広告業界では、生成AIがCMの企画やキャスティングにまで関わっている事例があることをご存知でしょうか?あるいは、ゲーム業界では開発のさまざまな工程にAIが関わっている事例も…!
この記事では、ビジネスからエンタメ、ゲーム、公共サービスまで、さまざまな業界で実際に活用されている生成AIの面白い事例を厳選して紹介していきます。
生成AIが私たちの生活やビジネスにどのような変化をもたらしているのか。この記事を最後まで読むことで、生成AIの持つ無限の可能性を実感できるはずです。
なお、生成AI活用を成功させるには適切な知識とスキルを持った人材が不可欠です。しかし、「何から始めればいいのかわからない…」という方も多いのではないでしょうか?
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【業界別】生成AIの面白い活用事例12選を紹介

それではさっそく、「面白い!」と感じられるようなユニークな生成AIの活用事例12選を紹介していきます。
- 【広告業界】生成AIで予測不能なCMを企画(サントリー)
- 【広告業界】生成AIとのブレストで若者向けCMを制作(キンチョール)
- 【広告業界】生成AIで1万通りの「ふわちゃん」広告を制作(LIFULL)
- 【広告業界】生成AIモデルとAIデザインで「お~いお茶」を刷新(伊藤園)
- 【広告/エンタメ業界】AIファッション映像展「NFFT」を開催(スタジオディーオージー合同会社)
- 【マーケティング業界】生成AIで1万通りのプロフィールを持つ「コカ・コーラ ゼロ」を配布(日本コカ・コーラ)
- 【マーケティング】生成AIで「C.C.レモン」のキャラクターを制作(サントリー)
- 【マーケティング】画像生成AI「Stable Diffusion」でユーザー参加型のアート体験を提供(アサヒビール)
- 【エンタメ】生成AIのみの単独ライブ「AI EXIT」を開催(吉本興業)
- 【エンタメ】生成AIでアニメの背景美術を制作(Netflix)
- 【ゲーム業界】生成AIで「イナズマイレブン」などのゲーム制作を効率化(レベルファイブ)
- 【公共サービス】山口県美祢市の観光チャットボット「ミネドン」をリリース(東武トップツアーズ)
生成AIがどのように各業界の課題を解決し、新しい価値を生み出しているのか、具体的な事例をひとつずつみていきましょう。
【広告業界】生成AIで予測不能なCMを企画(サントリー)
サントリー食品インターナショナルは、Web CM「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」の企画に、なんと生成AIを活用しました。驚くべきことに、ChatGPTとの対話から生まれた「AI部長」という架空の存在が、CMのコンセプトやキャスティングに大きな影響を与えたのです。
AI部長は、声優の白井悠介氏を起用することや、バレエダンサーや踊るボウリングのピンが登場するという、人間ではなかなか思いつかないユニークな構想を提案しました。
その結果、従来のCMのイメージを覆す、非常に斬新な内容となりました。この事例は、AIが人間のクリエイティビティを刺激し、全く新しい広告表現を生み出す可能性を示しています。

【広告業界】生成AIとのブレストで若者向けCMを制作(キンチョール)
殺虫剤でおなじみのキンチョール(大日本除虫菊株式会社)は、若者層をターゲットとした新しいCMの企画・制作において、画像生成AIを積極的に活用しました。生成AIとのブレインストーミングを通じて、これまでにない斬新なアイデアを生み出したのです。
生成AIは、近未来的な都市や奇抜なファッション、そして「キンチョルマン」というキャラクターが登場するユニークな映像表現を提案。これらのアイデアは、人間のクリエイターによってさらに洗練され、最終的なCMとして完成しました。
この事例から、生成AIは人間の創造性を刺激し、新しい発想を生み出すための強力なパートナーになり得ることがわかります。

出典:KINCHO公式チャンネル「【蚊の駆除・対策 殺虫スプレー】2023 キンチョール ヤング向け映像篇 60分」
【広告業界】生成AIで1万通りの「ふわちゃん」広告を制作(LIFULL)
不動産情報サイトを運営するLIFULLは、人気タレント「ふわちゃん」をモチーフとした広告企画で、なんと1万種類もの画像をAIで生成しました。
本企画では、「しなきゃ、なんてない。」というメッセージを表現した1万種類の「ふわちゃん」画像を生成AIが制作。LIFULL公式Xアカウントをフォロー&リポストすることで、参加者に画像がランダムで届けられました。
この取り組みでは、生成AIによって大量のユニークな広告素材を効率的に生成できることを示しています。

出典:LIFULL「ニュース」
【広告業界】生成AIモデルとAIデザインで「お~いお茶」を刷新(伊藤園)
伊藤園は、「お~いお茶 カテキン緑茶」のリニューアルにおいて生成AIを大胆に活用しました。
テレビCMに、生成AIによって作成されたモデル(AIタレント)を起用し、さらにパッケージデザインにも画像生成AIを活用するという、業界初の試みです。
CMでは、AIタレントが現在の姿と30年後の未来の姿で登場し、製品の特長を解説するという斬新な演出が話題を呼びました。
これは、生成AIが広告における人間の役割を代替する可能性を示しており、非常に興味深い事例のひとつです。

