中間管理職が続けて辞める会社には、個人の資質ではなく組織側の構造に共通点があります。権限のない責任、許容量を超えた管理範囲、成果と噛み合わない評価、放置されたハラスメント、新任へのサポート不在の5つです。
この記事では、パーソル総合研究所などの調査データで実態を押さえたうえで、辞めない組織に変えるための役割再定義・組織設計・評価の見直しを具体的な手順で解説します。あわせて、独自に取材した先行企業の活用実態から、管理職の負担を仕組みで軽くしている2社の設計思想も紹介します。
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- 中間管理職が辞める会社に見られる「静かな崩壊」の兆候
- データで見る中間管理職の実態|負担・意欲・後任者不足
- 中間管理職が辞める理由を深掘り!なぜ優秀な層から離職するのか
- 中間管理職が辞める会社に共通する3つの組織的特徴
- 中間管理職の離職が招く連鎖退職と組織への甚大なダメージ
- 中間管理職が辞める会社を脱却するための「役割の再定義」
- 新任管理職を最初の1年で折らないオンボーディング設計
- AI時代の中間管理職|テクノロジーで役割はどう変わるのか
- 自分の会社は大丈夫?管理職が辞める会社10のチェックリスト
- 中間層が辞めない組織に共通する「育成・評価・信頼」の仕組みとは
- 他社の取り組み|住友化学・LIFULLに学ぶ管理職を支える組織づくり
- 中間管理職が辞めない「進化し続ける組織」へ変革する方法
- まとめ:中間管理職が辞める会社を変えるために、今組織が取り組むべきこと
- よくある質問
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- 【戦略】成果を出すAI組織導入の設計フレーム
- 【失敗回避】導入企業が陥る6つの落とし穴と対策
- 【実践】業務で使えるプロンプト設計法
中間管理職が辞める会社の共通点5選
中間管理職が辞める会社に共通するのは、責任と権限が釣り合わない状態を放置している点です。管理範囲の過大、評価と貢献のズレ、ハラスメントの黙認、新任への支援不在が重なると、本人の意欲や能力とは無関係に離職が起こります。
- 共通点1:責任だけが集まり、意思決定の権限がない
- 共通点2:管理する人数と業務量が本人の許容量を超えている
- 共通点3:マネジメントの貢献が評価に反映されない
- 共通点4:ハラスメントや人間関係の問題が放置されている
- 共通点5:新任管理職に引き継ぎと支援の仕組みがない
共通点1|責任だけが集まり、意思決定の権限がない
もっとも多いのが、成果責任は課されるのに、人員配置・予算・業務の優先順位を自分で決められない状態です。部下から改善要望を受けても「上に確認します」しか返せず、経営からは「現場で何とかしろ」と言われます。
この構造では、管理職は板挟みの伝令役になります。判断の当事者ではないのに結果の責任者にされるため、自分の仕事の意味を見失いやすくなります。
共通点2|管理する人数と業務量が本人の許容量を超えている
1人の管理職が見る部下の人数(スパン・オブ・コントロール)が過大な組織では、育成もフォローも物理的に不可能です。加えてプレイヤー業務が残っていれば、マネジメントは残業時間に押し出されます。
管理職が「部下と話す時間が取れない」と口にした時点で、それは本人の時間管理の問題ではなく人員配置の設計ミスです。
共通点3|マネジメントの貢献が評価に反映されない
プレイヤー時代の数字だけで評価される組織では、育成やチーム運営に時間を使うほど評価が下がります。部下の成長、離職率の改善、業務の標準化といった成果は数字になりにくく、評価者からも見えません。
結果として、管理職になることが「損な役回り」として社内に認知されます。後任のなり手がいなくなるのは、その認知が定着した後です。
共通点4|ハラスメントや人間関係の問題が放置されている
2020年6月施行の改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、企業には相談窓口の設置などハラスメント防止の措置義務があります(中小企業は2022年4月から義務化)。にもかかわらず、実態として「当事者間で解決してほしい」と現場に投げ返す組織は残っています。
問題を抱えた部下やベテランへの対応を管理職が1人で背負うと、精神的な消耗が蓄積します。人事が介入しない前例が一度できると、次からは誰も相談しません。
共通点5|新任管理職に引き継ぎと支援の仕組みがない
昇進の辞令だけが出て、役割の定義も判断基準の引き継ぎもないまま「見て覚えろ」で放り出される状態です。最初の数か月で自信を失った管理職は、その後も相談先を持てません。
パーソル総合研究所の「中間管理職の就業負担に関する定量調査」(2019年3月実施、従業員50人以上企業の第1階層管理職 n=2,000)では、人事部門の24.0%が中間管理職に対して「特に支援していない」と回答しています。支援の空白は例外ではなく、一定の割合で存在する標準的な状態です。
出典:中間管理職の就業負担に関する定量調査|パーソル総合研究所
中間管理職が辞める会社に見られる「静かな崩壊」の兆候
