2023年以降、「人的資本経営」という言葉が経営課題の中心に躍り出ました。
有価証券報告書で人的資本の開示が求められ、企業は人材をどう育て、活かしているかを説明責任として問われています。

その中で今、特に注目されているのが「従業員エンゲージメント」です。単なる働きやすさや満足度ではなく、従業員がどれだけ主体的に組織の目的に共感し、行動できているか。この指標こそが、人的資本の「質」を測るもっとも確かな物差しになりつつあります。

しかし現場では、こうした声もよく聞かれます。

「エンゲージメントをどう測定すればいいのか分からない」
「人的資本経営との関係性を社内でうまく説明できない」
「施策を打っても、経営層や現場の納得が得にくい」

本記事では、

「人的資本経営の中でエンゲージメントをどう位置づけるか」
「どのように可視化し、経営成果につなげるか」
を体系的に解説します。

さらに、エンゲージメント向上を実現するための実践的アプローチも紹介。人材をコストから資本へ。いま、人的資本経営の核心にあるエンゲージメント戦略を見直す時です。

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目次

第1章 人的資本経営の全体像とエンゲージメントの位置づけ

「人的資本経営」とは、人材を単なる労働力ではなく企業価値を生み出す資本として捉え、投資とリターンの視点から経営判断を行う考え方です。

2023年からは有価証券報告書での開示が義務化され、経営層だけでなく人事部門にも「どのように人材を育て、活かしているか」を定量的に示す責任が求められるようになりました。こうした潮流の中で、エンゲージメントは人的資本の「質」を測る中核指標として注目されています。

エンゲージメントは、社員が組織や理念にどれほど共感し、自発的に行動しているかを表す概念です。高いエンゲージメントを持つ社員は生産性や創造性が高く、離職率も低下します。つまり、人的資本経営の成果を左右する心理的エネルギーそのものがエンゲージメントなのです。ここでは、まず人的資本経営の基本構造を整理し、その中でエンゲージメントがどのような役割を果たすのかを見ていきましょう。

人的資本経営の目的と構造

人的資本経営の目的は、企業が持つ人材資源を最大化し、持続的な企業価値の向上へつなげることです。従来の「人件費=コスト」という発想から、「人への投資=リターンを生む資本」という発想への転換が求められています。この構造を分解すると、以下のように整理できます。

フェーズ主な活動意図・成果
投資採用・育成・研修・リスキリング人材の能力向上・適材適所
活用評価・配置・組織開発生産性・イノベーション向上
開示人的資本指標・エンゲージメント・離職率などステークホルダーへの説明責任・企業価値評価

この循環の中で、エンゲージメントは活用と開示の両方に橋を架ける指標です。投資した人材がどれだけ組織の目的に共感し、行動へ転化しているかを示すことで、「人的投資の成果」を見える化します。

エンゲージメントが担う3つの役割

人的資本経営のフレームの中で、エンゲージメントには大きく3つの役割があります。

  1. 組織の健康状態を示すモニタリング指標
     従業員の意識や満足度だけでなく、組織の温度を把握できる
  2. 経営戦略と人材戦略をつなぐトランスレーター
     経営層が描く戦略を現場の行動へと転換するための翻訳装置となる
  3. 人的資本開示における定量的根拠
     IRや統合報告書で、企業文化や働きがいをデータとして開示する基盤になる

このようにエンゲージメントは、単なる意識調査ではなく、人的資本経営を機能させる運転計器といえます。特に近年は、投資家も「エンゲージメントスコア」などの数値を重視する傾向にあり、人的資本開示における信頼性を左右する要素となっています。

人的資本経営の全体像を理解したうえで、次章では「エンゲージメントとは何か」をより具体的に掘り下げ、その定義や測定方法、従業員満足度との違いを整理していきます。

関連記事:人的資本経営とは?企業価値を高める定義・目的・意義をわかりやすく解説

第2章 エンゲージメントとは何か:満足度との違いと測定の基本

人的資本経営の要であるエンゲージメントは、しばしば「従業員満足度」と混同されます。しかし両者はまったく異なる概念です。

満足度が「会社にどれだけ満足しているか」を測る静的な指標だとすれば、エンゲージメントは「会社の目標達成に向けて、どれだけ主体的に貢献しているか」を測る動的な指標です。つまり、心の状態ではなく行動のエネルギーを可視化するものといえます。