【広告/エンタメ業界】AIファッション映像展「NFFT」を開催(スタジオディーオージー合同会社)
STUDIO D.O.G GKは、2024年10月渋谷パルコにて、AIファッションイベント「NFFT (New Future AI Fashion Technology)」を開催しました。
本イベントは、世界で活躍する32名のAIクリエイターが、最新の生成AI技術を駆使して制作したAIファッション映像を発表するという、非常にユニークな試みです。
NFFTは、2022年からスタートしたプロジェクト。2024年6月に開催されたイベントでは、動画生成AIの最新技術を使った映像が大きな話題となりました。映像だけでなく、音楽もすべて最新のAI技術を使って制作されている点が特徴です。
このイベントは、生成AIがファッション業界や映像制作にどのような新しい可能性をもたらすのかを示す、貴重な機会となっています。

出典:PR TIMES「スタジオディーオージー合同会社 プレスリリース」
【マーケティング業界】生成AIで1万通りのプロフィールを持つ「コカ・コーラ ゼロ」を配布(日本コカ・コーラ)
日本コカ・コーラは、「コカ・コーラ ゼロ」の新キャンペーンの一環として、期間限定ストア「LIVING MART by Coca-Cola ZERO」を原宿にオープンしました。(期間は2024年2月6日〜同月18日まで)
本ストアでは、新CMの世界観を再現。「生きている」かのように動く装飾や、生成AIを活用した仕掛けが用意されています。特にユニークなのは、サンプリングされる1万本の「コカ・コーラ ゼロ」に、AIによって生成された1万通りの異なるプロフィール(出身地、趣味など)が付与されている点です。
来店客は、商品の前に立つと声優の木村昴氏と上坂すみれ氏の声で話しかけられるというインタラクティブな体験を受けられます。さらに、選んだ商品の二次元コードをレジで読み取ると、その商品のユニークなプロフィールがレシートに出力されるという仕掛けも用意されました。
本キャンペーンでは単なる商品の無料配布にとどまらず、「選ぶ楽しさ」や「記憶に残る体験」を提供しています。

出典:日経クロステック「「話すコーラ」を生成AIで開発 背景にコカ・コーラのマーケ戦略転換」
【マーケティング】生成AIで「C.C.レモン」のキャラクターを制作(サントリー)
サントリー食品インターナショナルは、生成AIを用いて「C.C.レモン」のブランドイメージを体現する擬人化キャラクターを制作しました。
キャラクターの顔、衣装、声、動きは生成AIによって作られ、セリフは文章生成AIが担当します。このキャラクターは、自己紹介動画で公開され、今後も様々なコンテンツに登場する予定です。
この事例は、生成AIがブランドと消費者のコミュニケーションを深める、新たな可能性を示しています。AIキャラクターが、ブランドの魅力をより多くの人に伝える役割を担うようになるかもしれません。

【マーケティング】画像生成AI「Stable Diffusion」でユーザー参加型のアート体験を提供(アサヒビール)
アサヒビールは、「Create Your DRY CRYSTAL ART」という企画を提供しました。
この企画では、ユーザーがテキストと画像を組み合わせてオリジナルのアート作品を生成できる、体験型プロモーションを実施しています。自分の好きなようにアート作品を作る過程で、ブランドへの親近感や愛着を深める試みです。
ブランドに触れる機会を増やすことを目的とした、新しいマーケティング手法といえるでしょう。

【エンタメ】生成AIのみの単独ライブ「AI EXIT」を開催(吉本興業)
吉本興業は、人気お笑いコンビEXITのAIアバターである“AI EXIT”のみで開催した単独ライブ『チャラットボット〜破滅的忘却を回避せよ〜』を実施しました。
このライブではEXIT本人は前説のみに登場し、ライブ本編は全てAI EXITが担当するという前代未聞の試みです。
生成AIを活用した新しいエンターテイメントの形を模索する、積極的な取り組みの一例といえるでしょう。今後のIPビジネスの創出につながる可能性を秘めています。

出典:PR TIMES「AIのみの単独ライブ開催!AI EXIT初の単独ライブ「チャラットボット〜破滅的忘却を回避せよ〜」開催決定」
【エンタメ】生成AIでアニメの背景美術を制作(Netflix)
東京に構えるアニメ専門拠点「Netflix アニメ・クリエイターズ・ベース」では、実験的に制作した短編アニメ作品『犬と少年』の背景美術に画像生成AIを活用しました。
この作品では、Transformerを搭載した画像生成AIが用いられ、Netflixが保有する背景美術を学習データとして使用しています。
生成AIの活用によってクリエイターの負担を減らし、制作の効率化に貢献することが期待されています。