中間管理職の離職は、突然の退職届ではなく静かな兆候から始まります。会議での発言が減る、改善提案が止まる、部下の相談が上がってこなくなる。この段階で手を打てるかどうかが分岐点です。
崩壊は音を立てて起きません。表面上は業務が回っているように見えるため、経営が気づくのは複数名が辞めた後になります。
離職が加速する職場の見えない不満とは
離職前の管理職は、不満を言わなくなります。言っても変わらないと学習した結果、要望が経営に届かなくなるためです。
- 会議で「特にありません」が定型句になる
- 改善提案の数が半年単位で減っている
- 部下の不調やトラブルの報告が事後になる
- 有給の取得が急に増える、または全く取らなくなる
- 他部署との横のやり取りを避けるようになる
いずれも業績指標には表れません。だからこそ、管理職の発言量と提案数を意識的に観測する必要があります。
辞める中間管理職が残す本音のフレーズ5選
退職面談で出てくる言葉は、辞める理由そのものより組織の構造を映します。以下は現場で頻出する5つです。
- 「結局、何も決められないので」:権限の欠如を指しています
- 「自分がやったほうが早いので」:業務分担と育成時間の不足です
- 「上に言っても変わらないので」:意思決定の距離と諦めです
- 「部下には申し訳ないですが」:チームへの責任感が残っているサインです
- 「もう少し前に相談できていれば」:支援窓口が機能していなかった証拠です
これらは退職時に初めて出るのではなく、多くの場合は数か月前から日常会話に混ざっています。
現場の管理職が限界を迎えているサインを見逃さない方法
限界の検知は、人の感覚ではなくデータで行います。管理職本人の自己申告に頼ると、責任感の強い層ほど「大丈夫です」と答えるためです。
観測する指標は3つに絞れます。1つ目は1on1の実施率と実施時間、2つ目は部下からの相談件数の推移、3つ目は本人の会議発言量です。いずれも記録が残る形で運用すれば、月次で変化を追えます。
生成AIを使えば、1on1の記録や日報から負荷の高まりを示す表現を抽出し、傾向として把握できます。人手で全件読む前提では続かない運用を、仕組みで回せる形に変えられます。
データで見る中間管理職の実態|負担・意欲・後任者不足
中間管理職の負担増は個別企業の事情ではなく、調査で確認できる構造的な現象です。管理職自身が挙げる課題は人手不足・後任者不足・業務量増加が上位を占め、負担の高い層では転職希望が明確に高まります。
以下は公開されている調査結果です。いずれも調査時期を併記しているため、自社の状況と照らす際は前提の違いを確認してください。
| 調査 | 主な結果 | 調査時期・対象 |
|---|---|---|
| パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査」 | 管理職が感じる課題の上位は人手不足57.5%/後任者不足56.2%/自身の業務量増加52.5%。部下育成の困難は37.5% | 2019年3月、従業員50人以上企業の第1階層管理職 n=2,000 |
| 同調査(負担の高い層) | 転職希望27.0%/仕事の意欲低下23.8%/学びの時間を確保できない63.0% | 同上 |
| 同調査(人事側) | 人事部門の24.0%が中間管理職を「特に支援していない」 | 2019年2月、人事部従業員 n=300 |
| パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査」 | 日本のメンバー層の管理職意欲は21.4%。インド・ベトナムは8割超 | パーソル総合研究所コラムでの引用値 |
| マイナビ「仕事・私生活の意識調査2026年」 | 役職についていない20代正社員のうち、出世を望まない層が52.3% | 2025年実施 |
| リクルートマネジメントソリューションズ「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査(2025)」 | 人事・管理職の7割超がマネジメント層に課題感。イノベーションを担う「創造革新タイプ」の管理職は既存の約5% | 2025年、人事担当者・管理職層 n=300 |
| パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」 | 上司の困りごとのうち「部下の仕事の様子がわからなくなった」がここ2年で唯一増加傾向。テレワーク実施率は正規雇用22.5%で定着、継続希望は82.2%と過去最高 | 2025年7月11〜15日、全国の就業者20〜59歳 n=30,731 |
※表は横にスクロールできます。
数値が示しているのは3点です。1つは、管理職の負担が「本人の力量不足」では説明できないこと。2つ目は、負担が高い層では転職希望が3割弱に達しており、離職が既に発生している段階にあること。3つ目は、働き方がハイブリッドに固定された結果、負担の中身そのものが「見えない部下をどう見るか」へ移っていることです。
