「Copilotエージェントの使い方を知りたいけれど、どこから手を付ければいいのか分からない」──そんな声が増えています。Microsoft 365 Copilotの中でも、エージェントは単なるチャット支援にとどまらず、社内のナレッジや業務フローを組み込み、自律的にタスクを実行できる強力な機能です。
一方で、「どう設定すればいいのか」「実際に業務でどう活用できるのか」といった具体的な情報が不足しており、導入に踏み切れない企業担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、Copilotエージェントの基本概要から、具体的な操作手順、業務での活用例、導入時の注意点や全社展開へのロードマップまでを体系的に解説します。初めて触れる方でも迷わず操作でき、実務での利用シーンが明確にイメージできる内容です。

Copilotエージェントを本当に活かすための第一歩を、このガイドから踏み出してみましょう。

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目次
  1. Copilotエージェントとは?基本概要とできること
    1. 通常のCopilotとの違い
    2. できることの例
  2. Copilotエージェントを使う前に知っておく準備
    1. ライセンスと利用環境の確認
    2. セキュリティ・情報管理の体制
    3. ナレッジソースの準備
    4. 小さく始めるPoC(概念実証)
  3. Copilotエージェントの基本的な使い方【ステップ解説】
    1. ステップ1:エージェントの起動と新規作成
    2. ステップ2:指示文(インストラクション)の設定
    3. ステップ3:ナレッジソースを組み込む
    4. ステップ4:アクション・トリガーの設定
    5. ステップ5:テストと公開
  4. 業務での活用シーンとユースケース
    1. 総務・人事部門
    2. 営業部門
    3. 法務・コンプライアンス部門
    4. 情報システム部門(情シス)
    5. 経営企画・管理部門
  5. 効果的に活用するためのコツと注意点
    1. 1. 指示文は「具体的・明確」に
    2. 2. ナレッジの定期更新が必須
    3. 3. 日本語対応の限界を理解する
    4. 4. セキュリティと情報漏洩リスクに配慮
    5. 5. 小さなユースケースから段階的に拡大する
  6. 導入から全社展開までのロードマップ
    1. ステップ1:PoC(概念実証)で小さく試す
    2. ステップ2:部門導入で実効性を確認
    3. ステップ3:全社展開とガバナンス設計
    4. ステップ4:継続的改善サイクルを回す
  7. まとめ|Copilotエージェントを業務に活かす第一歩を踏み出そう
  8. Copilotエージェントの利用でよくあるトラブル・疑問集

Copilotエージェントとは?基本概要とできること

Copilotエージェントは、Microsoft 365 Copilotの中でも自律的に業務を支援する拡張機能です。従来のCopilotは「ユーザーの指示に応じて、その場でテキストを生成・編集するアシスタント」でしたが、エージェントはさらに一歩進んで、あらかじめ設定したルールやナレッジをもとに、継続的にタスクを遂行できる点が大きな特徴です。

通常のCopilotとの違い

  • 通常のCopilot:Wordでの文章生成、Excelでの分析、Outlookでのメール草案作成など、単発の操作を補助
  • Copilotエージェント:部門固有のFAQ対応や申請フロー支援など、「継続的な業務プロセス」を自律的に実行可能

つまりエージェントは、「単なるチャット相手」から「社内業務の担当者」に近い役割を担えるのです。

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できることの例

  • 社員からの問い合わせに自動応答(人事制度、勤怠ルール、申請フローなど)
  • 社内ドキュメントやナレッジベースを検索して回答
  • Power Automateと連携して、申請処理やワークフローを自動化
  • チャットやTeams上で利用可能、部門ポータルのフロントエンドとしても活用

こうした機能により、Copilotエージェントは「人とAIが協働する新しい業務スタイル」を実現します。

Copilotエージェントの仕組みや導入の流れをより詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェック:
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Copilotエージェントを使う前に知っておく準備

Copilotエージェントは便利な一方で、すぐに誰でも使えるわけではありません。実務で活用するには、事前にいくつかの準備が必要です。ここを押さえておくことで、導入時のトラブルや「思ったように動かない」といった失敗を避けられます。

ライセンスと利用環境の確認

  • 必要なライセンス:Microsoft 365 Copilotの対象プラン(Business/Enterprise向け)
  • 対応アプリ環境:TeamsやCopilot Studioなど、エージェントを作成・利用できる環境が整っているか確認
  • ブラウザ/デスクトップ要件:推奨環境(Edge最新バージョン、Teamsデスクトップアプリなど)で利用することが望ましい

セキュリティ・情報管理の体制

  • エージェントは社内のナレッジや文書を利用するため、アクセス権限の整理が不可欠
  • 不要な情報を含めず、共有範囲を適切に制御することで情報漏洩リスクを低減
  • 特に個人情報や機密情報を扱う部署では、導入前にガバナンスルールを整備しておくことが重要

