
そしてその多くは “技術ではなく運用ミス” によって起きています。
ここでは、競合記事が扱っているリスクを網羅しつつ、 “中小企業だからこそ注意すべき追加リスク” を深掘りして解説します。
リスク①:無料版利用による“学習データ化”の可能性
無料版Gemini(個人アカウント)は、入力内容がモデル改善に使われる場合があります。
中小企業で非常に多い誤解は「社員が勝手に個人アカウントで使っている」ケース。
- 自宅パソコンの個人Gmail
- スマホの個人アカウント
- 仕事用PCで個人アカウントがログイン状態
- Geminiアプリが個人アカウントに紐づいている
この状態で業務データを入力すると、漏洩リスクが急激に高まります。
多くの中小企業で起きる“最初の失敗”がここです。
リスク②:Drive・Sheets・メールなど周辺サービスからの“拡散リスク”
TSクラウドの記事でも触れられていますが、 中小企業ではさらに深刻な問題があります。
Geminiは以下のデータを参照して処理します。
- Google Drive
- Google Sheets
- Gmail
- Google Docs
ここで起きる典型的な事故は、
- 「社外秘」のフォルダが“全社員閲覧可”になっている
- 必要のない人にメールスレッドが見えている
- Driveリンクが「リンクを知っている全員:閲覧可」になっている
- Sheetsの共有が外部にも開放されている
Geminiはこれらのデータを「利用者が閲覧可能な範囲」で扱うため、 権限設定ミス=漏洩リスクの直結ポイントです。
リスク③:権限設定ミス・共有リンク漏洩
SoftBankの記事でも指摘されていますが、 特に中小企業では「共有リンクの管理」が最も甘くなりがちです。
- 提案書のリンクが“全員に公開”のまま
- 社員が無意識に「リンクを知っている全員に公開」を選んでしまう
- 一時的に共有したファイルが永続的に公開状態
- 外部から社員の名前を推測してアクセスされる可能性
さらに問題なのが、 GeminiがDriveの内容を要約・整理することで、気づかないまま機密情報が他のアウトプットに含まれるリスクがある点。
設定を誤った状態で使うほど、リスクは大きくなります。
リスク④:業務委託・外部パートナーへの漏洩(競合未掲載)
競合記事がほとんど触れていないが、実務では深刻な問題です。
中小企業は以下が一般的
- デザインやシステムを外部業者に委託
- 業務委託者にDriveのフォルダを丸ごと共有
- 業務委託者がGeminiを使って社内データを加工
- 契約でAI利用を禁止していない
結果として、「外部委託者のGemini入力 → 外部アカウントから漏洩」というパターンが十分に起こり得ます。
AI利用ガイドラインがない企業ほど、このリスクは高くなります。
リスク⑤:内部不正/退職者によるデータ持ち出し
AI時代の情報漏洩は、従来よりも“痕跡が残りにくい”ことが特徴です。
退職者が
- 社内のDriveデータをコピー
- Geminiで要約して個人PCに保存
- Geminiの出力データだけを持ち出す
- 個人アカウントで再生成して再利用
という動きは、管理者が気づきにくい構造です。
中小企業はアカウント管理やアクセス停止が遅れがちなので、 退職時のフロー整備は必須です。
絶対にやってはいけない入力例|“入力NG”を明確化する
最も検索ニーズが強いのが、 「結局、何を入力してはいけないのか?」 という疑問。
競合記事は文章で書いているだけですが、 AI経営総研の記事では “表形式で視覚的に理解できる構成” にすることで保存率を高めます。
【Geminiに入力してはいけない情報一覧】
| NG入力カテゴリ | 具体例 | 理由(漏洩リスク) |
| 財務データ | 売上・利益・原価、決算資料 | 経営情報の外部流出につながる |
| 顧客情報 | 氏名・住所・メール・購入履歴 | 個人情報保護法違反のリスク |
| 契約関連 | 取引条件、契約書全文、見積書 | 競合への情報流出/交渉力低下 |
| 社員情報 | 給与、人事評価、退職理由 | 労務トラブル・内部不正の温床 |
| 開発情報 | 図面、仕様書、ソースコード | 技術流出・模倣リスク |
| チャット文面 | SlackやLINEの会話 | 誤爆最多/社内の生情報が含まれやすい |
