「Teamsの会議を、そのまま議事録にできないか」と調べている方も多いのではないでしょうか。Copilot for Teamsは会議の文字起こしを土台に要約・決定事項・タスクまで生成しますが、動くかどうかは管理者側の設定でほぼ決まります。
本記事は、利用者向けの操作手順だけでなく、管理者が押さえるべき裏側の仕様まで網羅します。会議中の操作方法と精度の実態(前半)に続けて、文字起こしポリシーの既定値・保存先・保持期間120日・利用できないケースという運用の落とし穴(中盤)を公式ドキュメントで整理しました。使い方だけ知りたい方は前半3セクション、導入可否を判断する立場の方は中盤の管理者向けセクションから読み進められます。あわせて、AI経営総合研究所が独自に取材した先行企業の活用実態も紹介します。
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Copilot for Teamsで議事録を取れる仕組み
Copilot for Teamsは、会議のトランスクリプト(文字起こし)を土台に、要約・決定事項・アクションアイテムを生成します。音声認識単体の機能ではなく、トランスクリプトが取得・保存されていることが動作の前提です。
Copilotが会議音声を文字起こし → 要約 → 決定事項・タスク抽出
Copilotの処理は3段階に分かれます。
- 会議音声を自動で文字起こしします:Teamsの文字起こし機能と連動し、発言内容をリアルタイムでテキスト化します。日本語(日本)は対応言語に含まれています。
- AIが要点を要約します:発言全体から会議の目的・結論・主要な論点を抽出して整理します。
- 決定事項・アクションアイテムを抽出します:「誰が」「いつまでに」「何をするか」をリスト化し、そのまま共有できる状態にします。
従来は会議後に人がまとめていた工程が、会議終了直後にほぼ完成版として出力されます。
通常の文字起こし機能(Teams自体の機能)との違い
Teamsには元々文字起こし機能がありますが、それだけでは読み手側の負荷が残ります。両者の役割は次のように分かれます。
| 機能 | Teamsの文字起こし | Copilot for Teams |
|---|---|---|
| 発言記録 | すべて逐語的に記録します | 要点を抽出して読みやすく整理します |
| 決定事項 | 含まれません | 自動で検出してリスト化します |
| タスク化 | 人が転記します | 自動でタスクに変換します(Planner/To Do連携可) |
| 読む負荷 | 全文を読む必要があります | 数行の要約で確認できます |
文字起こしを「実務で使える議事録」へ変換する層がCopilotの役割です。
どのように精度が担保されるか(AIモデル×Teamsデータ連携)
Copilotの出力品質は、音声認識の精度だけでなくTeams内データの参照範囲に支えられています。
- 発言の前後関係を踏まえて要約します
- チャット・ファイル・過去会議など、Teams内の文脈を参照します
- 参照範囲は利用者ごとのアクセス権限に従います
つまり、権限設計が甘い状態で全社展開すると、Copilotの参照範囲がそのまま情報リスクになります。権限まわりの設計手順はCopilotのアクセス制限を設定する手順で具体的に確認できます。
議事録作成の使い方(操作手順)
会議中にCopilotパネルを開き、指示を入力すれば要約や決定事項が生成されます。ただし前提として、テナントの会議ポリシーで文字起こしが許可され、会議中に文字起こしが開始されている必要があります。
会議中にCopilotを有効化する方法
操作自体は4ステップで完了します。
- Teamsで会議を開始します。
- 会議画面上部の「…(その他の操作)」を開きます。
- 「Copilot」を選択すると、右側にCopilotパネルが表示されます。
- パネルに質問や指示を入力すると、要約や議事録が生成されます。
会議が終わった後は、会議チャットの「Recap(要約)」タブから同じ内容を呼び出せます。ライセンスが付与されているのにメニューが出てこない場合の切り分けは、Copilot for Teamsを有効化する手順と使えない時の対処法にまとめています。
文字起こしを有効化する設定(前提条件)
Copilotが議事録を作成するには、文字起こしが動いていることが必須です。確認すべきポイントは2つあります。