従業員満足度との違い

従業員満足度は、給与・福利厚生・職場環境などの「待遇面」に対する評価を反映します。一方、エンゲージメントは「組織の目的や価値観への共感」「貢献意欲」など、心理的なつながりの深さを測定するものです。以下のように比較すると違いが明確です。

指標従業員満足度従業員エンゲージメント
測定の対象職場環境・待遇への満足組織への共感・貢献意欲
性質受動的(満たされているか)主体的(貢献しようとしているか)
経営への影響離職防止・定着生産性・業績・イノベーション
改善アプローチ環境・制度改善組織文化・マネジメント変革

満足度が職場の快適さを測る温度計なら、エンゲージメントは企業の成長力を示すバロメーターです。人事施策を打つ際、この違いを理解しておくことが、施策効果の測定や人的資本開示の精度を左右します。

エンゲージメントを構成する3つの要素

多くの理論で共通するのは、エンゲージメントが以下の3要素から成り立つという考え方です。

  1. 共感(Emotional):企業理念やビジョンに対する感情的な共鳴
  2. 理解(Cognitive):組織の目的・方針を自分ごととして理解している状態
  3. 行動(Behavioral):主体的に貢献する行動が取れている状態

この3つがそろったとき、社員は自発的に組織の成功を支えるようになります。特に、上司との関係性や心理的安全性が「共感」と「行動」の橋渡しをする要素として重要です。

エンゲージメント測定の基本プロセス

エンゲージメントは、定期的なサーベイ(アンケート)を通じて可視化されます。主な流れは以下の通りです。

  1. 目的設定:何を改善したいのかを明確にする(例:離職率低下、生産性向上)
  2. 設問設計:共感・理解・行動の3領域から質問を作成
  3. 分析・スコア化:eNPSやエンゲージメントスコアとして可視化
  4. 改善アクション:部署単位で課題を抽出し、施策に反映

測るだけで終わらせず、行動につなげる仕組みを持つことが人的資本経営における要諦です。エンゲージメントをKPIとして扱う企業が増えているのも、スコアが経営戦略に直結するためです。

次章では、こうしたエンゲージメントがどのように「人的資本経営」の成果とつながっていくのか、経営成果に直結する3つの因果パスを解説します。

第3章 人的資本経営とエンゲージメントの関係性:経営成果に直結する3つの因果パス

エンゲージメントは人的資本経営における潤滑油のような存在です。人材への投資をしても、社員が組織の目的に共感し、自らの意思で行動しなければ成果は生まれません。

逆に、エンゲージメントが高まれば、社員の力が企業の成長エネルギーとして循環し始めます。つまり、エンゲージメントは人的資本の投資効果を可視化する最終的なアウトカムです。ここでは、その関係性を3つのパス(因果経路)で整理します。

業績向上パス:エンゲージメントは生産性と創造性を高める

エンゲージメントの高い社員は、業務に目的を見いだし、課題解決や改善行動に積極的に取り組む傾向があります。Gallup社の国際調査でも、エンゲージメントが高い組織は生産性が20%以上高く、欠勤率が40%低いというデータが示されています。

こうした行動の積み重ねが、売上や利益といった財務成果の向上につながる第一のパスです。単なるモチベーション施策ではなく、エンゲージメントを経営指標として活用することで、人的資本投資が経営の再現性ある成果へと変わります。

リスク低減パス:離職率・メンタル不調を抑制する

エンゲージメントが低下すると、社員の心理的安全性が損なわれ、離職やバーンアウトのリスクが高まります。逆に、エンゲージメントが高い組織ほど、離職率は平均30〜50%低下する傾向があり、人件費や採用コストの削減にも直結します。

人的資本経営では、こうした「人的リスクの最小化」も重要な経営課題の一つです。定量的なエンゲージメントデータを用いれば、どの部門・職層にリスクが集中しているかを早期に把握でき、人的資本の損失を防ぐ予兆管理が可能になります。

価値創出パス:ブランド・IR評価に影響を与える

エンゲージメントの高い企業は、社員がブランドの一部として企業価値を外部に伝播します。IR・統合報告書では、人的資本の「開示項目」にエンゲージメント関連指標を組み込む企業が増えています。これは単なる数値ではなく、「どのように社員が会社の価値を共創しているか」を投資家に示す信頼情報として機能します。