すぐできる・絶対やるべき|安全に使うための初期設定チェックリスト
情報漏洩を防ぐために必要なのは、難しい専門知識ではありません。
「最初にやるべき設定」を漏れなく整えるだけで、リスクの8割は減ります。
しかし──
競合記事は「Google Workspace の一般的な設定」を並べるだけで、 中小企業が実務として“何をどこまで設定すべきか” が抜けています。
ここでは 中小企業が最短で安全運用に移行するための設定を厳選 し、 “チェックリスト形式”でまとめました。
管理者(情シス不在でもOK)で絶対にやるべき設定
✔ データ学習OFF(Geminiの設定)
- Workspace版はデフォルトで学習されないが、念のため確認
- 個別ユーザーに勝手に権限が付与されないよう管理
✔ 外部共有の制限
- 「外部のユーザーと共有を許可しない」に設定
- どうしても必要な場合は事前承認制にする
✔ Google Driveのドメイン制限
- 外部ドメインとの共有を制限
- 業務委託者は “専用アカウント” を発行し、個人アカウント禁止
✔ ユーザーごとのアクセス権限を最適化
- 経理情報 → 経理チームのみ
- 顧客情報 → 営業チームのみ
利用者側で設定すべき安全対策
✔ 履歴管理
- Geminiの履歴をONにしておく(誤操作が追える)
✔ 端末管理
- 私用PC・私用スマホでの業務利用を禁止
- 端末紛失時にGoogleアカウントをリモート削除
✔ 2段階認証の徹底
- これをやる企業は実はかなり少ない
- 情報漏洩リスクが一気に下がる
Drive共有ルール(中小企業で最も事故が多い)
✔ デフォルト設定を「組織内のみ閲覧可」に統一
✔ “リンクを知っている全員” を選択できないよう制限
✔ 社内でもフォルダ権限は最小化
✔ 共有期限(30日など)を設定して自動解除
セキュリティポリシーの文書化
設定だけでは安全になりません。
「何をしてはいけないか」を文章化し、共有することが必須です。
文書化する項目例
- AI利用時のNG情報
- 無料版の業務利用禁止
- プロンプトの管理方法
- 誤入力時の報告フロー
- 業務委託者の利用ルール
中小企業は“暗黙の了解”で運用されがちですが、 AI運用で暗黙は最も危険です。
社員に徹底すべき“情報漏洩しない利用ルール”10選(最大の差別化ポイント)
競合記事でも「AIの利用ルール」は書かれていますが、 粒度が粗く、実務でどう徹底するかが書かれていない のが大きな弱点です。
ここでは、中小企業が 今日から社内に展開できるレベル で 具体的に落とし込みました。
ルール①:機密情報は入力しない(判断基準を明確化)
- 顧客情報
- 社員情報
- 財務情報
- 契約内容
- 技術情報(仕様書・図面)
「迷ったら入力しない」を徹底する。
ルール②:無料版を業務利用しない
無料版=データ学習される可能性
業務利用は絶対NG。
ルール③:Drive・Sheetsの権限を毎月棚卸し
- 閲覧権限の棚卸し
- 外部共有の棚卸し
- 不要ファイルの削除
- 共有期限の管理
権限管理は「やったつもりが最も危険」。
ルール④:AIの回答を鵜呑みにしない
- 外部に送る前に必ず内容チェック
- 事実と推測をAIに明示させる
- 社外秘情報が混ざっていないか確認
ルール⑤:生成文を社外送付する前に必ずチェック
最も事故が多いのは「AIに作らせた文面のそのまま送信」。
- 誤情報
- 内部情報
- 意図しない表現
が混ざっている可能性がある。
ルール⑥:社内レビューを必ず通す
1人で判断させない。
レビュー文化(ダブルチェック)を作ると漏洩率が大幅に下がる
ルール⑦:退職者のアカウント管理
- 退職日に必ずアカウント停止
- Driveアクセスの削除
- 個人端末のログアウト確認
退職者リスクは中小企業で最も見落とされる。
ルール⑧:業務委託者のAI利用ガイドラインを作成
- 個人アカウント禁止
- Driveの共有フォルダは最小限
- 契約書にAI利用ルールを追記
競合記事が触れていない重要ポイント。
ルール⑨:プロンプトの保存ルール(意図せぬ保管リスク)
Geminiの履歴には過去の会話が残る。
これが “社外秘が履歴に残る” リスクを生む。
- 履歴の削除ルール
- 機密情報を含むプロンプトを残さない
