「意見を出せと言われても、何を言えばいいのかわからない」
「現場に任せろと言うが、管理職は動かない」
「制度だけ整っていて、現場の空気は変わらない」
ボトムアップ型の組織づくりを目指して、制度を整え、会議体を設け、提案を歓迎する文化を謳ったにもかかわらず、現場は静まり返り、管理職は傍観者になっている。
そんな「ボトムアップが進まない」組織改革に、多くの企業が直面しています。
なぜ、うまくいかないのか? 問題は、社員の主体性でも管理職の熱量でもありません。仕組みと運用の設計に、見えないほころびがあるのです。
本記事では、ボトムアップ型改革が進まない3つの理由を分解し、それを打ち破るための行動が生まれる仕組みのつくり方を、実例とともに解説します。
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なぜボトムアップは進まないのか?3つの見えない壁
制度は整えた。提案の場も設けた。それでも現場は沈黙し、管理職は動かない。ボトムアップ型の改革が社内で「進まない理由」は、決して見えている課題だけではありません。
組織の深層にある見えない壁が、行動を止めているのです。ここではその代表的な3つを解説します。
① 現場が「発言しても意味がない」と感じている
ボトムアップが機能するには、現場が安心して発言できる心理的な土壌が欠かせません。しかし、かつて出した意見がスルーされた、否定された、改善されなかった。
そんな体験が積み重なると、社員は「言ってもムダ」と学習し、沈黙するようになります。
- 「またこの話か」と一蹴される
- 「そんなこと考える前に、目の前の仕事をしてくれ」と返される
- 書いた提案がどこにも反映されない
このような経験が重なることで、現場は次第に観客になります。つまり、制度はあっても、「発言が歓迎される」という確信がなければ、誰も動かないのです。
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② 中間管理職が巻き込まれていない
「現場の声を拾え」と言われても、中間管理職自身がボトムアップに納得していないケースも少なくありません。
- 「決裁権は自分にないのに、責任だけ取らされる」
- 「上からの評価項目に提案推進が含まれていない」
- 「部下に意見を求める時間的余裕がない」
結果、ミドル層は静かに抵抗するか、表面上だけ合わせるようになります。これが、現場と経営層をつなぐ“結節点”の機能不全を引き起こしているのです。
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③ 「制度だけ整備」では人は動かない
ボトムアップを推進しようと、提案制度や週次の発言タイム、改善シートといった仕組みそのものを作って満足してしまうケースも多く見られます。
しかし、制度は使われてこそ意味を持つものです。
- なぜこの制度があるのか?
- どんな変化が起きたのか?
- 誰が提案して、どう改善されたのか?
そうした制度の目的と成果が現場に伝わっていないままでは、行動にはつながりません。
「制度はある。でも、使う理由が見つからない」この状態が、まさに制度の形骸化です。
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形骸化を防ぐには?「制度×行動」をつなぐ3つの設計ポイント
「制度は作った。だけど、誰も使わない」。それは制度が悪いのではなく、動きたくなる設計がされていないからです。
ここでは、ボトムアップ型改革を「制度倒れ」で終わらせない」ための、3つの運用設計ポイントを解説します。
1. 提案の場を仕組み化する!OODAを回す小さな習慣
「自由に意見を」と言われても、タイミングが曖昧な制度は使われません。重要なのは、「出せるときに出す」ではなく、「出すことが習慣になる場」をつくることです。
<例>
- 週次1on1でのKPT共有(Keep/Problem/Try)
- チーム朝会での1アイデア出しルール
- 月1改善会議での提案→実行→振り返りのサイクル化(OODA)
このような「制度が使われることを前提に設計する」ことが、最初の一歩です。
2. 意見を拾って見える化する!提案が動いた実績を見せよ
提案されたアイデアが、どう扱われているのか。現場の多くは、それを知りません。
「あの改善案って、どうなったの?」
「採用されたら、何かフィードバックがあるの?」
「そもそも、誰が見てるの?」
ここで求められるのは、「意見→反映→可視化」のサイクルです。
<例>
- Slackチャンネルで提案→管理職が公開レス→実行プロセスを発信
- 改善提案が業務に組み込まれた事例をポスター掲示・社内報で紹介
- 提案実績ランキング・表彰制度の導入
提案は、発言するだけでは意味がありません。 「行動が変わった実感」こそが、次の提案を生み出すのです。
3. 管理職研修に「巻き込み力」を組み込む
ボトムアップは「現場任せ」ではなく、上司が引き出す文化の仕組みでもあります。
「じゃあ何か意見ある?」では意見は出ません。巻き込み型リーダーは、「問いの出し方」「受け止め方」「行動への接続」を学んでいます。
SHIFT AIでは、以下のような巻き込み力を科学的に育てるプログラムを提供しています。
<巻き込み力を構成する4スキル>
- 傾聴の技術(遮らず、引き出す)
- 視座の転換(現場目線と全体視点の往復)
- 質問設計(正解探しではなく可能性探し)
- 行動接続力(発言を「行動」に変える設計)
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トップダウンとどう共存すべきか?成功企業に学ぶ両輪運営のヒント
「ボトムアップを進めたいが、方向性がバラバラになるのが怖い」「現場に任せたら逆に混乱するのでは?」
そんな懸念から、トップダウン型を捨てきれない企業は少なくありません。しかし実際、うまくいっている企業の多くは、ボトムアップとトップダウンを使い分けています。