- 管理者がTeams管理センターの「会議 > 会議ポリシー > 記録&文字起こし」で文字起こしを許可しているかを確認します。
- 会議中に「レコーディングと文字起こし」から文字起こしを開始しているかを確認します。
文字起こしが使えない状態になると、公式ドキュメントでは「Copilot は使用できなくなり、以前の会話履歴はすべて削除される」と明記されています。会議の途中で文字起こしを止める運用は、それまでのCopilotとのやり取りを消すことと同義です。
会議中に使えるCopilotのプロンプト3選
Copilotの出力は指示文で大きく変わります。会議中にそのまま貼り付けて使える指示は次の3つです。
- 要点整理:「この会議の要点を3行でまとめてください」
- タスク抽出:「アクションアイテムを担当者と期限付きでリスト化してください」
- 決定事項リスト化:「本日の決定事項を番号付きで整理してください」
指示文の型をもっと増やしたい場合は、会議タイプ別のテンプレートを揃えた議事録づくりの指示文テンプレート集が流用できます。
管理者が先に決める設定|文字起こしポリシーと既定値
Copilotの会議ポリシーは既定で EnabledWithTranscript(トランスクリプトの保存が必須)です。この既定値では、会議の開催者は「会議中および会議後」の設定を変更できません。主導権は管理者側にあります。
会議ポリシーの4つの設定値
管理者はTeams管理センター、または PowerShell の Set-CsTeamsMeetingPolicy -Copilot で次の4値から選びます。
| 設定値 | 動作 |
|---|---|
| EnabledWithTranscript(既定) | Copilotはオン。トランスクリプトの保存が必須です。開催者は変更できません |
| EnabledWithTranscriptDefaultOn | 既定でオンにしつつ、開催者が「会議中のみ」へ切り替えられます |
| Enabled | 開催者が「会議中のみ」を選べます。文字起こしなしでもCopilotを使えます |
| Disabled | Copilotは利用できません |
既定のままだと「会議中だけCopilotを使い、記録は残さない」という運用ができません。記録を残したくない会議が多い組織は、ポリシー値を先に見直す必要があります。
管理者ポリシーと開催者オプションの関係
文字起こしポリシー(-AllowTranscription)とCopilotポリシーは独立しているため、組み合わせで挙動が変わります。
| 管理者の文字起こし許可 | 管理者のCopilotポリシー | 開催者が選べる範囲 |
|---|---|---|
| 許可 | EnabledWithTranscript | 「会議中および会議後」に固定されます |
| 許可 | Enabled | 「会議中および会議後」と「会議中のみ」を選べます |
| 不許可 | EnabledWithTranscript | Copilotは実質使えません |
| 不許可 | Enabled | 「会議中のみ」で使えます |
| 任意 | Disabled | Copilotは表示されません |
「Copilotのライセンスを買ったのに議事録が出ない」という相談の多くは、この表のどこにいるかを確認すると原因が特定できます。
「会議中のみ」モードで失うもの
Enabled に切り替えて「会議中のみ」を選ぶと、記録を残さずにCopilotを使えます。ただし失う機能があります。
- 会議後にRecap(要約)タブからCopilotを呼び出せなくなります
- Copilotとの会話は一時的な音声テキスト変換データに依存し、会議終了後は保存されません
- 他の参加者は、あなたとCopilotのやり取りを見られません
- AIノートやAIタスクは、文字起こしやレコーディングなしでも生成できます
- プロンプトと応答は、コンプライアンス目的で保持される場合があります
「記録を残さない=どこにも残らない」ではない点は、社内ルールを作るときに押さえておく箇所です。
社内ルールの考え方や設計方法については、以下の資料でより深く解説しています。
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3冊セットを無料でダウンロード→議事録データの保存先・保持期間・参照権限