ナレッジソースの準備

  • SharePointやOneDriveに散在している資料を整理し、検索性を高めておく
  • FAQやマニュアルなど、“エージェントが答えやすい形式”にあらかじめ構造化しておく
  • 更新ルールを決め、古い情報をそのまま残さない体制を構築

小さく始めるPoC(概念実証)

  • いきなり全社展開せず、まずは一部門や一業務での試験運用から始めるのが現実的
  • 例:人事部の「有給申請手続き」や情シス部門の「パスワードリセット案内」など、限定的なユースケースから検証
  • 成果や課題を洗い出してから、徐々に範囲を広げることで成功確率が高まる
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Copilotエージェントの基本的な使い方【ステップ解説】

Copilotエージェントは、Copilot Studio上で設定を行うことで利用できます。操作自体はシンプルですが、各ステップでポイントを押さえることが重要です。ここでは、初めて触れる方でも迷わないよう、基本の流れを整理しました。

ステップ1:エージェントの起動と新規作成

  • Microsoft 365 アカウントでCopilot Studioにアクセス
  • 「新しいエージェントを作成」を選択し、名称や説明を入力
  • このとき、業務目的に即した名前をつけておくと管理がしやすい
    (例:「人事FAQエージェント」「営業提案サポートエージェント」)

ステップ2:指示文(インストラクション)の設定

  • エージェントに与える「役割」と「対応範囲」を明確に記述
  • 例:「人事部門に関する問い合わせに答えるサポートを行う」「有給休暇や勤怠ルールについて案内する」
  • あいまいな指示だと回答精度が下がるため、具体的な指示文が必須

ステップ3:ナレッジソースを組み込む

  • SharePointやOneDrive、既存のFAQデータをエージェントに接続
  • 文書をそのまま投げ込むよりも、FAQ形式やマニュアル化した情報を与える方が効果的
  • ナレッジは随時更新できるので、情報鮮度を保つルール作りが重要
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ステップ4:アクション・トリガーの設定

  • Power Automateなどと連携し、申請処理やタスクの自動実行を可能にする
  • 例:Teamsからの有給申請依頼 → ワークフローを起動 → 承認フローへ自動送信
  • 「単なる会話」から「業務の自動化」へ進化させる鍵になるステップ

ステップ5:テストと公開

  • 作成したエージェントに実際に質問し、想定通りの回答が返ってくるか確認
  • 回答が不十分な場合は、指示文やナレッジを修正して再テスト
  • 問題がなければ公開し、Teamsなどの利用環境でメンバーに展開

業務での活用シーンとユースケース

Copilotエージェントの強みは、単発的な質問応答ではなく、業務フローに沿って自律的に動ける点です。ここでは、部門別に代表的なユースケースを紹介します。

総務・人事部門

  • 社員からの問い合わせ対応(休暇制度、勤怠ルール、福利厚生など)
  • 入社手続きや各種申請のフロー案内
  • 社内FAQとして機能し、問い合わせ対応工数を削減

営業部門

  • 過去の提案書や事例をナレッジ化し、提案文書のたたき台を生成
  • 顧客からのよくある質問に即応(Teamsやチャット上で回答)
  • 商談前に必要な情報を整理し、次のアクションを提示

法務・コンプライアンス部門

  • 契約書や規程の要約・比較
  • 社員から寄せられる法務関連FAQに自動対応
  • 最新の法改正情報をナレッジに組み込み、相談窓口として活用

情報システム部門(情シス)

  • 社員からのヘルプデスク対応(パスワードリセット、システム利用マニュアル)
  • ITチケット発行・トラブルシュートの一次対応
  • 運用ログを収集し、改善提案までレポーティング

経営企画・管理部門

  • 会議議事録の要約とアクションアイテム抽出
  • 部署横断のプロジェクト進捗を整理し、レポート化
  • ダッシュボードの更新や定例レポートを自動生成

このように、Copilotエージェントは全社的に利用できる汎用性を持っています。特に問い合わせ対応や定型業務に強いため、導入直後から目に見える効果が得やすいのも特徴です。

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効果的に活用するためのコツと注意点

Copilotエージェントは強力な機能を備えていますが、設定や運用を誤ると期待通りの成果が出ないこともあります。導入効果を最大化するために、次のポイントを意識しておきましょう。

1. 指示文は「具体的・明確」に

  • 「社内ルールを説明してください」よりも「有給休暇の申請ルールを説明してください」と書く方が正確な回答が得られる
  • 曖昧な表現や抽象的な指示は誤答の原因になりやすい

2. ナレッジの定期更新が必須

  • エージェントは与えられた情報に依存するため、古い規程や過去の資料をそのまま残すと誤った案内をしてしまう
  • 「更新担当」を決め、定期的にナレッジをリフレッシュする体制を構築
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3. 日本語対応の限界を理解する

