「Cursorに拡張機能を入れたいが、VS Codeで使っていたものがどうしても見つからない」。この壁でつまずく方は少なくありません。原因は操作ミスではなく、CursorがVS Code Marketplaceを使っていないという仕様にあります。Cursorは公式ドキュメントで、サードパーティ製拡張機能にOpen VSXレジストリを使うと明記しており、Microsoft Marketplace限定の拡張機能は掲載されていません。本記事では、拡張機能の入れ方という基本操作から、目当ての拡張機能が見つからない場合の代替ルート、VSIXファイルの手動インストール、法人でのガバナンス設定までを、Cursor公式ドキュメントの記述に沿って整理します。あわせて、AI経営総合研究所が独自に取材した先行企業の活用実態から、AIエディタを現場に定着させた企業の設計思想も紹介します。
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Cursorの拡張機能とは?基本の仕組みを理解しよう
Cursorの拡張機能は、エディタに機能を追加するモジュールです。操作感はVS Codeと同じですが、配布元はOpen VSXレジストリで、Cursorのマーケットプレイスプロキシを経由します。この一点で、トラブルの大半は原因を特定できます。
Open VSXは、Eclipse Foundationが運営するオープンソースのVS Code互換拡張機能レジストリです。Cursor公式ドキュメント「拡張機能」は、この仕組みを次のように説明しています。
Cursor では、サードパーティ製拡張機能に Open VSX 拡張機能レジストリを使用しています。拡張機能をインストール可能にする前に、Cursor のマーケットプレイスプロキシが自動マルウェア分析とサプライチェーン分析を実施します。人気の VS Code 拡張機能の多くを利用できますが、一部の Microsoft マーケットプレイス限定の拡張機能は、監査済みの Anysphere ビルドに置き換えられています。
ここで重要になるのが、検索とダウンロードがOpen VSXへの素通しではないという点です。Cursorは独自のプロキシ(marketplace.cursorapi.com)で全リクエストを受け、商用セキュリティツールによる自動マルウェア分析とサプライチェーン分析を通過した拡張機能だけを検索結果に出します。審査に通らなかったものはブロックされ、脅威情報をもとにブロックリストも継続更新されています。「VS Codeよりインストールできる数が少ない」という制約は、供給経路を絞ることでサプライチェーン攻撃の面積を減らす設計とセットになっています。
拡張機能(Extensions)とプラグイン(Plugins)は別物
2026年2月17日にCursor公式ブログ「プラグインで Cursor を拡張する」が公開されて以降、Cursorには「拡張機能」と「プラグイン」という2つの拡張手段が併存しています。混同すると探す場所を間違えるため、最初に切り分けます。
| 項目 | 拡張機能(Extensions) | プラグイン(Plugins) |
|---|---|---|
| 何を拡張するか | エディタ本体の機能(構文解析・整形・Git連携など) | AIエージェントの能力(外部ツール接続・知識追加) |
| 配布元 | Open VSX(Cursorのプロキシ経由) | Cursor Marketplace |
| 中身 | VS Code拡張機能と同じ形式 | MCPサーバー・スキル・サブエージェント・ルール・フックの組み合わせ |
| 開き方 | 拡張機能パネル(Cmd/Ctrl + Shift + X) | Customizeページ |
| 代表例 | Prettier、ESLint、GitLens | Figma、Linear、Stripe、AWS |
本記事で扱う「入れ方」は、上表の左列にあたる拡張機能です。プラグイン側は、Amplitude・AWS・Figma・Linear・Stripeなどのパートナー製が公式に提供されており、Cursor公式は組織内でプラグインを共有するためのプライベートなチーム向けマーケットプレイスを開発中だと公表しています。
Cursor自体の位置づけやVS Codeとの構造的な差は、CursorとVSCodeの違いを比較した記事で判断軸を整理しています。ツール全体の概要から確認したい場合は、Cursorのできること・特徴を解説した記事からご覧ください。