出典:日経クロステック「Netflixがアニメ制作に生成AI、疲弊する現場を救えるか」
【ゲーム業界】生成AIで「イナズマイレブン」などのゲーム制作を効率化(レベルファイブ)
「イナズマイレブン」や「妖怪ウォッチ」などの人気ゲームを手がけるレベルファイブは、ゲーム開発のさまざまな工程で生成AIを積極的に活用しています。
レベルファイブは、画像生成AI「Stable Diffusion」、対話型AI「ChatGPT」、音声生成AI「VOICEVOX」などを活用。例えば、「メガトン級ムサシ」では、Stable Diffusionでゲームタイトル画面のレイアウト案を生成しました。
これらの生成AIの活用により、レベルファイブはゲーム開発における「基礎データの作成」「案出し(アイディア)」「クオリティアップ」の効率化を実現しているのです。

【公共サービス】山口県美祢市の観光チャットボット「ミネドン」をリリース(東武トップツアーズ)
東武トップツアーズは、山口県美祢市の公式ゆるキャラ「ミネドン」をモチーフにした観光案内用の生成AIチャットボットをリリースしました。
このチャットボットは、市内の観光地、特産品、宿泊情報などを学習させたChatGPTベースのシステムです。スマートフォンから、文字または音声で問い合わせに対応します。
生成AIの活用によって人的な観光案内の手間を軽減し、訪日客を含めた観光客へのサービス向上に貢献することが期待されています。

出典:PR TIMES「東武トップツアーズ、山口県美祢市の観光用ChatGPT「ミネドン」をリリース」
そもそも生成AIとは

生成AIとは、学習したデータをもとに、新しいコンテンツを「生成」するAI(人工知能)のことです。文章、画像、動画、音声など、さまざまな種類のコンテンツを作り出せます。
この章では、生成AIの主な種類、そしてどのようなことができるのか、について解説します。
- 文章生成AI:文章作成、要約、翻訳など
- 画像生成AI:画像作成、編集、高画質化など
- 動画生成AI:動画作成、編集、アニメーション生成など
- 音声生成AI:音声合成、音声変換、BGM生成など
ひとつずつみていきましょう。
1.文章生成AI:文章作成、要約、翻訳など
文章生成AIは、その名の通り文章を生成することに特化したAIです。ブログ記事、メール、レポート、小説、企画書など、さまざまな種類の文章を自動的に作成できます。
文章作成だけでなく、長い文章を要約したり、ある言語から別の言語へ翻訳したりすることも得意です。また、質問に答えたり、文章の校正をしたり、テキストの言い換えをしたりするなど、幅広いタスクに対応できます。
これにより、文章作成にかかる時間を大幅に削減し、業務効率化や生産性向上に貢献します。
【代表的なツール】 ChatGPT、Gemini、Claude など |
2.画像生成AI:画像作成、編集、高画質化など
画像生成AIは、テキストによる指示や既存の画像を基に、新しい画像を生成するAIです。写真、イラスト、絵画など、さまざまなスタイルの画像を、まるで人間が描いたかのように作り出せます。
また、画像を生成するだけでなく、既存の画像の一部を変更したり、不要なものを削除したり、画質を向上させたりすることも得意です。
例えば「夕焼けの海に浮かぶヨット」と入力すれば、そのような画像を生成します。さらに、「写真に写り込んだ人を消して」と指示すれば、その通りに画像を修正してくれるのです。
【代表的なツール】 Stable Diffusion、Midjourney、DALL-E など |
3.動画生成AI:動画作成、編集、アニメーション生成など
動画生成AIは、テキストや画像から動画を作成したり、既存の動画を編集したり、アニメーションを生成したりすることができるAIです。動画コンテンツの需要が急速に拡大する中で、動画制作の効率化や、新たな表現方法の創出に貢献しています。
例えば「走るチーター」と入力すれば、そのような動画を生成します。さらに、「動画の背景を宇宙に変えて」と指示すれば、その通りに動画を編集してくれるのです。また、簡単なイラストやテキストから、本格的なアニメーションを生成することも可能です。
【代表的なツール】 Runway、Pika、Sora など |
4.音声生成AI:音声合成、音声変換、BGM生成など
音声生成AIは、テキストを音声に変換したり、声質を変換したり、BGMを生成したりすることができるAIです。音声コンテンツの需要が高まる中で、音声制作の効率化や、アクセシビリティの向上に貢献しています。
例えば「おはようございます」と入力すれば、自然な人間の声で読み上げます。さらに、「自分の声をアニメキャラクターの声に変えて」と指示すれば、声質を変換してくれるのです。
また、ジャンルや雰囲気などを指定するだけで、オリジナルのBGMを自動的に生成することも可能です。
【代表的なツール】 VALL-E、Text to Speech AI、ElevenLabs など |
生成AIの面白い活用事例からヒントを得て、あなたのビジネスの可能性を広げよう

生成AIは、広告、マーケティング、エンタメ、ゲーム、公共サービスなど、幅広い分野で活用されています。その影響は、業務効率化やコスト削減だけにとどまらず、新たな顧客体験の創出や創造性の演出に大きく貢献しているのです。
生成AIの技術はまだ発展途上ですが、その可能性は無限大です。今後、さらに多くの分野で生成AIの活用が進み、私たちの生活やビジネスを大きく変えていくことでしょう。
この記事で紹介した事例を参考に、ぜひあなたも生成AIの活用を検討してみてください。生成AIは、あなたの未来を拓く強力なパートナーとなるはずです。
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