キリンホールディングス株式会社は2025年7月、OpenAIの法人向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」を、グループ内の戦略立案・企画系部門、研究開発部門、マーケティング部門の一部に導入したと発表しました。業務の効率化だけでなく、価値創造のスピードと質の向上を目的としています。
導入にあたってはOpenAIと連携し、業務に特化したAIエージェントの構築も進める予定です。AIが自律的に業務を遂行できるようにすることで、各部門の業務プロセスを根本から変革していくとしています。
業務別に具体的な活用イメージを提示
「ChatGPT Enterprise」は、部門ごとに以下のような活用を見込んでいます。
- 戦略立案・企画系部門:外部環境の調査や経営計画策定時の壁打ちに活用。変化の激しい事業環境に対応した迅速な計画策定を支援します。
- 研究開発部門:特許や文献の調査、実験データの分析、論文作成業務を効率化し、研究の質とスピードを高めます。
- マーケティング部門:新商品の企画に向けた調査・分析・アイデアの壁打ちなどを通じ、価値創出の速度を高めることを目指します。
同社は、こうした専門性の高い業務において「ChatGPT Enterprise」の検索・推論機能を活用することで、複雑な判断や戦略立案を支援する基盤としたい考えです。
教育体制の整備と「BuddyAI」の併用も推進
従業員が生成AIを効果的に活用できるよう、OpenAIと協力しながら教育プログラムの整備も進めています。キリンでは2025年5月より、社員約15,000人に社内向けの生成AIツール「BuddyAI」の展開も始めており、生成AI活用の風土醸成と中期的な業務変革の両面で取り組みを強化しています。
将来的には、生成AIと同社が保有する多様な顧客接点データを掛け合わせ、部門単位での業務プロセス革新や、新たなサービス開発などにつなげていく方針です。
「KDV2035」実現に向けた中核施策に位置づけ
キリングループは、デジタル戦略「KIRIN Digital Vision 2035(KDV2035)」(外部リンク)のもと、「生産性向上」と「価値創造」を成果の二本柱に据え、業務の質・量・スピードを飛躍的に高めることを目指しています。
今回の「ChatGPT Enterprise」の導入は、このビジョンにおける生成AI活用の中核施策と位置づけられており、既存の「BuddyAI」の取り組みとあわせて推進することで、さらなる成果創出を図っていくとしています。
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