出典:中間管理職の就業負担に関する定量調査|パーソル総合研究所/罰ゲーム化する管理職―「強いミドル」は復活するのか|パーソル総合研究所/管理職になりたい学生、なりたくない社会人|マイナビキャリアリサーチLab/マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査(2025)|リクルートマネジメントソリューションズ/第十回・テレワークに関する調査|パーソル総合研究所
ハイブリッド勤務の定着で「部下が見えない」負担が上乗せされた
負担の中身は2019年当時から一段変化しています。テレワークは正規雇用で22.5%に落ち着き、継続希望は82.2%と過去最高に達しました。一方で頻度は「減った」が35.8%と最多で、週1日以下のテレワーカーが49.4%(前年43.6%)まで増えています。全員出社でも全員在宅でもない、最もマネジメントしにくい状態が標準になったということです。
この環境で、上司の困りごとのうち「部下の仕事の様子がわからなくなった」だけがここ2年で増加傾向を示しています。出社していれば表情や雑談の量で拾えていた不調のサインが、テキストのやり取りからは読み取れません。中間管理職は成果の管理に加えて「状態の把握」という新しい仕事を、追加の権限も時間も与えられないまま抱えています。
打ち手は監視ツールの導入ではありません。日報やチャットの往復から状況を要約する作業を自動化し、管理職が対話そのものに時間を使える状態をつくることです。具体的な手順は後述のAI活用の項目で扱います。
後任者不足は「今いる管理職が辞めない前提」で運用されている
後任者不足を56.2%の管理職が課題として挙げている一方、多くの組織の人員計画は現任者が続ける前提で組まれています。次の管理職候補が育っていない状態で1人辞めれば、残る管理職に業務が上乗せされ、連鎖が始まります。
後任者育成は「余裕があるときにやること」ではなく、現任者の離職リスクを下げる直接の手段です。
管理職意欲の低さは処遇と情報開示の問題
管理職になりたくない理由は、責任と処遇の釣り合い、私生活との両立、管理職のネガティブな姿を見ていること、現状への満足の4系統に整理されます。このうち組織が短期で動かせるのは、処遇の説明と役割情報の開示です。
管理職の職務内容・判断範囲・評価基準・処遇差を文書で示していない組織では、候補者は目の前の管理職の疲弊した姿だけを判断材料にします。
中間管理職が辞める理由を深掘り!なぜ優秀な層から離職するのか
優秀な管理職から先に辞めるのは、社外に選択肢があるためです。組織の構造的な問題を正確に理解できる人ほど、改善の見込みがないという判断も早く下せます。残るのは、市場価値を測る機会がないまま消耗している層です。
つまり離職の順序は能力順です。残ってほしい人から順に抜けていく構造そのものが、組織側の課題を示しています。
中間管理職が辞める心理的な要因「孤立無援」と相談相手の不在
管理職は部下に弱みを見せられず、上司には成果を問われます。同じ立場の同僚とも評価で比較されるため、相談相手が社内にいない状態になりやすい立場です。
パーソル総合研究所の調査では、負担の高い層で「学びの時間を確保できない」が63.0%に達しています。相談も学習もできない状態が続けば、判断の質が落ち、さらに自信を失う循環に入ります。
孤立を解消するには、上司との1on1とは別に、同階層の管理職同士が課題を共有する場を制度として置く必要があります。
優秀な中間管理職が辞める会社ほど「市場価値」への理解が乏しい
自社の管理職が外部労働市場でどう評価されるかを把握していない組織は、処遇の妥当性を判断できません。「うちの給与水準は悪くない」という感覚は、比較対象を持たない限り検証されていない主張にとどまります。
年に1度は、同職種・同規模の求人票の提示条件を確認し、自社の管理職手当と役割の重さを照合してください。この確認をしない組織は、優秀層が転職活動を始めた時点で初めて格差を知ることになります。
評価制度の矛盾が中間管理職を追い詰める構造的欠陥
評価制度の矛盾は、次の3つの形で現れます。
- プレイヤー時代の成果指標が管理職にもそのまま適用されている
- 育成・標準化・離職防止といったチーム成果が評価項目に存在しない
- 評価者の裁量が大きく、上司によって基準がぶれる
このいずれかがあると、管理職は「評価されるために自分で数字を作る」方向に動きます。育成の時間を削ってプレイヤー業務に戻るのは、制度に合理的に反応した結果です。
上司と部下の板挟みによる精神的疲弊と構造的限界
板挟みは、上下の要求が矛盾したまま調整を1人に任せる設計から生まれます。経営は生産性向上を求め、部下は業務量の削減を求める。どちらも正当な要求であるため、管理職の努力では解けません。
解決の起点は、判断に必要な情報と権限を管理職に渡すことです。要求の矛盾を管理職の内側で処理させるのではなく、経営と現場が同じ情報を見て優先順位を決める場に変えます。
業務量そのものを削る手段は、人手不足を業務効率化で乗り切る進め方で詳しく整理しています。
裁量権のない管理職が陥る「やりがいの搾取」の実態
裁量のない管理職に残るのは、責任と感情労働だけです。この状態で「成長の機会」「経営視点が身につく」と説明すると、本人はやりがいを理由に負荷を受け入れます。