Cursorに拡張機能を追加する手順
拡張機能の追加は、パネルを開いて検索し、インストールを押す3操作で完了します。Cursor公式ドキュメントは「拡張機能はすぐに有効になります」と明記しており、通常は再起動なしで使い始められます。確認ポイントを含めて手順を分解します。
Step1.Marketplaceを開く
Cursorを起動し、左側のサイドバーにある「Extensions(拡張機能)」アイコンをクリックします。ショートカットでも開けます。
- Mac:Cmd + Shift + X を押します
- Windows/Linux:Ctrl + Shift + X を押します
このパネルが接続している先が、Cursorのマーケットプレイスプロキシ(marketplace.cursorapi.com)です。VS Codeの同名パネルとは接続先が異なるため、表示される検索結果もVS Codeとは一致しません。
Step2.拡張機能を検索して選ぶ
検索バーにキーワードまたは拡張機能IDを入力すると、候補が一覧表示されます。ここで必ず確認したいのが発行元(publisher)です。
Cursor公式ドキュメントは、同じ publisher.extension という名前でも、Open VSXとMicrosoft Marketplaceでは異なる発行元やコードを指す場合があると注意を促し、「拡張機能 ID は依存関係と同様に扱い、信頼できる発行元のものをインストールしてください」と記しています。npmパッケージを入れるときと同じ警戒度で扱う、と考えると分かりやすくなります。検索名だけでなく、発行元名と認証バッジの有無まで見てから選びます。
Step3.「Install」をクリックして追加
目的の拡張機能を開き、「Install」ボタンを押すとインストールが始まります。完了と同時に有効化され、拡張機能が提供するコマンドやアイコンがすぐ使えるようになります。
Step4.再起動して反映を確認
公式ドキュメントの記載どおり、多くの拡張機能はインストール直後に有効化されるため、再起動は不要です。再起動や明示的な適用操作が必要になるのは、表示言語そのものを切り替えるタイプに限られます。日本語化パックは「Change Language and Restart」の実行が必要で、この手順はCursorの日本語化を解説した記事で個別に扱っています。
反映確認は、拡張機能パネルの「INSTALLED」欄に対象が並んでいるか、コマンドパレット(Cmd/Ctrl + Shift + P)で当該拡張機能のコマンド名が候補に出るかの2点で判定できます。
Step5.権限設定とセキュリティに注意
業務のソースコードを扱う環境では、拡張機能が外部APIと通信するかどうかを導入前に確認します。Cursorはマーケットプレイス層で自動審査を行いますが、公式ドキュメント自身が「いずれか1つの対策だけで、他の対策に代わるものではありません」と明記しており、審査通過は無条件の安全保証ではありません。
法人環境では、次章以降で解説する許可リストやインストールのクールダウンを組み合わせます。Cursorのインストールから初期設定までの全体像は、Cursorの導入手順をまとめた記事で確認できます。
目当ての拡張機能が見つからないときの3つの代替ルート
検索しても出てこない拡張機能は、Open VSXに未掲載の可能性が高い状態です。解決ルートは3つあります。Cursor公式のAnysphere版へ置き換える、同等機能のOSS拡張に乗り換える、VSIXを手動で入れる、のいずれかです。
まず、実際にどの拡張機能が掲載されているかを確認しました。Open VSXの公開APIで拡張機能IDの登録有無を照会した結果(2026年8月7日時点)が以下です。
| 拡張機能 | 拡張機能ID | Open VSXでの掲載 |
|---|---|---|
| Prettier | esbenp.prettier-vscode | あり |
| ESLint | dbaeumer.vscode-eslint | あり |
| GitLens | eamodio.gitlens | あり |
| Python | ms-python.python | あり |
| Jupyter | ms-toolsai.jupyter | あり |