  • 英語での回答精度と比べると、日本語では言い回しの不自然さや誤訳が出やすい
  • 重要なドキュメントや契約書は、必ず人間の確認を通す二重チェック体制が安心

4. セキュリティと情報漏洩リスクに配慮

  • 社内限定の情報を扱う場合、アクセス権限の設定が欠かせない
  • 個人情報や機密情報をナレッジに組み込む際は、利用範囲を明確にする
  • 社員には「入力してはいけない情報」をあらかじめ教育しておくことが重要

5. 小さなユースケースから段階的に拡大する

  • 最初から全社展開を狙うとトラブルが起こりやすい
  • FAQや定型処理など、小規模かつ成果が測りやすい業務から始め、徐々に対象範囲を広げていく

これらを意識することで、Copilotエージェントは単なる「便利ツール」ではなく、業務の効率化と品質向上を支える存在になります。

導入から全社展開までのロードマップ

Copilotエージェントは、単に導入するだけでは十分に機能を発揮できません。企業全体に定着させるには、段階的な展開ロードマップを描くことが成功の鍵です。

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ステップ1:PoC(概念実証)で小さく試す

  • 人事部や情シス部門など、定型業務が多い部署から始める
  • 「有給申請フロー案内」「パスワードリセット対応」といったシンプルな業務で効果を検証
  • KPI例:対応時間の短縮率、一次回答の正答率

ステップ2:部門導入で実効性を確認

  • 成果が見えた段階で、他の部門(営業、法務など)へ適用範囲を拡大
  • 各部門固有のナレッジを取り込み、エージェントを最適化
  • KPI例:利用率(週次アクティブユーザー数)、問い合わせ削減件数

ステップ3:全社展開とガバナンス設計

  • 全社的に利用可能にする段階では、ガバナンスルールと教育体制が不可欠
  • 「どの情報を入力してよいか/禁止か」を明文化し、社員教育を実施
  • KPI例:従業員満足度、定着率、業務効率化によるコスト削減効果

ステップ4:継続的改善サイクルを回す

  • 利用ログや社員のフィードバックを収集し、定期的にナレッジや指示文を更新
  • 新機能やアップデートに合わせて運用を見直すことで、常に最適化された状態を維持

このように、PoCから全社展開までを計画的に進めることで、Copilotエージェントは単なる実験的導入ではなく、企業の競争力強化につながる基盤へと進化します。

特に「全社展開」の段階では、社員一人ひとりがAIを正しく理解・活用できることが成功の分かれ道です。そのためにはAIリテラシー研修の導入が欠かせません。

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まとめ|Copilotエージェントを業務に活かす第一歩を踏み出そう

Copilotエージェントは、従来のCopilotよりも一歩進んだ 「自律的に業務を支援するAIアシスタント」 です。
本記事では以下のポイントを解説しました。

  • Copilotエージェントの基本概要とできること
  • 利用前に必要なライセンスやナレッジ準備
  • 実際の設定手順(作成 → 指示文設定 → ナレッジ登録 → トリガー設定 → 公開)
  • 総務・営業・法務・情シスなど、部門別の活用シーン
  • 効果的に活用するためのコツと注意点
  • PoCから全社展開までのロードマップとKPI設計
  • よくある質問と導入時のチェックポイント

重要なのは、小さなユースケースから導入を始め、教育とガバナンスを整えながら全社展開へ進めることです。そうすることで、Copilotエージェントは単なる実験的ツールではなく、業務効率化と企業競争力を高める中核基盤となります。

Copilotエージェントを本当に業務で活かすには、社員一人ひとりがAIを正しく理解し、安心して使える環境づくりが欠かせません。

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Copilotエージェントの利用でよくあるトラブル・疑問集

Q
Copilotエージェントは日本語で使えますか?
A

利用は可能ですが、英語に比べると回答精度や自然さに差が出る場合があります。重要な文書や契約書対応では、必ず人間による確認を加えることを推奨します。

Q
他のMicrosoft 365アプリと連携できますか?
A

はい。Teams、SharePoint、Outlookなどと連携可能です。特にPower Automateとの組み合わせにより、申請処理やワークフローの自動化まで対応できます。

Q
社外顧客向けにも利用できますか?
A

基本は社内利用を前提としています。ただし、公開範囲を限定したチャットボット的な使い方で、顧客向けの一次対応に活用するケースもあります。セキュリティ面を十分に検討したうえで導入してください。

Q
トリガーやアクションが動作しない場合はどうすればよいですか?
A

多くの場合、権限設定や接続元サービスの構成が原因です。Power AutomateのフローやAPI接続の認証を再確認し、ログをチェックすることで解決につながります。

Q
Copilotエージェントを社内に定着させるには?
A

小さなユースケースから始め、成果を可視化しながら利用範囲を広げるのがポイントです。同時に、社員向けのAIリテラシー研修を実施することで、誤利用を防ぎ、全社的な浸透を早められます。

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