しかし裁量が伴わない経験からは、意思決定能力は育ちません。数年後に本人が気づいたとき、組織側に信頼は残っていません。やりがいで負荷を吸収させる運用は、時間差で離職に転化します。
中間管理職が辞める会社に共通する3つの組織的特徴
共通点5選が症状であるのに対し、その症状を生み出す構造は3つに集約されます。業務の属人化、経営層との断絶、育成文化の欠如です。この3つを放置したまま個別の待遇改善を行っても、離職は止まりません。
以下の表は、3つの構造要因が先の共通点5選のどれを生み、どこが修正の主体になるかを整理したものです。
| 構造要因 | 生み出す症状 | 修正の主体 |
|---|---|---|
| 業務の属人化 | 共通点2(管理範囲の過大)/共通点5(引き継ぎ不在) | 現場管理職+業務設計担当 |
| 経営層との断絶 | 共通点1(権限の欠如)/共通点4(問題の放置) | 経営・役員層 |
| 育成文化の欠如 | 共通点3(評価の不整合)/共通点5(支援の不在) | 人事・経営 |
※表は横にスクロールできます。
3つとも修正の主体が現場の管理職本人ではない点が要点です。本人の努力に期待する施策から先に着手すると、負荷だけが増えます。
属人化した業務が招く「マネージャー不在」の機能不全
特定の管理職しか判断できない業務が積み上がると、その人が休むだけで意思決定が止まります。休めない状態は本人の負荷であると同時に、組織の脆弱性です。
属人化の解消は、業務の棚卸しと判断基準の文書化から始まります。「この案件はどの条件を満たせば承認するか」を書き出せば、他者が代替できる範囲が明確になります。
判断基準の言語化とAI活用を接続する進め方は、生成AIプロジェクトの設計手順で具体的に扱っています。
経営層との断絶|現場の声が届かない組織の末路
現場の情報が経営に届かない組織では、経営判断が実態と乖離します。管理職は説明できない方針を部下に伝える役割を負い、信頼を消耗します。
断絶を測る指標は単純です。経営会議の議題のうち、現場の管理職から上がってきたものが何件あるか。半年間ゼロであれば、情報経路は機能していません。
育成文化の欠如による「次世代リーダー不在」の危機
育成が評価されない組織では、誰も育成に時間を使いません。結果として管理職候補が育たず、現任者が辞められない状態が続きます。この構造は、現任者の負荷を固定化します。
育成を文化ではなく制度として置くには、育成業務を職務記述に明記し、評価項目に入れ、実施の時間を業務時間として確保する3点が必要です。定着の設計思想は人材定着を仕組みで実現する戦略にまとめています。
中間管理職の離職が招く連鎖退職と組織への甚大なダメージ
中間管理職1人の離職は、ノウハウの流出、責任の空白、若手の連鎖退職、経営と現場の分断という4つの損失を生みます。採用コストだけを見ていると、実際の損失額を大きく見誤ります。
損失の多くは会計上の科目に現れません。だからこそ、自社の数値で試算しておく必要があります。
ノウハウ流出の危機|離職によって失われる「組織の記憶」
管理職が持ち出すのは業務手順ではなく、判断の履歴です。「あの取引先はこの条件では動かない」「この案件は法務を先に通す」といった暗黙知は、引き継ぎ書には書かれません。
引き継ぎが形式的に終わってしまう理由と対策は、引き継ぎが機能しない組織の共通点で整理しています。
管理職不在による「責任の空白」が現場をさらに疲弊させる
後任が決まらない期間、業務は残る管理職か上位者に上乗せされます。兼務が3か月を超えると、兼務側の管理職にも同じ症状が出始めます。
空白期間の長さは、後任候補の準備状況で決まります。候補が1人もいない状態では、外部採用の期間(一般に数か月)がそのまま空白になります。
チームのモラル低下と若手社員の流出を招く負の連鎖
信頼していた管理職が辞めると、部下は「この会社では頑張っても報われない」という解釈をします。特に、辞めた理由が組織の構造にあると部下が理解している場合、連鎖の確率が上がります。
若手の離職は、管理職の離職から3〜6か月遅れて現れることが多く、原因の紐付けが難しくなります。時期をずらして起きるため、別の問題として処理されがちです。
現場と経営の分断が決定的になる瞬間
複数の管理職が辞めた後、経営が「最近の管理職は根性がない」と総括した瞬間に分断は決定的になります。この総括が社内に伝わると、残る管理職は改善の望みを捨てます。
分断を避けるには、退職面談の内容を個人の事情に還元せず、構造の課題として経営会議で扱う運用が必要です。
中間管理職1人の離職コストを自社で試算する
離職コストの相場値は調査手法によって幅が大きく、他社の概算値をそのまま使うと実態から離れます。以下のフォーマットで自社の数字を入れてください。
| 費目 | 算出方法 | 自社の値 |
|---|---|---|
| 採用費 | 人材紹介手数料(理論年収×手数料率)または求人広告費+自社工数 | 円 |
| 選考・面接工数 | 面接官の時間単価×面接時間×回数×候補者数 | 円 |
| 空白期間の生産性低下 | 兼務者の超過工数×時間単価×空白月数 | 円 |
| 立ち上がり期間の差 | 前任者との成果差×立ち上がり月数(6〜12か月で設定) | 円 |
| 連鎖退職 | 上記1〜4を、連鎖した部下の人数分で再計算 | 円 |