| 日本語言語パック | ms-ceintl.vscode-language-pack-ja | あり |
| Go | golang.go | あり |
| rust-analyzer | rust-lang.rust-analyzer | あり |
| Pylance | ms-python.vscode-pylance | なし |
| C/C++ | ms-vscode.cpptools | なし |
| C# / C# Dev Kit | ms-dotnettools.csharp ほか | なし |
| Remote – SSH / WSL / Containers | ms-vscode-remote.* | なし |
| GitHub Copilot | GitHub.copilot | なし |
境界線ははっきりしています。オープンソースとして公開されている拡張機能はおおむね掲載されており、掲載がないのはMicrosoftとGitHubが自社製品向けに提供する独占ライセンスの拡張機能です。同じPython開発でも、Python拡張は入るのに言語サーバーのPylanceだけ入らないのは、この線引きによるものです。
ルート1.Anysphere版の代替拡張を使う
Cursor公式ドキュメントは「Open VSX で利用できない広く使用されている一部の拡張機能向けに、ファーストパーティ製の Anysphere 代替版を公開しています」と説明しています。AnysphereはCursorの開発元です。
代表例が、Pylanceの代替として公開されている「Cursor Pyright」(拡張機能ID anysphere.pyright)です。Open VSXの公開データでは、2026年8月7日時点の累計ダウンロード数は228万件を超えています。まずは拡張機能パネルで「Anysphere」を発行元名として検索し、公式の代替版があるかを確認するのが最短ルートになります。
ルート2.同等機能のオープンソース拡張に置き換える
Anysphere版がない領域は、機能が重なるオープンソース拡張への置き換えで埋まります。前掲の表のとおり、Prettier・ESLint・GitLens・Go・rust-analyzerといった開発現場で使用頻度の高い拡張機能はOpen VSXに揃っています。
置き換えを選ぶ際は、設定ファイルの互換性を先に確認します。Prettierの .prettierrc やESLintの設定ファイルのようにリポジトリ側へ設定が置かれているものは、エディタを変えても設定資産がそのまま残るため、移行コストがほぼ発生しません。
ルート3.VSIXファイルを手動でインストールする
Open VSXに掲載がなく、Anysphere版も代替も存在しない場合の最後の手段が、拡張機能の配布形式であるVSIXファイルを手動で読み込む方法です。社内で内製した拡張機能を配布する場合や、外部ネットワークに接続できない環境で導入する場合にも使います。
手順はVS Codeから引き継がれた操作で、次の2通りがあります。
- 拡張機能パネル右上の「…」メニューを開き、「Install from VSIX…」を選択してファイルを指定します
- コマンドパレット(Cmd/Ctrl + Shift + P)で「Extensions: Install from VSIX」を検索して実行します
結果を分けるのはVSIXファイルの入手先です。Open VSXは公開APIから直接VSIXを配布しており、https://open-vsx.org/api/{発行元}/{拡張機能名}/{バージョン}/file/ 形式のURLから取得できます。この経路であればライセンス上の問題は生じません。
Microsoft Marketplaceから落としたVSIXの転用は規約違反です
インターネット上では「Microsoft MarketplaceからVSIXをダウンロードしてCursorに入れれば解決する」という手順が広く共有されています。しかしこの方法は、Microsoftの利用規約に明確に抵触します。
Microsoft Visual Studio Marketplace Terms of Use(2026年8月7日時点で公開中のPDF版)は、対象製品を「Microsoft Visual Studio、Visual Studio Code、GitHub Codespaces、Azure DevOps、Azure DevOps Server およびその後継製品」(In-Scope Products and Services)と定義したうえで、第2条(b)で次のように定めています。