Teamsのレコーディングとトランスクリプトには既定で120日の有効期限が付きます。保存先はチャネル以外の会議なら開催者のOneDrive、チャネル会議ならチャネルのSharePointサイトです。長期保管は既定値のままでは成立しません。
既定の有効期限は120日、A1ライセンスは30日
有効期限は管理者が変更できます。設定の要点は次のとおりです。
- 既定値は120日です。期限を過ぎたファイルはごみ箱へ移動します
- Microsoft 365 A1ライセンスのユーザーは、既定の最大値が30日です
- PowerShell の Set-CsTeamsMeetingPolicy -NewMeetingRecordingExpirationDays で変更します。最小1日、最大99999日、-1 で期限なしに設定できます(-1 はPowerShellからのみ指定できます)
- 変更は新しく作成されるファイルにのみ適用されます。既存ファイルの期限はさかのぼって変わりません
- ウェビナーとタウンホールには、この有効期限ポリシーは適用されません
期限切れ後は93日で完全に消える
期限を過ぎたファイルはすぐ消えるわけではありませんが、猶予は無限ではありません。
- 期限切れファイルはごみ箱へ移動します
- 職場または学校アカウントのごみ箱内アイテムは、93日後に自動削除されます
- 完全に削除された後は復元できません
つまり、既定設定のままだと会議から最長でも約213日で議事録の原本が消えます。監査や係争対応で会議記録を残す必要がある組織は、保持期間の設定かSharePointの保持ラベル運用のどちらかを先に決める必要があります。
参照権限は「その会議に呼ばれた人」が基準
トランスクリプトはOneDriveまたはSharePointのファイルとして保存されるため、アクセス権はそのファイルの共有設定に従います。管理者は開催者によるチャット・キャプション・トランスクリプト・AI生成分析情報のコピーや転送を制限でき、この制限は既定でオンになっています。議事録を部門横断で共有したい場合は、保存先のSharePointサイトに共有する設計へ切り替えるほうが確実です。情報の持ち出し全般のリスク整理はCopilot利用時の情報漏洩対策8項目に整理しています。
Copilotで議事録を作成できないケース
ライセンスがあってもCopilotが議事録を作れない環境があります。外部組織が主催する会議、エンドツーエンド暗号化された会議、GCC High/DoD環境の4つが代表例です。導入前に自社の会議がどれに当たるかを洗い出しておく必要があります。
環境・会議形式による制約
公式ドキュメントで明記されている制約は次のとおりです。
- 参加者の組織の外部でホストされている会議では、Copilotは機能しません
- エンドツーエンドで暗号化された会議では利用できません
- GCC HighおよびDoD環境では利用できません
- 会議・イベントは最大1,000人まで対応します。大規模対象ユーザー向けに最適化されたイベントでは、開催者・共同開催者・発表者のみがCopilotを使えます
社外との商談や、顧客側が主催するプロジェクト定例をCopilotで記録する想定を立てていた場合、ここで前提が崩れます。自社が主催者になるよう会議の立て方を変えるのが実務上の回避策です。
定期会議で過去の履歴が消える挙動
見落とされやすいのが定期会議の扱いです。シリーズの後の会議が文字起こしされた場合、以前の会話履歴は使用できません。「先月の定例で決めた内容をCopilotに聞く」という使い方は成立しないため、決定事項は会議ごとにファイルとして書き出す運用へ切り替えます。
ライセンス構成側の落とし穴
環境が整っていてもアカウント構成でつまずくケースがあります。
- CopilotはExchange Onlineのプライマリメールボックスのみサポートします。アーカイブメールボックス・グループメールボックス・共有メールボックス・委任メールボックスは対象外です
- Microsoft 365 Apps for enterprise をデバイスベースライセンスで展開している場合、Copilotは利用できません
- ライブ翻訳付きの文字起こしやキャプションを使うには、Teams Premiumの契約が前提となります
Microsoft 365管理センターにはTeamsトランスクリプトの診断ツールが用意されているため、個別ユーザーで動かないときはまずこれで切り分けます。
議事録の精度と限界