この第三のパスは、財務以外の側面──ESG・サステナビリティ・社会的評価──に直結し、エンゲージメントを通じた企業価値の外部波及効果を示します。

これら3つのパスは相互に作用し、人的資本経営を「投資から成果へ」変換する仕組みを形成します。次章では、こうした関係性を具体的に可視化するためのKPI設計とデータ連携の考え方を解説します。

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第4章 エンゲージメントを可視化する:KPI設計とデータ連携の考え方

エンゲージメントは「感覚」ではなく「数値」で捉えることで、人的資本経営の中核指標として活用できます。測定と分析を体系化することで、組織の状態を客観的に把握し、改善施策の効果を検証できるようになります。ここでは、可視化を進めるうえでの基本プロセスと、KPI設計の実践的ポイントを整理します。

ステップ①:測定目的と指標設計を明確にする

エンゲージメントを測る際にまず必要なのは、「なぜ測るのか」を定義することです。目的が曖昧なままスコアを収集しても、分析や施策立案に結びつきません。たとえば、離職率の改善を目的とする場合と、組織文化の浸透を目的とする場合では、設問や評価軸がまったく異なります。
目的を明確にしたうえで、KPIを次のように階層的に設計します。

代表的な指標目的
経営KPIエンゲージメントスコア、離職率、生産性指標企業全体の人的資本価値を把握
組織KPI部門別スコア、上司評価、1on1実施率組織単位での課題把握
個人KPIキャリア満足度、リスキリング参加率自律的成長と貢献意欲の確認

こうした多層KPI設計により、測るから動かすへの転換が可能になります。単一指標に依存せず、経営・現場・個人の視点を統合することが、人的資本経営の可視化精度を高める鍵です。

ステップ②:データ連携で「点」を「線」にする

エンゲージメントのスコアは単体では意味を持ちません。採用データ、評価データ、研修履歴、離職情報などと組み合わせて分析することで、因果関係が見えてきます。特に注目すべきは次の3軸です。

  • 評価連動:高評価者のエンゲージメント傾向を把握し、組織文化の強みを抽出する
  • 研修連動:育成施策やリスキリング受講後のスコア変化を分析し、投資効果を可視化
  • 離職連動:スコア低下が離職予兆として表れる部署を特定し、早期介入につなげる

このように各種データを連携させることで、エンゲージメントは「単なるアンケート」から「人的資本経営のダッシュボード」へと進化します。データの解釈にAI分析ツールを取り入れる企業も増えており、SHIFT AI for Bizでも人的資本データを研修成果に結びつける実践的支援を行っています。

ステップ③:分析結果を経営判断につなげる

最終的な目的は、数値を経営判断に活用することです。たとえば、エンゲージメントの上昇が生産性向上や離職率低下と相関している場合、そのデータは経営計画やIR開示における説得力ある根拠となります。

重要なのは、人の感情を経営情報として翻訳する視点です。
この視点を持つことで、人的資本経営の意思決定は勘や印象からデータ主導へと変わり、持続的な改善サイクルが生まれます。

エンゲージメントを定量化できれば、組織の課題は可視化され、人的資本経営の実行力が高まります。次章では、こうしたデータをもとにどのように施策を設計し、社員の主体性を引き出していくか──エンゲージメントを高める実践フェーズを解説します。

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第5章 エンゲージメントを高める施策設計のポイント(理論×実践)

可視化したエンゲージメントデータをどう活かすか。ここからが人的資本経営の実践段階です。スコアの上下を確認するだけでなく、社員の心理的な手ごたえを行動変化につなげる仕組みづくりが重要です。施策の設計では、短期的な制度改善にとどまらず、組織文化とマネジメントの変革を並行して進める視点が求められます。

組織開発・マネジメント改革の基本アプローチ

エンゲージメント向上には、個人の意欲を引き出す環境づくりと、上司・部下間の信頼関係構築が欠かせません。特に注目すべきは次の3点です。

  1. 目的共有の明確化:経営方針やビジョンを日常業務の文脈で語れるようにする
  2. 対話型マネジメントの定着:1on1やピアフィードバックを通じて心理的安全性を確保
  3. 学びと挑戦の循環:失敗を恐れず試行できる風土を育み、リスキリングの機会を提供

この3つの要素がそろうと、社員は会社のために働くから自分の成長が会社の成長につながるという意識へと変化します。結果として、エンゲージメントは一時的な数値ではなく、組織文化として根づく定常的な成果に転化していきます。