Marketplace Offerings are intended for use only with In-Scope Products and Services and you may not install, reverse-engineer, import or use Marketplace Offerings in products and services except for the In-Scope Products and Services. (Marketplaceの提供物は対象製品との併用のみを意図しており、対象製品以外の製品・サービスにインストール、リバースエンジニアリング、インポート、使用してはならない)
CursorはMicrosoftの対象製品に含まれないため、Microsoft Marketplace由来のVSIXをCursorへ持ち込む行為は規約が禁じる「import」に該当します。個人の検証環境であっても推奨できませんが、法人利用では監査時に指摘されるコンプライアンスリスクそのものになります。VSIXの入手先はOpen VSXまたは発行元の公式配布サイトに限定する、というルールを社内の開発ガイドラインへ明記しておくのが、事後の手戻りを防ぐ最も確実な方法です。
Cursorに拡張機能が反映されない・動かないときの対処法
インストール済みの拡張機能が動かない場合は、原因を「拡張機能そのもの」と「他の拡張機能との競合」に切り分けてから対処します。Cursor公式のトラブルシューティングは、次の3ステップで競合を特定する方法を案内しています。
- コマンドパレットを開き、「Disable All Installed Extensions」を検索してすべての拡張機能を無効にします
- 症状が解消したかを確認します
- 拡張機能を1つずつ再有効化し、症状が再発した時点の拡張機能を原因と特定します
この切り分けを先に行うと、以下の個別対処のどれを試すべきかが判断できます。
拡張機能のバージョンを確認する
最初に確認するのはバージョンの不一致です。Cursorは最新機能を取り込むため定期的にVS Codeの新バージョンへリベースしており、公式ドキュメントは安定性確保のためやや古いVS Codeバージョンを採用する場合があると明記しています。最新のVS Code APIに依存する拡張機能は、この差分で動作しないことがあります。拡張機能パネルで更新の有無を確認し、最新版へ更新して挙動を再確認します。
再起動とキャッシュ削除
拡張機能の有効化処理が途中で止まっている場合は、Cursorの再起動で復旧します。改善しない場合は、拡張機能をいったんアンインストールしてから再インストールし、拡張機能の保存領域を作り直します。設定ファイルを直接編集する前に、この再インストールで解決するかを先に試すほうが安全です。
権限エラーを解消する
社内ネットワークやVPN環境では、拡張機能の通信そのものが遮断されている場合があります。Cursorの拡張機能は marketplace.cursorapi.com を経由して検索・ダウンロードを行うため、このドメインがプロキシやファイアウォールで遮断されていると、拡張機能の一覧が表示されない、更新できないといった症状が出ます。拡張機能側の設定を疑う前に、情報システム部門へ当該ドメインの通信可否を確認します。
不要な拡張機能を削除する
Cursor公式は、独自のAI補完機能を提供する拡張機能やキーボードショートカットを横取りする拡張機能が、CursorのTab補完・インライン編集と競合すると明記しています。特に、他社のAIコーディングアシスタントが競合の主要因として名指しされています。
複数のAI補完系拡張機能を併用している場合は、Cursor本体のAI機能を使うのか、拡張機能側を使うのかを決め、片方を無効化します。無効化はグローバル単位でもワークスペース単位でも設定できるため、プロジェクトごとに使い分けることもできます。
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VS Codeからの乗り換えでは、拡張機能を1つずつ入れ直す必要はありません。Cursorは設定・キーバインド・拡張機能を一括で取り込むインポート機能を公式に用意しており、環境の再現を数分で終えられます。