- プロンプト台帳はDriveで統一管理
ルール⑩:誤入力をした場合の対応フロー(報告ルート)
誤入力はゼロにできない。 だからこそ 即対応が最重要。
例:
- 上司/管理者に即時連絡
- プロンプト履歴の削除
- Driveの共有設定の見直し
- 事象を管理表に記録
- 必要なら外部通知(顧客・委託先)
“誤入力を隠す文化” が最も危険であり、中小企業ほど起こりやすい。
報漏洩を防ぐための「社内教育・研修」の作り方
生成AIの情報漏洩リスクは、 「ルールを作ること」ではなく「社員が再現できる状態にすること」 で初めて下がります。
しかし現場では、
- ルールは配布したのに守られない
- NG情報を“理解したつもり”になっている
- 正しい使い方を“見たことがない”
- 無料版利用の危険性を知らない
- そもそも「何が危険か」を認識していない
という状態が非常に多く、 結果として人的ミスが繰り返されます。
結論、 中小企業こそ「社内研修」が必須です。
なぜ研修なしでは抜け漏れが減らないのか
人的ミスは「知っているつもり」で起きる
社員の多くは「なんとなく気をつけている」つもりでも、 実際には“何を入力してはいけないか”を明確に理解していません。
Geminiの画面を前にすると、 業務の続きをそのまま貼り付けてしまうのが人間の行動パターンです。
正解例/失敗例を見ないと再現できない
AI活用に不慣れな社員にとって、
- どれがNG?
- どんな場合に漏洩する?
- 正しい入力はどう書く?
といった判断は、 「文章説明」だけでは理解できません。
実際にNG例と正解例を見比べ、
「こういう時は絶対に入力してはダメ」
「この形なら安全に利用できる」
という“判断スキル”を身につけてもらう必要があります。
1時間でできる“セキュリティ研修”の構成案(中小企業でも即実行)
研修といっても、難しい内容は不要です。
1時間の短時間で“実務に必要な知識だけ”を身につけられる構成 をAI経営総研が設計しました。
① Geminiの仕組み(15分)
- 無料版と有料版の違い
- 入力データがどこに保存されるのか
- どこまで安全か/何が危険か
- なぜ無料版は業務利用NGなのか
ここを理解するだけで、無意識の誤入力が劇的に減ります。
② NG入力例(10分)
- 顧客データ
- 契約内容
- 仕様書
- Slackの誤爆例
- 実際に起きたインシデント例
“判断基準”を共有する最重要パート。
③ 利用ルールの説明(10分)
- 無料版は禁止
- 外部共有の制限
- プロンプト履歴の取り扱い
- 誤入力時の報告フロー
④ 演習(OK/NG分類ワーク)(15分)
10個の事例を提示し、
- これはOK?NG?
- なぜNGなのか?
- どう書けば安全か?
をグループで判断する形式。 “自分で判断する力”がつく。
⑤ チェックリスト記入(10分)
- ルール理解度チェック
- 個人ごとの利用状況
- 今後改善したいポイント
研修後に 「やるべきことが明確になる」 ため、効果が定着しやすい。
社内展開のステップ(情シス不在でも運用できる)
中小企業のために、最も現実的な展開方法だけを残しました。
ステップ1:研修の実施(1時間)
社員の“誤入力の芽”を一気に摘む。
ステップ2:社内ポリシーを作成(研修内容を文書化)
- NG情報一覧
- 利用ルール
- 誤入力時のフロー
- Drive共有ルール
文章化したら、全員に共有&Driveに固定化。
ステップ3:定着チェック(毎月10分)
- NG入力がないか
- 共有設定が適切か
- 無料版利用がないか
- 退職者アカウントが残っていないか
情シスがいなくても 管理者+部門リーダー で回せるよう設計。
「中小企業向け“生成AI安全活用研修”テンプレ付き資料はこちら」
(社内研修スライド・NG例・チェックリストを無料公開)
情報漏洩を未然に防ぐ“社内ルールセット”テンプレ
競合は「ルールを書いただけ」。
しかし本当に必要なのは “そのまま配布できるテンプレート” です。
AI経営総研では、以下のテンプレートをワンセットで提供します。
生成AI利用ガイドライン(社内向け)
- 利用目的
- 禁止事項
- OK例/NG例
- データ取り扱いルール
権限設定ガイド(管理者向け)
- 初期設定
- 外部共有の禁止