ここでは、両輪で機能する組織運営のヒントをお届けします。
戦略はトップダウン、実行はボトムアップ
ボトムアップ型が機能するには、「目的地(Why)」をトップが明確に示すことが必要です。
逆に言えば、「何を目指すか」が共有されていない組織においては、現場の自発性は空回りします。
- トップが方向を決める
- 現場が手段を考える
- 管理職が接着剤になる
この役割の非対称性を意識することで、「自由に動けるが、バラけない組織」が実現するのです。
戦略の可視化が、現場の行動を変える
現場が自律的に動けるかどうかは、「目的の理解度」に比例します。そこで今注目されているのが、生成AIなどを活用した「業務目的の見える化」です。
- 「なぜこの業務をしているのか?」をチャット形式で掘り下げ
- チーム目標に紐づく日々の行動をリアルタイムでレビュー
- 管理職と部下が目標→行動→提案のループを対話ベースで回す
こうしたデジタル支援と運用設計の掛け合わせが、「目的なき作業」を「自律的な実行」へと変えていきます。
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成功事例|両輪運営で組織が変わった企業たち
製造業A社:改善提案制度が週1習慣に昇華
製造業A社では、トップからの明確なメッセージと現場の改善行動をつなぐ「1枚の掲示板」が機能しました。
掲示板には毎週1件、社員の提案がどのように形になったかを共有する仕組みがあり、改善提案制度が週1の習慣として定着しています。
IT系B社:ミドル層巻き込み研修で文化が変化
IT系B社では、管理職向けの巻き込み研修を導入したことで文化が大きく変化しました。受講後、管理職は「意見を聞く側」から「意見を引き出す側」へと意識が転換。
結果として、提案件数は研修前の約2倍に増えました。
声が出ない組織を変えるには?SHIFT AIが提案する実践研修とは
ここまで紹介してきたように、ボトムアップ型の組織を実現するには、制度や仕組みだけでは不十分です。必要なのは、「声を出したくなる設計」と「声を引き出す人材」を組織の中に根づかせることです。
SHIFT AIでは、その両方を支援する実践的な法人研修プログラムを提供しています。
本研修の特徴は、“育成”と“仕組み”を一体で設計する点にあります。たとえば、現場の自律性を高めるために「業務目的を可視化」し、提案の方向性をブレさせない。
一方で、管理職には巻き込み型リーダーとしての具体的なスキル(傾聴・問いかけ・行動接続)を身につけてもらいます。
すでに多数の企業で導入され、以下のような成果が報告されています。
- 提案件数が月4件から17件へと急増
- ミドル層が自ら改善アクションを起こし、現場の対話量が2倍に
- 「制度があるだけ」の組織から、「声が届き、動く」組織へと変化
制度が動き、人が動き、組織が変わる。その起点となるのが、私たちが提案する研修です。
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まとめ|制度だけでは人は動かない。“動き出す設計”が次の一手になる
ボトムアップ型の組織改革は、制度を作っただけでは何も始まりません。現場が動かず、管理職が変わらず、形だけの取り組みになってしまうのは、よくあることです。
しかし、そこで諦めてしまえば、組織の成長は止まります。
- 声が出ないのは、「出せない空気」があるから
- 管理職が動かないのは、「動かす設計」がされていないから
ボトムアップが進まないのは、意欲の問題ではなく、構造の問題です。
だからこそ、制度と育成の再設計が必要です。SHIFT AIでは、生成AIの力も活用しながら、「現場が動く」「ミドルが支える」組織の仕組みを整え、 自律的に提案・改善がまわるチーム文化を共につくっていきます。
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よくある質問(FAQ)|検索ユーザーの疑問を一刀両断!
- Q管理職がボトムアップを理解していません。どう動かせばいいですか?
- A
管理職が部下に任せろと言われても動かないのは、「任せ方」や「巻き込み方」がわからないからです。SHIFT AIでは、巻き込み型リーダーに必要なスキル(傾聴・問いかけ・行動接続)を育成する研修を提供しています。
👉 詳しくはこちら:管理職が動かないのはなぜ?中間層が動き出す組織に変える構造と研修設計
- Q社員から意見が出ません。どうすれば自発的に動くようになりますか?
- A
「自由に言っていいよ」と言われても、“言っても意味がない”という経験があると、現場は沈黙します。大切なのは、意見を出したら必ず拾われ、見える形で反映される仕組みをつくること。提案の場×反映の可視化が、行動を生む鍵です。
👉 関連記事:現場が動かない企業必見|生成AIによって業務目的を可視化する効果
- Qトップダウンとボトムアップ、どちらで進めるべきですか?
- A
両方です。方向性(Why)や戦略はトップダウン、手段や改善はボトムアップ。
“どちらが正しいか”ではなく、“どう分担し機能させるか”が重要です。SHIFT AIでは、トップが旗を掲げ、現場が自走するための設計と育成を一体で支援しています。
- Q制度は整えたのに、使われずに終わってしまいます。どう防げますか?
- A
制度が使われない理由の多くは、目的の共有不足・定期的な活用機会の欠如・フィードバック不在です。制度は“使わせる”ものではなく、“使いたくなる設計”に変える必要があります。OODAループや改善事例の社内掲示など、使われる仕組み化が有効です。
- Qそもそも、どうやって現場を巻き込んでいけばいいの?
- A
一番効果的なのは、“まず1人が変わること”です。最初の1人が行動を起こし、評価され、周囲に伝播する。それを意図的に設計・支援するのが、私たちが提供している「行動が波及する仕掛け」です。
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