ワンクリックインポートを使う
Cursor公式ドキュメント「VS Code から移行」が案内する手順は次のとおりです。
- Cursorの設定を開きます(Mac:Cmd + Shift + J/Windows・Linux:Ctrl + Shift + J)
- General > Account に移動します
- 「VS Code Import」の Import ボタンをクリックします
この操作で、拡張機能・テーマ・設定・キーバインドがまとめて取り込まれます。キーボードショートカットもVS Codeと同じ既定値が使われるため、操作を覚え直す負担は発生しません。
プロファイルのエクスポートとインポートで細かく制御する
別のマシンへ環境を持ち込む場合や、取り込む範囲を選びたい場合は、VS Codeのプロファイル機能を経由します。VS Code側でコマンドパレットから「Preferences: Open Profiles (UI)」を開き、対象プロファイルの3点メニューで「Export Profile」を実行して、ローカルファイルまたはGitHub Gistへ出力します。Cursor側では同じくコマンドパレットから「Preferences: Open Profiles (UI)」を開き、「New Profile」横のドロップダウンで「Import Profile」を選んでファイルまたはGist URLを読み込み、最後にサイドバーで新しいプロファイルを有効化します。
チーム全員の環境を揃える場合は、この方法でプロファイルを1本作り、Gistで共有する運用が管理しやすくなります。
移行後に必ず確認すること
インポートは万能ではありません。Cursor公式ドキュメントは、Cursorが「VS Code Marketplace ではなく、Open VSX 拡張機能レジストリを使用して」おり、「すべての VS Code 拡張機能が掲載されているわけではなく、同じように動作するとは限りません」と明記しています。
つまり、移行後にVS Code側と同じ拡張機能一覧になるとは限りません。移行直後に拡張機能パネルの「INSTALLED」欄を開き、業務で必須の拡張機能が揃っているかを照合します。欠けていたものは、前章の3ルート(Anysphere版・オープンソース代替・VSIX手動インストール)で個別に埋めます。この照合を省くと、数日後に「ビルドは通るのにデバッガだけ動かない」といった形で表面化します。
業務効率化に役立つおすすめ拡張機能
拡張機能は数を入れるほど効果が上がるものではありません。用途カテゴリごとに1つずつ選び、Cursor本体のAI機能と役割が重ならない構成にすると、動作の安定と効率を両立できます。業務で効いてくる4つの領域を整理します。
AI支援系(コード補完・翻訳など)
コード補完や翻訳を担う領域です。ただしこのカテゴリだけは、追加の前に競合を確認します。前述のとおり、独自のAI補完を持つ拡張機能はCursorのTab補完・インライン編集と衝突すると公式が明記しています。
Cursorを主軸に据える場合、AI補完は本体機能に一本化し、拡張機能側には翻訳・コメント生成・コミットメッセージ生成のように、本体機能と守備範囲が重ならないものだけを残します。Cursor本体のAI機能をどこまで使えるかは、Cursorの使い方をまとめた記事で確認できます。
ドキュメント整理・可視化系
コード整形、コメント構造の可視化、依存関係の図示を担う領域です。この領域はレビュー工数に直結します。整形ルールを拡張機能で固定し、設定ファイルをリポジトリに置いておけば、レビューで指摘する内容から書式の話を丸ごと外せます。属人化の解消と引き継ぎの短縮に効く投資対効果の高い領域です。
チームコラボレーション支援系
Gitの履歴表示や課題管理ツールとの連携を担う領域です。レビュー依頼や進捗共有をエディタ内で完結させ、ツール間の往復を減らします。なお、外部SaaSとの連携をエージェント側から行いたい場合は、拡張機能ではなく前述のプラグイン(Cursor Marketplace)が対応領域になります。Linear・Figma・Stripeなどはプラグインとして公式提供されています。
Cursor Businessユーザーにおすすめの機能領域
チーム利用のプランでは、個人の使い勝手より構成の統一が効果を左右します。個人が自由に拡張機能を入れる状態のままだと、整形ルールや静的解析の結果がメンバーごとにずれ、差分レビューが本質から外れます。