※表は横にスクロールできます。
この試算で押さえるべきは、5行目の連鎖退職を含めた総額です。 管理職1人の採用費だけを見ると数十万円から数百万円の話に見えますが、部下2名が続いて辞めた場合は同じ計算が3回発生します。経営会議に出す資料では、必ず連鎖分を含めた合計で提示してください。
この総額が出ると、離職防止の施策は「人事の努力目標」から「投資対効果を比較できる経営課題」に変わります。ここから先は、算出したコストに対してどの打ち手を先に置くかという設計の話になります。
中間管理職が辞める会社を脱却するための「役割の再定義」
離職を止める起点は、管理職の役割定義を書き換えることです。指示と監視を中心とした管理型から、支援と意思決定を担う伴走型へ役割を移し、そのうえで責任・権限・指示系統を文書で明確にします。
役割の再定義は、精神論ではなく文書の作業です。何を決められるのか、誰に報告するのか、何が評価されるのかを紙に落とせば、板挟みの多くは解消します。
管理・監視から支援・伴走へ|マネジメントスタイルの転換
従来型と伴走型の違いを整理すると、判断の所在と負担の分散が最大の差になります。
| 項目 | 従来の管理型 | これからの伴走型 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 指示・監視 | 支援・コーチング |
| 意思決定 | 上司がすべて決める | 部下に任せ、支援する |
| 負担の所在 | 管理職に集中 | チームで分散 |
| 情報の流れ | 上から下への一方向 | 双方向で経営にも還流 |
| 評価の対象 | 個人の成果 | チームの成果と育成の実行 |
伴走型への転換で管理職の負担が減るのは、意思決定を部下に渡す部分です。全ての判断を管理職が抱える設計をやめない限り、スタイルだけを変えても負荷は変わりません。
責任・権限・指示系統を文書で明確にする
板挟みの多くは、3点が曖昧なまま運用されていることに起因します。以下を1枚の文書にまとめてください。
- 責任の範囲:どの成果について責任を負うか(売上・品質・納期・離職率など)
- 権限の範囲:金額・人員・スケジュールについて、どこまで自分で決められるか
- 指示系統:誰から指示を受け、誰に報告するか。兼務がある場合の優先順位も明記する
特に3の指示系統は、複数の上位者から異なる指示が来る組織で必須です。マトリクス組織や兼務が多い組織では、優先順位を明文化していないことが管理職の消耗源になります。
管理する人数と業務分担を見直す
責任と権限を整えても、物理的な業務量が許容量を超えていれば結果は変わりません。以下の順で見直します。
- 各管理職の直接の部下人数を一覧化する
- 部下人数が多い管理職について、階層を1つ足すか、チームを分割するかを判断する
- 管理職が抱えるプレイヤー業務を書き出し、移管先か廃止を決める
- 業務分担表を作成し、誰が何を担当するかを全員が見られる場所に置く
3のプレイヤー業務の棚卸しを飛ばすと、階層を足しても管理職の実務は減りません。移管先が決まらない業務は、廃止するかツールで自動化するかの判断まで進めてください。
心理的安全性の確保と「失敗を許容する文化」の重要性
権限を渡しても、失敗が責められる組織では誰も判断しません。心理的安全性は精神的な配慮ではなく、意思決定を分散させるための前提条件です。
具体的には、失敗事例を評価の減点材料にせず、判断の記録として共有する運用に変えます。「なぜその判断をしたか」を残せば、同じ状況での判断精度が組織全体で上がります。
新任管理職を最初の1年で折らないオンボーディング設計
新任管理職の離職は、着任後3か月から1年の間に起きやすくなります。役割定義の引き継ぎ、判断基準の共有、相談先の確保という3点を最初の1か月で用意できるかが分岐点です。
昇進の辞令だけで支援がない状態は、パーソル総合研究所の調査で人事部門の24.0%が「特に支援していない」と回答している通り、珍しい例ではありません。
着任前後30日でやること
| 時期 | 実施内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 着任2週間前 | 役割定義書(責任・権限・指示系統)の提示 | 直属の上位者 |
| 着任1週目 | 前任者からの判断基準の引き継ぎ(案件ごとの承認条件) | 前任者・上位者 |
| 着任2週目 | 部下1人ずつとの初回1on1(担当業務と困りごとの把握) | 本人 |
| 着任1か月目 | 上位者との週次1on1の設定、人事の相談窓口の明示 | 上位者・人事 |
| 着任3か月目 | 役割定義の実態とのズレを確認し、権限範囲を調整 | 上位者 |
※表は横にスクロールできます。
3か月目の調整を入れておく点が要点です。着任前に決めた権限範囲は、実務に入ると必ずズレます。ズレを放置すると、本人が「決められないまま責任を負う」状態に戻ります。
同階層の相談先を制度として置く
上位者との1on1だけでは、上司には言えない悩みが行き先を失います。同じ階層の管理職が月1回集まり、判断に迷った案件を持ち寄る場を設けてください。