ダイバーシティ・リスキリングとの連動

人的資本経営では、エンゲージメント向上と同時に、ダイバーシティやリスキリングの推進が不可欠です。多様な価値観とスキルを持つ人材が共存する環境ほど、相互理解と貢献意欲が高まりやすくなります。

また、リスキリングを通じて新しい知識やスキルを得ることは、社員に「成長実感」を与えます。この実感が自己効力感(セルフエフィカシー)を高め、エンゲージメントの向上を後押しします。研修や教育施策を単なる学習機会ではなく、人的資本への投資と位置づけることが、経営戦略上の必然になっています。

エンゲージメントを高める社内施策設計の流れ

実際に施策を設計する際は、可視化されたデータを出発点に、組織特性に合わせてカスタマイズすることがポイントです。

  • 現状把握:スコアや定性コメントから課題領域を特定
  • 施策立案:組織課題(例:部門間連携・リーダー育成)に応じて打ち手を設定
  • 実行と検証:短期施策の効果を測定し、中長期方針へ反映

このサイクルを継続的に回すことで、組織の変化が社員の行動に浸透していきます。SHIFT AI for Bizでは、こうしたプロセスを支援する「エンゲージメント向上×人材育成」研修プログラムを提供し、人的資本経営の実行力を高める設計を支援しています。

エンゲージメント施策は、単なるモチベーションアップではなく、人材投資の効果を最大化する戦略的経営アクションです。次章では、その成果を経営層や投資家へ見える形で伝えるための、開示とIR対応における活用法を解説します。

第6章 開示・IR対応におけるエンゲージメントの活用法

エンゲージメントは、今や内部改善の指標にとどまらず、外部への説明責任を果たすための重要な開示情報となっています。投資家やステークホルダーが求めるのは、「どんな施策をしているか」ではなく、「その施策が企業価値にどのように貢献しているか」というエビデンスです。エンゲージメントを定量的に示すことは、人的資本経営の信頼性を担保する根拠になります。

有報・統合報告書で求められるエンゲージメント指標

経済産業省が提示する「人的資本可視化指針」では、開示が推奨される指標として「エンゲージメントスコア」や「eNPS(従業員推奨度)」が明記されています。これらは、組織文化や働きがいを数値で示せるため、人的資本の成果指標として投資家からも注目されている領域です。
主な開示指標は次の通りです。

指標カテゴリ代表的な項目解釈・意図
エンゲージメント指標eNPS、エンゲージメントスコア社員の自発的貢献意欲の可視化
離職・定着指標離職率、在籍年数、定着率組織の安定性と持続性の評価
成長支援指標研修受講率、リスキリング実施率人的資本への投資実績
安全・健康指標ストレスチェック結果、休職率心理的安全性・働きやすさの測定

これらのデータは単体ではなく、施策ストーリーとセットで開示することが重要です。「何を」「なぜ」実施し、「どう成果につながったか」を示すことで、人的資本経営の成熟度が伝わります。

経営・IR担当が押さえるべき3つのポイント

エンゲージメントを外部開示する際には、単なる数値報告に終わらせず、物語としての整合性を持たせることが鍵になります。

  1. 経営戦略との整合性:開示する指標を経営計画や中期戦略と結びつけ、データが戦略の裏付けであることを明示する
  2. 施策と成果の連動性:エンゲージメント向上施策の実施背景と、その後のスコア変化をセットで示す
  3. 長期的な推移の開示:単年度比較ではなく、複数年データを通じて継続的な改善ストーリーを描く

これらを意識することで、開示資料が単なる報告書ではなく、「人的資本への投資が成果を生んでいる企業」としての信頼を高めるコンテンツになります。

エンゲージメントを企業価値向上の語り口にする

人的資本経営を推進する企業の多くは、IR説明資料の中でエンゲージメントを「経営KPI」として位置づけ始めています。これは、エンゲージメントがもはや人事領域に閉じた指標ではなく、経営価値・ESG・社会的信用を包括する統合指標へと進化しているためです。

AI経営総合研究所では、開示データを経営ストーリーとして整理し、投資家とのコミュニケーションに活かす支援も推奨しています。内部では人的資本を高め、外部にはその成果を示す。この往復が、持続的成長を支える企業経営の新しい標準です。