推奨すべきは、整形・静的解析・型チェックという「出力が全員一致すべき領域」の拡張機能を固定し、テーマやキーバインドのような個人設定は自由にする切り分けです。法人向けプランで使える管理機能の詳細はCursor Businessの機能を解説した記事に、プラン別の費用感はCursorの料金体系を解説した記事にまとめています。
Cursorの拡張機能を活かすための設定とカスタマイズ
拡張機能を入れただけでは効果は限定的です。「誰が入れても同じ環境になる」状態まで設定を作り込むと、拡張機能は個人の便利道具からチームの共通基盤へ変わります。ここでは個人設定・自動化・チーム標準化の3層で整理します。
テーマ設定・ショートカット変更
テーマとフォントは可読性に、キーバインドは操作速度に効きます。VS Codeからインポートした場合はカスタムキーバインドも引き継がれるため、既存の操作習慣をそのまま使えます。
Cursorではエディタ画面を広く使うため、アクティビティバーが既定で横向きになっています。VS Codeと同じ縦向きに戻す場合は、コマンドパレットから「Preferences: Open Settings (UI)」を開き、workbench.activityBar.orientation の値を vertical に設定して再起動します。この1点だけでVS Codeからの移行時の違和感が大きく減ります。
Cursor MCPを利用した自動化の拡張
MCP(Model Context Protocol)は、AIエージェントを外部のツールやデータソースへ接続する仕組みです。Cursorではこの MCPサーバーが、スキル・サブエージェント・ルール・フックとともにプラグインの構成要素として位置づけられています。
拡張機能がエディタの機能を増やすのに対し、MCPはAIが参照できる情報と実行できる操作を増やします。社内のドキュメント基盤や課題管理ツールをAIから直接参照させたい場合は、拡張機能ではなくこちらが解になります。設定方法はCursor MCPの仕組みと設定を解説した記事で個別に扱っています。
業務フローに合わせたカスタマイズ
チームで環境を揃える実装手段が、リポジトリ直下の .vscode/extensions.json です。このファイルに recommendations として拡張機能IDを列挙しておくと、メンバーがそのリポジトリを開いたときに推奨拡張機能として提示されます。Cursorに新しく参加したメンバーが、案内文書を読まずに必要な拡張機能を揃えられる状態になります。
あわせて、整形や静的解析の設定ファイル(.prettierrc、ESLintの設定など)もリポジトリ側に置きます。設定を個人のエディタではなくリポジトリに寄せるほど、メンバー交代時の環境再現コストは下がります。
法人での利用時に注意すべき拡張機能の管理
法人利用で問われるのは、個々の拡張機能の良し悪しではなく管理体制です。Cursorはチーム管理者向けに、許可リスト・インストールのクールダウン・署名検証という3つの制御を公式に提供しており、精神論ではなく設定として統制をかけられます。
| 管理機能 | 制御内容 | 設定場所 |
|---|---|---|
| 許可済みの拡張機能(Allowed extensions) | インストールを承認済みの発行元・拡張機能IDに限定します | チームダッシュボード、またはMDM(AllowedExtensions) |
| マーケットプレイスのインストールのクールダウン | 公開から指定時間が経過するまで、インストールと更新を保留します | チーム設定 →「セキュリティと自動化」 |
| 拡張機能の署名検証 | インストール前に有効なOpen VSX署名を必須にします | チーム設定 →「セキュリティと自動化」 |
権限設定とセキュリティ対策
第一の防御線が許可リストです。承認済みの発行元または拡張機能IDだけをインストール可能にし、チームダッシュボードまたはMDMの AllowedExtensions で配布します。MDM経由で配布できるため、端末が増えても手作業の設定が増えません。
第二がEnterpriseチーム向けの署名検証です。チーム設定の「セキュリティと自動化」で「拡張機能の署名検証を必須にする」を有効にすると、有効なOpen VSX署名を持つ拡張機能以外はインストールできなくなります。発行元のなりすましに対する直接的な対策になります。