この場の運営で避けるべきは、報告会にしてしまうことです。議題を「うまくいっている話」ではなく「判断に迷った案件」に限定すると、実務の役に立つ場になります。
AI時代の中間管理職|テクノロジーで役割はどう変わるのか
生成AIは、管理職の業務のうち情報の整理・要約・下書きの部分を引き受けます。空いた時間を判断と対話に回せるかどうかで、役割の再定義が実現するかが決まります。導入そのものではなく、時間の使途を役割定義に書き込むところまでが施策です。
ツールを入れるだけでは負荷は減りません。何を手放すかを決めることが先です。
AIを活用するリーダーへ|「指示出し」からの脱却
指示の内容を作る作業と、指示を伝えて動かす作業は別のものです。前者の下書きは生成AIで短縮でき、後者に時間を回せます。
たとえば週次の業務指示について、目的・背景・完了条件・注意点の4項目を箇条書きで入力し、部下向けの説明文に整えさせる使い方があります。伝達の抜けが減り、口頭で補う時間も短くなります。
生成AIによる業務効率化|管理職の負担を劇的に減らす手法
管理職の定型業務のうち、生成AIで短縮できるものは次の通りです。
- 会議の記録から決定事項とタスクを抽出する
- 部下の日報や週報から、対応が必要な項目を拾い出す
- 上位者への報告資料の構成を作る
- 業務手順書の下書きを作る(属人化の解消に直結します)
- 評価コメントの観点整理(最終的な評価判断は人が行います)
ただし、管理職に「AIを使え」と伝えるだけでは何も動きません。株式会社LIFULLは内製AI「keelai」をSlackのメンション機能で呼び出せる形に設計し、新しいツールを開く手間そのものをなくすことで生成AI活用率96%に到達しました。半年で約5万時間の業務時間削減という結果も出ています。導線を日常の業務動線上に置いたかどうかが、活用率を分けています。設計の詳細は記事後半で取り上げる同社の進め方で確認できます。
利用範囲を決めずに始めると、機密情報の扱いで社内が混乱します。使い方のルールづくりは生成AIの利用ポリシーの作り方を参照してください。
AI時代のリーダー像|価値創造に集中できる環境を再設計する
リクルートマネジメントソリューションズの調査(2025年、n=300)では、イノベーションを担う「創造革新タイプ」の管理職が既存の管理職のうち約5%にとどまる一方、人事・管理職の36.7%がこのタイプを増やしたいと回答しています。
期待と実態の差を埋めるには、まず現在の管理職が創造的な業務に使える時間を作る必要があります。順序は、業務の棚卸し→定型業務の自動化・移管→空いた時間の使途を役割定義に明記する、の3段です。時間を作るところで止めると、空いた時間は別の定型業務で埋まります。
生成AIの業務フローへの組み込みノウハウについては、以下の資料でより詳しく解説しています。
生成AI、導入したのに使われていない?
戦略・失敗回避・プロンプトの型。“定着する組織”に必要な3要素を、無料の3冊に。
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3冊セットを無料でダウンロード→自分の会社は大丈夫?管理職が辞める会社10のチェックリスト
自社の状態は、権限・育成・評価の3領域を問う10項目のチェックで概況を把握できます。5つ以上該当する場合は、管理職が辞めやすい構造が既に成立している状態であり、個別施策では戻りません。
該当数だけでなく、どの領域に集中しているかを見てください。領域が分散している場合は、組織全体の設計から着手する必要があります。
あなたの職場にも当てはまる?10のチェック項目
以下の10項目のうち、いくつ当てはまるかを確認してください。
- 管理職が3年以内に複数名辞めている
- 「育成」に関する施策や評価項目が存在しない
- 部下の目標管理を放置しても咎められない
- 「とにかく現場で回せ」としか言われない
- 会議は報告が中心で、対話や議論が少ない
- マネージャーに裁量がなく、承認待ちばかり
- 成果よりも「在席時間」が評価軸になっている
- 新しいツールやAI導入が進まず、属人的業務が多い
- 中間管理職へのフォロー体制が存在しない
- 「自分の上司も悩んでいるように見える」と感じる
判定の目安は以下の通りです。
| 該当数 | 状態 | 着手の順序 |
|---|---|---|
| 0〜2個 | 個別の課題として対応できる段階 | 該当項目の担当領域から順に修正 |
| 3〜4個 | 構造化が始まっている段階 | 該当項目が集中する領域(権限・評価・育成)を特定して着手 |
| 5個以上 | 管理職が辞めやすい構造が成立している段階 | 役割定義と権限範囲の文書化から着手(個別施策では戻らない) |
該当項目が3つの領域(項目1・4・6=権限/項目2・3・9=育成と支援/項目5・7・10=評価と対話)にまたがっている場合は、該当数が少なくても組織設計からの見直しが必要です。1領域に集中していれば、その領域の修正で改善します。
チェックが3つ以上ついた組織で次にやるのは、該当項目を「誰がいつまでに直すか」に落とす作業です。役割定義の書き換えも評価制度の修正も、管理職本人だけでは着手できません。経営と人事を巻き込む前提で、現状を数字と事実で示す材料を揃えるところから始めます。