Copilotの要約精度は会議環境に左右されます。背景ノイズ・専門用語・発言の重なりの3条件が重なると誤認識が増え、1時間を超える会議では要約の粒度が粗くなります。人によるレビュー工程を前提に運用設計します。
認識精度:背景ノイズ・専門用語・話者のかぶり
精度を落とす要因は主に3つです。
- 背景ノイズ:雑音の多い環境では誤認識が増えます
- 専門用語:業界特有の略語や社内用語は正しく変換されにくくなります
- 話者のかぶり:複数人が同時に発言すると文脈が崩れます
精度は高くても100%ではないため、人による確認とセットで運用します。
長時間会議での要約のクオリティ
会議が1時間を超えると、要約の粒度が粗くなる傾向があります。決定事項やニュアンスが落ちる場合もあるため、短時間会議では詳細な議事録、長時間会議では要点中心のサマリーと割り切るほうが現実的です。長い会議は議題ごとに区切り、区切りのたびにCopilotへ要約を指示すると粒度を保てます。
失敗例(誤認識で議事録が誤情報/FAQが古くて誤回答)
実際に起きやすい失敗は次の2パターンです。
- 誤認識による誤情報:会議で「納期延長」と話した内容が「納期短縮」と記録され、プロジェクト管理に混乱が生じます。
- 古い社内文書を参照した誤回答:社内規程が更新されていない状態で、Copilotが古い手続きを議事録に記載し、社員が誤った処理をします。
どちらもAIに任せきりにした結果として起きる典型例です。
改善策(人による最終チェック/ナレッジ最新化)
対策は3層で組み立てます。
- 人による最終チェック:Copilotが草案を作り、人が5分でレビューする流れを定着させます
- ナレッジ最新化:FAQ・マニュアル・規程を定期更新し、Copilotが古い情報を参照しない状態を保ちます
- ルールづくり:「Copilotの議事録をそのまま外部に出さない」「決定事項は責任者が確認して確定する」の2点を明文化します
AIと人の分担を先に決めることが、精度と信頼性を担保する現実解です。
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議事録の自動化は記録工数の削減だけで終わりません。定例会議・プロジェクト進行・営業会議・部門横断共有の4場面では、決定事項が会議直後に共有されることで、会議後の動き出しそのものが変わります。
定例会議:記録係不要
従来は記録係が手入力で議事録を残していました。Copilotを使えば議事録が自動生成され、会議終了と同時に共有できます。
| Before | After(Copilot活用) |
|---|---|
| 記録係が会議後にまとめ直します | 会議直後に要点・決定事項を共有します |
| 担当者の負担が偏ります | 記録係が不要になり、全員が議論に集中できます |
プロジェクト進行:タスクの抜け漏れ防止
複数の課題が同時進行するプロジェクトでは、議事録に「誰が何をいつまでに」が明記されないとタスク抜けが発生します。Copilotはアクションアイテムを担当者・期限付きで抽出します。
| Before | After(Copilot活用) |
|---|---|
| タスクが曖昧で抜け漏れが発生します | Copilotがタスク化し、Planner/To Doへ連携します |
| プロジェクト進行に遅延が生じます | 担当と期限が明確になり、進行速度が上がります |
抽出したタスクをどのツールで受けるかは、To Do・Planner・Projectの使い分けを確認してから決めると手戻りが減ります。
営業会議:次のアクション明確化
営業会議では案件ごとの次のステップを確定させることが目的になります。Copilotは商談の要点を要約し、提案や見積などの次アクションをリスト化します。
| Before | After(Copilot活用) |
|---|---|
| 案件ごとの進捗・課題の再確認に時間がかかります | Copilotが進捗と次のステップを整理します |
| 議事録をもとに後日まとめ直します | 会議直後にアクションを共有して即実行します |
部門横断の情報共有スピードUP
人事・総務・情シスなど部門をまたぐやりとりは情報が散在します。Copilot議事録を共有先のSharePointサイトに置くと、複数部門が決定事項を同じ場所で確認でき、問い合わせが減ります。
| Before | After(Copilot活用) |
|---|---|
| 議事録の配布までに数日かかります | 会議終了直後に全員が要点を確認できます |