なお、Cursorに入力したコードを学習に使わせない設定は拡張機能の管理とは別系統の論点です。この点はCursorで学習させない設定方法を解説した記事で扱っています。
チーム環境での拡張機能管理
サプライチェーン攻撃で実際に多いのが、正規の拡張機能が乗っ取られ、悪意あるバージョンが短時間だけ公開されるパターンです。これに効くのがマーケットプレイスのインストールのクールダウンです。
Cursor公式ドキュメントによれば、既定値は 0(無効)で、チームオーナーと管理者が時間数を指定します。0 より大きい値を設定すると、その値がワーカー群全体に適用され、ユーザーごとの extensions.installCooldownHours 設定を上書きします。つまり、開発者が個別に即時更新へ戻すことはできません。チームが未設定の場合に限り、個々のユーザーが自分の設定で extensions.installCooldownHours を指定できます。
24時間から48時間程度の待機を挟むだけで、短命な悪意あるアップロードを踏み抜く確率は大きく下がります。開発速度への影響はほぼ発生しないため、法人環境ではまず最初に設定する価値のある項目です。
業務効率化とガバナンスの両立
3つの制御は排他ではなく重ねて使います。Cursor公式ドキュメントも、発行元の検証・エンタープライズ許可リスト・署名検証・インストールのクールダウンについて「いずれか1つの対策だけで、他の対策に代わるものではありません」と明記しています。
実務での適用順序は、①クールダウンを全社一律で設定する ②本番コードや認証情報にアクセスする拡張機能を許可リストで限定する ③Enterpriseプランを利用している場合は署名検証を有効化する、の順が現実的です。①は開発者の作業を妨げないため反発が出にくく、最初の一歩として合意を取りやすい施策になります。
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3冊セットを無料でダウンロード→他社の取り組み|ピクスタ・エブリーに学ぶAIエディタの現場定着
拡張機能の設定は、AIエディタを業務に組み込む入口にすぎません。ここからは、AI経営総合研究所が独自に取材した企業のうち、Cursorを実際の開発現場で運用している2社の進め方を紹介します。
ピクスタ株式会社|新規プロダクト開発でコードの多くをAIが記述
ピクスタ株式会社は「検索体験を良くしたい」という課題意識を起点にAI活用へ踏み出し、新規プロダクト開発では初期段階のコードの多くをAIで記述する体制へ移行しました。CursorとGitHub Copilotを作業に応じて併用し、2026年を全プロダクト・業務へのAI活用実現の年と位置づけています。同社は「各部署それぞれに業務の知識を持っている人がいて、その人たちが自分の仕事をAI前提でアップデートしていくことが重要だと考えます。」と語っています。
注目すべきは、ツールを1つに統一せず、作業内容に応じて使い分けている点です。拡張機能の選定でも同じ発想が働きます。1つの拡張機能ですべてを賄おうとせず、用途ごとに最適なものを割り当てるほうが、結果として環境は安定します。
詳細はピクスタ株式会社のインタビュー記事で紹介しています。
株式会社エブリー|AI前提の業務設計で生産性2〜3倍を実感
株式会社エブリーは、生産性向上にはAIを前提とした業務設計が必要だと判断し、ChatGPT・Cursor・GitHub Copilotを組み合わせた開発体制を構築しました。導入直後は個人の生産性が上がる一方でチーム全体の働き方は変わらず、暗黙知の言語化とルールドキュメントの更新を重ねることでAIの精度を段階的に高めています。現時点の実感値は生産性2〜3倍で、目標は10倍。3ヶ月単位の振り返りで組織全体の変化を俯瞰しています。同社は「生成AIはとてつもなく賢いんですけど、会社固有のルールや業務知識は知らないとても賢い新人だと認識しています」と語っています。
注目すべきは、AIに社内固有のルールを教える作業を運用の中心に据えている点です。.vscode/extensions.json や整形・静的解析の設定ファイルをリポジトリへ寄せる作業は、まさにこの「会社固有のルールを明文化する」工程にあたります。拡張機能の標準化は、AIに読ませる社内ルールの土台づくりでもあります。
詳細は株式会社エブリーのインタビュー記事で紹介しています。