対話と可視化から変化を起こすAI活用のヒント
生成AIは、組織内の見えない不満を可視化する手段としても機能します。以下のような使い方があります。
- 1on1の記録をAIが自動で要約・整理する
- 組織アンケートの自由記述を分類し、傾向を抽出する
- 現場の声から課題の系統をまとめ、経営向けのレポートにする
いずれも、人手では全件読めない量の情報を扱えるようにする使い方です。なんとなくの不満を言語化された課題に変換できれば、対策の優先順位を議論できます。
中小規模の組織での進め方は中小企業の業務改善をAIで進める手順で解説しています。
中間層が辞めない組織に共通する「育成・評価・信頼」の仕組みとは
管理職が辞めない組織は、育成の時間、評価の納得感、信頼の可視化を個人の努力ではなく仕組みで担保しています。同じ負荷の中でも辞めない職場が存在するのは、この3点の設計差によるものです。
違いは「人に頼るか、仕組みにするか」に集約されます。以下では3点それぞれの設計ポイントを見ていきます。
育てるための時間を「仕組みで生み出す」組織は強い
「現場が忙しすぎて育成の時間がない」が常態化している組織は、時間の使い方ではなく構造の問題を抱えています。育成には、まず時間が確保されている必要があります。
- 1on1の仕組み化(週1回15分でも定例として枠を取る)
- 育成業務を評価項目に反映する
- OJTの伴走を「役割」として職務記述に明文化する
これらを個人の熱意ではなく仕組みで回すことが要点です。「忙しいから育てられない」から「育てることが仕事の一部」へ役割定義を書き換えれば、育成に時間を使う判断が正当化されます。
評価が納得できる仕組みが離職を防ぐ
中間管理職の退職理由で頻出するのが「評価に納得できない」という声です。以下の状態があれば、評価制度が離職の要因になっています。
- プレイヤー時代の成果だけが評価される
- 組織運営や人材育成の貢献が可視化されない
- 上司によって評価軸がぶれる
これではマネージャーの役割が損な役回りに見えます。「何をすれば、どう評価されるのか」が明文化され、組織全体に共有されている状態が必要です。結果だけでなく、プロセスやチーム成果への貢献を評価する枠組みが、離職率の低さに直結します。
信頼を支える情報の可視化と対話の設計
信頼関係は偶然ではなく、情報の可視化と対話の設計で築けます。生成AIを使った可視化の具体例は次の通りです。
- 1on1のログをAIが要約し、メンバーの不安を見える形にする
- 業務日報から、隠れた課題や負荷の偏りを抽出する
- 自己評価と上司評価のギャップを分析し、認知のズレを把握する
これらによって、見えていなかった課題や放置されていた努力に光が当たります。可視化された情報を上位者と本人が同じ形で見られる状態が、評価の納得感と信頼の土台になります。
他社の取り組み|住友化学・LIFULLに学ぶ管理職を支える組織づくり
管理職の負担を仕組みで軽くしている企業は、評価制度と可視化の両方を同時に動かしています。住友化学とLIFULLの2社は、マネジメント層の意識と行動を変えるために、制度設計とデータ開示を組み合わせています。
住友化学|ミドル層の評価制度とダッシュボードで意識を変える
住友化学は技術革新部門とIT部門を統合してDX推進室を設立し、全社目標として「成果とスピードを10倍にする」を掲げています。2025年度にはミドルマネジメント層を対象とした新しい人事評価制度を導入し、DXへの挑戦を加点主義で評価する形に変えました。
あわせて、各部署の生成AI活用状況をリアルタイムで把握できるダッシュボードを全社員に公開しています。同社は「データとして活用の実態を公にすることで、言葉で促す以上に多くの気づきをマネジメント層に与えることができました」と語っています。
注目すべきは、評価制度の変更と活用状況の可視化を同時に行っている点です。挑戦を加点する制度だけを作っても、自部署の位置が見えなければ管理職は動きません。詳細は住友化学株式会社のインタビュー記事で紹介しています。
LIFULL|活用率96%まで到達させた前提の置き方
LIFULLは生成AIの活用率96%、半年で約5万時間の業務時間削減という水準に到達しています。初期段階では「業務に活かせている」と答えた社員は3割台でした。内製AI「keelai」をSlackのメンションで使える形にし、日常業務の中に組み込んでいます。
同社は「生成AIはExcelやWordと同じように、当たり前に使える存在にしていかなきゃいけないという危機感があった」と語っています。
注目すべきは、特別なスキルではなく既存の業務ツールと同列に扱う前提を置いた点です。管理職に新しい負担を足すのではなく、既に使っているツールの延長として入れることで、現場の抵抗を下げています。詳細は株式会社LIFULLのインタビュー記事で紹介しています。
2社に共通する設計思想:①管理職の意識を言葉ではなくデータと制度で動かす ②活用の実態を全社に開示して自部署の位置を認識させる ③日常の業務フローに組み込み、新たな作業を増やさない
中間管理職が辞めない「進化し続ける組織」へ変革する方法