第7章 まとめ:エンゲージメントの可視化が「人的資本経営」を実現する第一歩

人的資本経営は、「人材をコストではなく資本とみなす」経営思想ですが、その成果を支えるのは制度やデータではなく、社員一人ひとりのエンゲージメントです。エンゲージメントが高い組織は、理念が現場で生き、個人の成長が企業の成果へとつながる好循環を生み出します。逆に、どれほど制度や施策を整えても、社員が自らの意思で動けない組織は成果が定着しません。

エンゲージメントの向上には、「測る・理解する・育てる」という3つのサイクルが欠かせません。まずサーベイによって現状を可視化し、データをもとに課題を分析する。そして、心理的安全性や学びの機会を通じて、社員が自律的に行動できる環境を育てていく。この循環を継続的に回すことで、人的資本経営は理念から実行へと進化します。

また、エンゲージメントをKPIとして経営指標に組み込むことで、人的資本への投資効果が「数値」として経営層や投資家に伝わるようになります。データに裏打ちされたストーリーを持つ企業は、内部的にも外部的にも信頼を得やすく、持続的な競争優位を築くことができます。

人的資本経営の真価は、制度設計や報告書の整備ではなく、「人材が企業の成長を実感できる状態」を実現できるかどうかにあります。その第一歩が、エンゲージメントの可視化です。

SHIFT AI for Bizでは、こうしたエンゲージメントを基盤にした人的資本経営の実践支援プログラムを通じて、企業が自律的に成長できる仕組みづくりをサポートしています。

人が活きる組織が、企業を強くする。人的資本経営の未来は、エンゲージメントから始まります。

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人的資本経営とエンゲージメントに関するFAQ:よくある質問

エンゲージメントと人的資本経営は、実務上でも多くの人事担当者が疑問を抱きやすいテーマです。ここでは、検索意図の高い質問を中心に、要点を整理してお答えします。

Q
Q1:人的資本経営でエンゲージメントが重要とされる理由は?
A

エンゲージメントは、人的資本経営における「人材投資の成果」を測る最も実践的な指標だからです。企業が採用・育成・研修などに投資しても、社員が目的を理解し、共感し、行動に移せなければリターンは生まれません。エンゲージメントは、その投資が組織にどう転化しているかを可視化するアウトカム指標です。高いエンゲージメントは生産性、定着率、イノベーション創出を同時に高め、人的資本経営を実行可能な仕組みに変えます。

Q
Q2:エンゲージメントはどう測定・改善すればいい?
A

エンゲージメントの測定には、定期的なサーベイ(アンケート)が有効です。感情的共感(Emotional)、理解(Cognitive)、行動(Behavioral)の3要素を軸に質問を設計し、eNPSやエンゲージメントスコアとして可視化します。重要なのは、スコアを「分析で終わらせない」ことです。部門別の傾向を分析し、上司との1on1、研修、組織開発などの施策につなげることで、測定→改善→定着の循環が生まれます。SHIFT AI for Bizでは、このプロセスを経営レベルで実践できる研修設計を支援しています。

Q
Q3:人的資本開示にエンゲージメント指標をどう活用する?
A

エンゲージメント指標は、人的資本開示の中で「働きがい」「組織文化」「人材活用の質」を説明する根拠として使われます。単にスコアを示すのではなく、施策の背景・成果との連動性を示すことで投資家の理解が得やすくなる点がポイントです。経営計画との整合性を保ちつつ、3年程度の推移データを提示することで、企業としての成長ストーリーを伝えることができます。

Q
Q4:従業員満足度とエンゲージメントの違いは?
A

従業員満足度(ES)は「職場にどれだけ満足しているか」を測る静的な指標です。一方でエンゲージメントは、「会社の目標達成に自発的に貢献したい」という主体的な行動意欲を示す動的な指標です。満足度は快適さ、エンゲージメントは貢献意識と捉えると分かりやすいでしょう。人的資本経営では後者を優先指標とする企業が増えています。

Q
Q5:エンゲージメントを高めるにはどんな施策が効果的?
A

根本的に効果があるのは、「心理的安全性」「目的共有」「成長実感」を高める施策です。上司との対話やフィードバック文化の定着、リスキリングの機会提供、柔軟な働き方などが代表的です。こうした環境が整うと、社員は「自分の成長が会社の価値になる」と実感し、エンゲージメントが自然に高まります。施策を制度設計で終わらせず、日常のマネジメント行動に落とし込むことが重要です。

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