2社に共通する設計思想:①ツールを1つに絞らず用途ごとに使い分ける ②導入直後の個人の効率化で満足せず、チーム単位の変化を測る ③社内固有のルールを言語化してAIが読める形に残す。拡張機能の統一は、この③に着手する最初の実務タスクになります。
【まとめ】Cursor拡張機能の導入は、AI活用への第一歩
Cursorの拡張機能でつまずく原因のほとんどは、操作手順ではなく配布経路の違いにあります。CursorはVS Code MarketplaceではなくOpen VSXを使い、Cursorのプロキシで自動審査を通したものだけを提供します。この前提を理解していれば、「検索しても出てこない」という現象は障害ではなく仕様として扱え、Anysphere版・オープンソース代替・VSIX手動インストールの3ルートで解決できます。
VSIXの入手先だけは妥協できません。Microsoft Visual Studio Marketplaceの利用規約は、対象製品以外へのインポートと使用を明確に禁じています。VSIXはOpen VSXまたは発行元の公式配布サイトから取得する、というルールを開発ガイドラインに書き込んでおくことが、法人利用での実務上の分かれ目になります。
法人でCursorを展開する段階では、許可リスト・インストールのクールダウン・署名検証という3つの管理機能が使えます。特にクールダウンは既定で無効なため、設定しない限り保護は働きません。開発速度をほとんど損なわずにサプライチェーンリスクを下げられるため、最初に手を付ける対象になります。
そして、拡張機能の標準化は「個人が便利になる話」で終わりません。取材した企業が共通して取り組んでいたのは、社内固有のルールを言語化してAIが読める形に残す作業でした。整形ルールや推奨拡張機能をリポジトリへ寄せる作業は、その第一歩にあたります。
ここから先の課題は、この標準化をエンジニア個人の工夫で終わらせず、全社の利用ルールとして明文化し、AIを前提とした業務設計をチーム単位で回せる状態にすることに移ります。開発現場で先行したツール活用を他部門へ広げる段階で効いてくるのは、何をどの順番で決めるかという判断基準そのものです。
以下の資料では、導入設計や組織体制、社内ルールなどをより深く解説しています。AIを適切に運用し望むアウトプットを引き出す、組織に根付かせるノウハウを知れますので、ぜひご覧ください。
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3冊セットを無料でダウンロード→よくある質問
- QCursorの拡張機能をインストールしても動かないのですが、どうすればいいですか?
- A
まずコマンドパレットで「Disable All Installed Extensions」を実行し、他の拡張機能との競合かを切り分けます。競合でなければ最新版へ更新してCursorを再起動します。独自のAI補完を持つ拡張機能はTab補完と衝突します。
- QVS Codeで使っていた拡張機能がCursorで見つからないのはなぜですか?
- A
CursorがVS Code MarketplaceではなくOpen VSXレジストリを使っているためです。MicrosoftやGitHubの独占ライセンス拡張は掲載されません。Anysphere版・OSS代替・VSIX手動の3ルートで対応します。
- QMicrosoft MarketplaceからVSIXをダウンロードしてCursorに入れてもよいですか?
- A
規約違反にあたるため使えません。Microsoft Visual Studio Marketplaceの利用規約が、提供物を対象製品以外へインストール・インポート・使用することを禁じているためです。VSIXはOpen VSXから取得します。
- Q拡張機能は無料で使えますか?
- A
多くは無料ですが、一部は有料ライセンスやサブスクリプション契約が必要です。法人利用では、ライセンス条件と商用利用の可否を導入前に確認します。あわせて発行元名も確認します。Open VSXでは同じ拡張機能IDが別の発行元を指す場合があるためです。
- Qチーム全体で同じ拡張機能を共有するにはどうすればいいですか?
- A
リポジトリ直下の .vscode/extensions.json に recommendations として拡張機能IDを列挙します。メンバーが開いた時点で推奨として提示されます。統制を強めるならMDMの AllowedExtensions を配ります。