| 情報が伝わらず二度手間が発生します | 情報共有がその場で完結します |
導入メリット(効果)
Copilotの効果は「議事録を書く時間」だけでなく、共有までのリードタイムとタスクの取りこぼし率に現れます。自社での効果を測るには、会議後の作業時間と決定事項の実行率を導入前に記録しておく必要があります。
議事録作成にかけていた工数をどこまで減らせるか
削減幅は会議の性質で変わるため、他社の平均値をそのまま当てはめても判断材料になりません。自社で見積もる場合は、次の3つを導入前に測ります。
- 1会議あたり、会議後に議事録を整えるのにかかっている実時間を計測します
- 議事録を配布するまでのリードタイム(会議終了から共有までの日数)を記録します
- 議事録に書かれた決定事項のうち、期限内に実行された割合を算出します
Copilotが効くのは、この3つのうち「整える時間」と「配布までのリードタイム」です。逆に、会議中に結論が出ていない会議では議事録を自動化しても実行率は上がりません。会議設計そのものを見直す必要があります。
会議終了直後に共有できるスピード感
人がまとめる場合、議事録の配布までに数日かかることがあります。Copilotなら会議終了と同時に要点を共有できるため、次のアクションへすぐ移れます。合意事項が新鮮なうちに共有されるため、認識のずれを後から修正する手間も減ります。
タスク抜け漏れ防止による品質向上
Copilotは発言からアクションアイテムを担当者付きで抽出します。曖昧なタスクや依頼の見落としが減り、「決定したはずが反映されていない」というトラブルを防げます。抽出結果をPlannerへ流し込めば、議事録とタスク管理の二重管理も解消します。
社員負担軽減・働き方改革への貢献
議事録作成というルーチンワークから解放されると、社員は議論と意思決定に時間を割けます。特定の若手に記録係が固定される状態も解消できるため、会議の参加体験そのものが変わります。
注意点とリスク
Copilotの導入で問題になるのは精度よりも運用設計です。機密情報の扱い、出力の過信、社員間のリテラシー差、ライセンスコストの4点を事前に決めておかないと、契約後に使われない状態になります。
機密情報の扱い(Teamsデータ利用ポリシー必須)
Copilotは会議中の発言や共有資料を参照します。顧客情報や個人情報を含む内容の扱いを事前にルール化しないと、情報漏洩のリスクが高まります。「顧客名や個人情報を含む内容は会議で読み上げない」「Copilot出力を外部にそのまま共有しない」の2点を最低ラインとして明文化します。
精度の過信による誤用
Copilotが生成する議事録は100%正しいとは限りません。誤認識や要約の抜け漏れがあるまま外部へ提出すると、信頼を損ないます。人による最終チェックを承認フローに組み込みます。
社員リテラシー差による活用のばらつき
Copilotの出力は指示文の質で変わります。社員ごとのリテラシー差が大きいと、便利だと感じる人と使えないと感じる人に分かれます。導入初期に指示文の型を共有し、全員が同じ水準で使える状態を作ります。導入後に使われなくなる典型パターンはCopilotが定着しない原因と3つの打ち手で整理しています。
コスト(ライセンス追加負担)
Copilot for Teamsの利用にはMicrosoft 365 Copilotライセンスの追加契約が必要です。全社員に一斉付与するとランニングコストが大きくなるため、会議数の多い部門から段階的に広げる進め方が現実的です。
差別化要素:導入前に確認すべき4項目チェックリスト
導入検討時に確認すべき項目を整理しました。
- 会議ポリシーの既定値(EnabledWithTranscript)のままで自社の会議運用が回るかを確認しましたか
- レコーディング・トランスクリプトの保持期間(既定120日)を自社の文書管理規程と突き合わせましたか
- 議事録の誤認識を補う人のチェック体制を決めましたか
- 対象ユーザー数とライセンス費用を試算し、投資対効果の判断基準を決めましたか
導入ステップ(成功までの流れ)
いきなり全社展開すると、設定不備と使い方のばらつきが同時に噴出します。小規模PoCで効果を測り、社内ルールを整備し、権限と保持期間を設計してから全社へ広げる4段階で進めるのが定着への近道です。
小規模チームでPoC(効果検証)
議事録作成のニーズが高い部門(営業会議・定例会議)から小規模に始めます。測る指標は次の2つに絞ります。