- Drive権限の棚卸し方法
インシデント発生時の対応フロー
「何かをやらかしてしまった社員」が迷わないための救済フロー。
社員向けチェックシート
- 研修理解度
- 月次のセルフチェック
- 無料版利用の有無
- 誤入力の記録
まとめ|正しい理解と運用で、Geminiは中小企業の“強力な武器”になる
Geminiを業務で活用する際、 「情報漏洩が怖い」「社内にルールがない」という不安は、中小企業ほど大きくなりがちです。
ですが本記事で解説した通り、 Geminiのリスクの多くは“正しい知識 × ルール × 初期設定”でほぼゼロ化できます。
- 無料版の利用禁止
- NG入力の明確化
- Drive・権限の正しい設定
- 外部共有の抑制
- 社員が判断できるようになる教育体制
これらを整えるだけで、 情報漏洩リスクは劇的に下がり、AI活用による生産性向上のメリットの方が圧倒的に大きくなります。
特に中小企業は、大企業のような情シス部門や複数チェック体制がないからこそ、 運用ルールの整備が“事業継続の土台”になります。
そしてそのルールを社員が理解し、 実際の業務で“再現できる”ようにするためには、 研修での教育・定着が不可欠です。
AI活用は、一部の担当者だけで完結するものではありません。
正しい知識を全社員が共有し、安全に活用できる状態をつくることで、 Geminiは 「危険なツール」から「生産性を加速させる最強の武器」へ変わります。
- QGeminiは情報を学習するの?
- A
無料版は学習される可能性があります。
法人向け(Google Workspace版)は学習されません。これが最も誤解されているポイントです。
- 無料版(個人アカウント)
→ 入力内容がAIの改善に利用される可能性あり
→ 業務利用は絶対にNG - Google Workspace版(企業利用)
→ 入力データは学習に利用されない
→ 企業管理者の管理下にあるため安全性が高い
“無料版か有料版か”で安全性が決定的に変わることを必ず社員に周知する必要があります。
- 無料版(個人アカウント)
- Q無料版と有料版(Workspace版)の違いは?どこまで安全?
- A
最大の違いは「データ学習」と「管理権限」です。
項目 無料版 Gemini Workspace版 Gemini データ学習 される可能性あり されない アクセス管理 個人が自由に利用 企業側で一括管理 セキュリティ 個人利用前提 企業向けの高いセキュリティ リスク 情報漏洩リスク大 適切に設定すれば極めて低い 中小企業の情報漏洩の多くは “社員が無料版を使ってしまうミス” によって発生します。
- Qどこまで入力してOK?
- A
原則として“社外秘の可能性がある情報はすべてNG”です。
NG情報例:
- 顧客情報(氏名・住所・メール)
- 財務・売上データ
- 社員の給与や評価
- 契約書・見積書の内容
- 技術情報(図面・仕様書・ノウハウ)
- Slack/LINEなどのチャット内容
判断基準はシンプル:
「社外に出て困る情報は入力しない」
迷ったら社員が勝手に判断するのではなく、 管理者に確認する運用にすることが最も安全です。
- QAIの回答を社外に送っていい?
- A
必ず“人間のチェック”を通してからであればOKです。
理由:
- AIの回答には推測・誤情報が混ざることがある
- 社内用語・社外秘情報が含まれる場合がある
- AIがDrive内の情報を要約する場合、意図せず社外秘が混ざる可能性もある
安全に送るためのステップ:
- 誤情報がないか
- 社外秘が混ざっていないか
- 社外向けの言い回しか
を必ず確認するルールを徹底しましょう。
- Qファイル読み込みの注意点は?
- A
公開して良いファイル“だけ”を読み込ませてください。
注意すべきこと:
- 顧客データの入ったExcelファイルをそのまま読み込ませない
- PDFの契約書をそのままアップロードしない
- 機密情報を含むDriveフォルダを参照させない
- 社外秘資料を「まとめてアップロード」は絶対NG
また、Drive連携を使う場合は、
- 共有設定
- 権限
- フォルダ範囲
が非常に重要です。
中小企業が最も起こしやすい事故は 「フォルダまるごと共有 → Geminiがまとめて処理」 というパターンです。