構造の修正には順序があります。役割定義と権限の文書化、業務量と管理範囲の調整、評価制度の見直し、可視化の仕組みの導入という4段で進めると、途中で止まりにくくなります。
順序を逆にして評価制度から着手すると、権限のない状態で評価基準だけが増え、管理職の負担が上がります。
キャリアの見切りは合理的判断!管理職が取るべき選択肢
管理職本人の立場では、組織が変わらないと判断した時点での転職は合理的な選択です。この判断を「根性がない」と評する組織は、離職の原因を自ら再生産しています。
一方で、見切りをつける前に確認できることもあります。役割定義書の提示を求める、権限範囲の明確化を上位者に依頼する、人事の相談窓口を使う。これらへの反応で、組織に修正の余地があるかを判断できます。
組織を変えるリーダーとして自走するためのマインドセット
現任の管理職が組織を変える起点になる場合、着手点は自分の権限が及ぶ範囲に絞ります。部下との1on1の定例化、業務分担表の作成、判断基準の文書化はいずれも上位者の承認を待たずに始められます。
この3つを実施した記録が、権限範囲の拡大を経営に要求する際の材料になります。「変えてほしい」ではなく「ここまでやったので次はここを変える必要がある」という順序で持ち込むと、議論が進みます。
組織変革の第一歩|研修と仕組みを同時に動かす
管理職向けの研修だけを実施しても、役割定義と権限が変わらなければ行動は戻ります。逆に制度だけを変えても、新しい役割の遂行方法がわからなければ実行されません。研修と仕組みは同時に動かす対象です。
進め方としては、まず役割定義と権限範囲を文書化し、その内容に沿った実務スキル(1on1の進め方、業務の棚卸し、生成AIの業務適用)を研修で扱う形になります。順序としては制度の骨格が先、スキル習得が後です。
まとめ:中間管理職が辞める会社を変えるために、今組織が取り組むべきこと
中間管理職が辞める会社の共通点は、権限のない責任、許容量を超えた管理範囲、貢献と噛み合わない評価、放置されたハラスメント、新任への支援不在の5つです。いずれも本人の資質ではなく組織側の設計に起因します。
修正の順序は4段です。第1に役割定義と権限範囲を文書化する。第2に管理する人数とプレイヤー業務を棚卸しして業務量を調整する。第3に育成とチーム成果を評価項目に入れる。第4に1on1の記録や日報を可視化し、負荷のサインを月次で追える形にする。順序を逆にして評価制度から着手すると、権限のないまま基準だけが増えます。
住友化学とLIFULLの2社が示しているのは、管理職の意識は言葉ではなく制度とデータで動くという点です。評価制度の変更と活用状況の可視化を同時に走らせたことが、マネジメント層の行動変化につながっています。
そして、この一連の見直しで最も詰まりやすいのは、文書化した役割定義を現場の日常業務に落とし込む段階です。制度を作った後、管理職が実際に1on1を回し、業務を棚卸しし、空いた時間を判断に使えるようになるまでには、実務レベルのスキル習得と社内での合意形成という2つの壁が待っています。
以下の資料では、生成AIを業務に活用し、社内展開を成功させるノウハウをまとめています。AIを起点に管理職の負担を減らし、離職率を下げる組織体制を整えたい方はぜひご覧ください。
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- Q中間管理職が辞める会社の特徴を1つに絞るとしたら何ですか?
- A
責任と権限が釣り合っていない状態です。成果責任は課されるのに、人員配置・予算・業務の優先順位を自分で決められない設計が、板挟みと意欲低下の起点になります。評価や処遇の問題も、多くはこの構造から派生します。
- Q優秀な管理職から先に辞めるのはなぜですか?
- A
外部に選択肢があり、組織の構造的な問題を正確に理解できるためです。改善の見込みがないという判断も早く下せるため、離職は結果的に能力順で進みます。残ってほしい人から抜けていく順序そのものが、組織側の課題を示しています。
- Q中間管理職1人が辞めるコストはどのくらいですか?
- A
相場値は調査手法で幅が大きいため、自社の数字で試算してください。採用費、選考工数、空白期間の生産性低下、立ち上がり期間の成果差、連鎖退職分の5費目で計算します。部下2名が続いて辞めた場合は同じ計算が3回発生するため、連鎖分を含めた合計で経営に提示してください。
- Q生成AIは中間管理職の離職防止にどう役立ちますか?
- A
情報の整理・要約・下書きを引き受けることで、判断と対話に使う時間を作れます。あわせて、1on1の記録や日報から負荷の高まりや隠れた課題を抽出し、限界のサインを人の感覚ではなくデータで検知できるようになります。ただし空いた時間の使途を役割定義に明記しなければ、別の定型業務で埋まります。
- Q新任管理職の離職を防ぐには何から始めればよいですか?
- A
着任2週間前までに役割定義書(責任・権限・指示系統)を提示し、着任1週目に前任者から判断基準を引き継ぐことです。加えて、着任3か月目に役割定義と実態のズレを確認して権限範囲を調整する場を設けてください。着任前に決めた権限範囲は実務に入ると必ずズレるため、調整の機会がないと「決められないまま責任を負う」状態に戻ります。