- 会議1件あたりの議事録作成時間がどれだけ変わったかを測ります
- 決定事項が期限内に実行された割合がどれだけ変わったかを測ります
数値化しておくと、経営層や他部門へ展開を提案する材料になります。
社内ルール/ナレッジ整備
議事録の精度を高めるには、Copilotが参照するマニュアル・FAQ・規程を最新化しておく必要があります。あわせて、機密情報の扱いと外部共有時のチェック体制を明文化し、社内へ周知します。
セキュリティと権限設計
CopilotはTeams内の会話やファイルを参照するため、アクセス権限の設計が土台になります。決めるべき論点は3つです。
- どの部署に先行展開するか
- 各ユーザーがどのデータにアクセスできる状態か
- 議事録の保存先と保持期間をどう設定するか
3つ目は前述の120日ルールと直結します。文書管理規程で会議記録の保存年限を定めている場合は、規程側に合わせて -NewMeetingRecordingExpirationDays を設定します。
全社展開ロードマップ
PoCで効果を確認し、ルールとセキュリティ体制を整えたら段階的に広げます。
- フェーズ1:会議数の多い部門から展開します
- フェーズ2:顧客対応部門へ広げます
- フェーズ3:全社へ展開します
Teams版Copilot全体の機能像はCopilot for Teamsの機能と使い方の全体像であわせて確認できます。
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3冊セットを無料でダウンロード→料金体系
Copilot for Teamsは単体製品ではなく、Microsoft 365 Copilotライセンスに含まれる機能です。対象のMicrosoft 365サブスクリプションを持っていることが前提で、Copilotライセンスは追加契約になります。
Copilot for TeamsはMicrosoft 365 Copilotライセンスに含まれる
TeamsのCopilot機能は、Word・Excel・OutlookのCopilotと同じライセンスで提供されます。Teams分だけを個別に契約することはできません。
なお、対象のMicrosoft 365サブスクリプションを持つ組織には、追加料金なしでMicrosoft 365 Copilot Chat(Webベースのチャット)が含まれます。ただし、社内データを参照する職場ベースのチャットや、会議中のCopilotを使うにはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要です。無料で使えるCopilot Chatだけでは議事録は作れません。
利用条件(対応プラン/追加費用)
前提となるベースライセンスは、公式ドキュメントで幅広く定義されています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| Microsoft 365 Copilot Business のベースライセンス | Microsoft 365 Business Basic/Business Standard/Business Premium/Apps for business |
| Microsoft 365 Copilot のベースライセンス | Microsoft 365 E5/E3/F1/F3、Business Basic/Standard/Premium、Apps for business/enterprise、Office 365 E5/E3/E1/F3、Teams Essentials/Enterprise ほか |
| 追加費用(Business・300ユーザー以下) | 1ユーザーあたり月額3,148円(年払い・税別、2026-06-25時点の公式定価) |
| 追加費用(Enterprise・301ユーザー以上) | 1ユーザーあたり月額4,497円(年払い・税別、2026-07-01時点の情報。公式ページでの照合は未実施のため要確認) |
| 前提条件 | 管理者によるライセンス付与と会議ポリシー設定が必須です |
「E3/E5とBusiness Standard/Premiumのみ」と書かれた古い情報が残っていますが、現在はF1・F3やOffice 365系、Teams単体プランもベースライセンスとして認められています。自社のプランが対象かどうかは、契約中のライセンス名で公式ページを確認してください。プラン別に何が使えるかの整理はCopilotの利用範囲をプラン別に比較した記事にまとめています。
無料トライアルの有無
法人向けMicrosoft 365 Copilotの無料トライアル提供は、時期と契約形態によって変わります。公開情報だけで判断せず、Microsoftのパートナー企業または営業窓口に自社契約での提供可否を確認するのが確実です。トライアルが取れない場合は、少人数分だけライセンスを購入してPoCを回す進め方に切り替えます。
中小企業 vs 大企業でのコストイメージ
コストは対象ユーザー数でほぼ決まります。前述の単価で試算すると次のようになります。
| 規模 | 利用者数 | 月額(年払い・税別) |
|---|---|---|
| 中小企業(従業員300名) | 50名 | 約157,400円(Copilot Business) |
| 大企業(従業員5,000名) | 1,000名 | 約4,497,000円(Enterprise帯・単価は要確認) |
300ユーザーを超えるとEnterprise帯となり単価が上がる料金構造のため、しきい値付近の組織は付与対象の絞り込みで総額が変わります。会議数の多い部門に限定して付与し、効果を確認してから広げる進め方が総額を抑えます。
他社の取り組み|九州旅客鉄道・テルモに学ぶCopilot運用の設計
ライセンスを付与した後に問われるのは、誰がどう使うかの設計です。Copilotを議事録だけで終わらせず業務全体へ広げた企業は、配布と同時に社内ルールと推進体制を固めています。AI経営総合研究所が取材した2社の運用設計を紹介します。
九州旅客鉄道株式会社|非エンジニアが自律的に使える体制づくり
九州旅客鉄道株式会社は、生成AIが今後のビジネスにおいて重要な技術であると捉え、JDLAのガイドラインをベースに自社ルールを策定しました。Copilot・Gemini・NotebookLMを目的別に使い分ける体制を整え、非エンジニアがRPAのエラー解析や社内アプリの試作まで担っています。同社は「非エンジニアが自律的に対応できる体制を目指しています。」と語っています。
注目すべきは、ツール選定よりも先に社内ルールの土台を作っている点です。議事録のように機密情報が混ざりやすい用途では、ガイドラインの整備が展開速度をそのまま決めます。
詳細は九州旅客鉄道株式会社のインタビュー記事で紹介しています。
テルモ株式会社|全社一斉ライセンス付与と管理職の姿勢づくり
テルモ株式会社は、生成AIを次世代の企業競争力を決定づける技術と判断し、希望者の個別申請制から全社員へのMicrosoft Copilotライセンス一斉付与へ切り替えました。約40部署にAIエージェントを作成できる人材を配置し、文献調査や法律情報の整理で数時間かかっていた作業を短縮しています。同社は「管理職の皆さんがAI活用に後ろ向きな姿勢を示すと、部下の人たちも使いづらい雰囲気になってしまいます。」と語っています。
注目すべきは、申請制をやめて全員に配った判断です。会議の議事録は参加者全員が関わる業務のため、一部だけがライセンスを持つ状態では運用が分断されます。
詳細はテルモ株式会社のインタビュー記事で紹介しています。
2社に共通する設計思想:①ツール導入より先に利用ルールとガイドラインを固めています ②現場の非エンジニアが自分で使える状態をゴールに置いています ③管理職・推進役の関与を仕組みとして組み込んでいます。議事録の自動化も、この3点が揃って初めて定例業務として定着します。
今後の展望:「働き方を変革する中核AI」へ進化していくことが期待
Microsoftは会議領域のCopilotを継続的に拡張しています。多言語対応、Planner・Outlookとの連携、Copilot Studioによる業務自動化の3方向が現時点で見えている拡張軸です。
リアルタイム翻訳・多言語対応の強化
グローバル企業では言語の壁が会議効率を下げます。現時点でも、ライブ翻訳付きの文字起こしとキャプションはTeams Premiumで提供されており、翻訳言語数はTeams Premiumで拡張されます。海外拠点との定例が多い組織は、Copilotライセンスとあわせて Teams Premium の要否を判断します。
Planner/Outlookとのシームレス連携強化
CopilotはすでにPlannerやOutlookと連携していますが、統合はさらに進みます。
- Planner:議事録から抽出したタスクがプロジェクト計画に反映されます
- Outlook:会議の決定事項が次回アジェンダやメールに反映されます
「会議で決める → タスク化 → 実行 → 振り返り」の流れが1つの環境で完結する方向へ動いています。
MicrosoftのAI戦略の中で「会議効率化の中核」となる位置づけ
MicrosoftはCopilotをあらゆる働き方に組み込む戦略を掲げています。その中でTeamsは、社員が日常的に使うコラボレーション基盤として中核に位置づけられています。今後はCopilot StudioやPower Platformとの連携により、議事録作成を超えて会議を起点とした業務全体の自動化へ広がります。
まとめ:Copilotで議事録作成を効率化するために
Copilot for Teamsを使えば、議事録作成を自動化し、会議終了と同時に要点・決定事項・タスクが整理された状態で共有できます。記録係の負担がなくなり、参加者全員が議論と意思決定に集中できます。
一方で、成果を分けるのは製品の性能ではなく管理者側の設計です。会議ポリシーの既定値は EnabledWithTranscript で開催者が変更できず、レコーディングとトランスクリプトは既定120日で期限切れになり、ごみ箱からも93日で完全に消えます。外部組織主催の会議やエンドツーエンド暗号化された会議では、そもそもCopilotが動きません。この3点を導入前に確認しておくと、契約後の「使えない」を避けられます。
次の課題は、この設定と運用ルールを情シス担当者個人の知識で終わらせず、部門をまたいだ標準として定着させることに移ります。議事録の自動化は業務効率化の入り口であり、会議の質と意思決定の速度を組織全体で引き上げる起点になります。
もっとも、その社内標準をゼロから書き起こすのは負荷の大きい作業です。先行企業がどの順序でルールを固め、どの部門から広げ、どの指標で効果を測ったのか。すでに通られた道筋を型として手元に置ければ、自社の展開計画は「何から考えるか」ではなく「どこを自社仕様に変えるか」から始められます。
以下の資料では、導入設計や組織体制、社内ルールなどをより深く解説しています。AIを適切に運用し望むアウトプットを引き出す、組織に根付かせるノウハウを知れますので、ぜひご覧ください。
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3冊セットを無料でダウンロード→よくある質問
- QCopilot for Teamsで議事録は完全に自動化できますか?
- A
文字起こし・要約・決定事項の抽出までは自動化できますが、最終確認は人が担います。専門用語の誤認識や要約の抜け漏れが起こるため、承認フローに人のレビューを1工程組み込む前提で設計します。
- QTeams会議のトランスクリプトは何日間保存されますか?
- A
既定の有効期限は120日です。期限切れ後はごみ箱へ移動し、職場または学校アカウントでは93日後に自動削除され、その後は復元できません。保持期間はPowerShellで1日から99999日まで変更できます。
- Q会議の開催者はCopilotの利用可否を自由に変更できますか?
- A
既定の会議ポリシー EnabledWithTranscript では変更できません。開催者が「会議中のみ」を選べるようにするには、管理者がポリシーを Enabled または EnabledWithTranscriptDefaultOn へ変更します。
- QCopilot for Teamsの議事録機能を使うにはどのライセンスが必要ですか?
- A
対象のMicrosoft 365サブスクリプションに加え、Microsoft 365 CopilotまたはCopilot Businessの追加契約が必要です。無料のCopilot ChatはWebチャット用途で、議事録作成には対応していません。
- Q議事録から抽出したタスクはPlannerやTo Doに連携できますか?
- A
連携できます。Copilotが抽出したアクションアイテムはMicrosoft PlannerやTo Doへ反映でき、議事録を見ながら手作業で転記する工程がなくなります。どのツールで受けるかは運用ルールで先に決めます。
- Q情報漏洩のリスクはありませんか?
- A
Microsoftのセキュリティ基準に準拠していますが、利用ポリシーを定めて運用することが必須です。特に顧客情報や個人情報は会議で扱わない、外部共有前に必ず確認する、などのルールを設けましょう。

