NotebookLMに社内資料や機密情報をアップロードしても安全かどうか、不安を感じていませんか。情報漏洩のリスクは本当にゼロなのか、学習に使われるのか、外部に見られることはないのか。こうした疑問は、特に情シスやDX担当者にとって切実です。
本記事では、NotebookLMの情報の扱い方やセキュリティ上の注意点を整理し、企業で安全に利用できる条件をわかりやすく解説します。これを読めば、ただ漠然と怖がるのではなく、判断基準を持ったうえで導入を検討できるようになります。
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結論|NotebookLMは情報漏洩のリスクがあるのか?
ここでは結論を先に示し、そのうえで「なぜそう言えるのか」「どこに注意すべきか」を整理します。情報漏洩という言葉に引きずられず、企業利用の判断軸を持つことが重要です。
| 確認ポイント | NotebookLMの仕様・考え方 | 情報漏洩リスクの評価 |
|---|---|---|
| 入力データが学習に使われるか | ユーザーが指定した資料を参照する仕組み | 無条件に学習されるわけではない |
| 他人に内容が見られるか | 自動的に公開・共有される仕様ではない | 通常利用では低い |
| 外部へ勝手に送信されるか | 利用者の操作なく第三者に共有されない | 低い |
| 情報漏洩が起きる主な原因 | 共有設定・運用ルールの不備 | 人的・運用リスクが中心 |
| 企業利用の安全性 | 条件と運用次第で判断が変わる | 条件付きで判断 |
結論を先に言うと「条件付きで安全と言える」
NotebookLMは、使った瞬間に情報が外部へ漏えいするような仕組みのAIではありません。適切な前提と利用条件を守れば、業務で活用すること自体が即リスクになるツールではないと言えます。
一方で、「Googleのサービスだから安心」「有料だから安全」といった理由だけで無条件に使ってよいわけではありません。安全かどうかは、ツール単体ではなく、どの情報を・どの環境で・どの立場の人が扱うかによって決まります。
危険かどうかは「ツール」ではなく「使い方」で決まる
情報漏洩の多くは、AIの性能そのものではなく、利用ルールの不備や判断基準の欠如によって起こります。NotebookLMも例外ではなく、個人利用と企業利用、公開情報と機密情報では前提条件が大きく異なります。
つまり重要なのは「NotebookLMは危険か安全か」という二択ではなく、どの条件なら安全と言えるのかを整理できているかです。この視点を持たないまま使うことこそが、企業にとって最大のリスクになります。
NotebookLMにアップロードしたデータは学習に使われるのか?
情報漏洩を不安に感じる人が最初に気にするのが「学習への利用」です。ここでは「学習される」とは何を指すのかを整理し、NotebookLMのデータの扱われ方を冷静に確認します。
「学習される」とは何を意味するのか
一般に「AIに学習される」とは、入力したデータがモデルそのものの性能向上のために再利用されることを指します。この点を曖昧にしたまま議論すると、不安だけが先行します。NotebookLMにおいて重要なのは、アップロードした資料が他人の回答生成やモデル改善の材料として横断的に使われるのかどうかという点です。ここを切り分けて理解しない限り、正しい判断はできません。
NotebookLMと他の生成AIにおけるデータ利用の違い
NotebookLMは、一般的なチャット型生成AIと用途が異なり、ユーザーが指定した資料をもとに整理・要約・理解を支援するためのAIです。そのため、入力データの役割も「学習素材」ではなく「参照情報」としての性質が強くなります。この違いを理解せずに、すべての生成AIを同じリスクレベルで捉えてしまうと、必要以上に導入を避ける判断につながります。
業務資料や社内文書を扱う際に確認すべきポイント
企業利用を前提とする場合、重要なのは「学習されるかどうか」だけではありません。どの範囲でデータが保持されるのか、誰がアクセスできるのか、どのアカウント単位で管理されるのかといった運用面の理解が欠かせません。学習有無の一点だけで安全性を判断するのではなく、データの扱われ方全体を把握することが、情報漏洩リスクを正しく評価する第一歩になります。
NotebookLMのデータは外部に漏れる可能性がある?
次に多い不安が「他人に見られるのではないか」「勝手に公開されるのではないか」という点です。ここではNotebookLMのデータの可視性と、情報漏洩と誤解されやすいポイントを整理します。
他人に見られることはあるのか
NotebookLMで扱うデータは、原則としてアップロードした本人の環境内でのみ利用される前提で設計されています。第三者が無断で閲覧できる仕組みではなく、少なくとも「自動的に公開される」「他ユーザーに共有される」といった仕様ではありません。
この前提を理解せずに「AIに入れたら誰かに見られる」と考えてしまうことが、過度な不安につながりやすいポイントです。
公開・共有・アカウント単位で考えるデータの扱い
注意すべきなのは、ツール側の仕様ではなく共有設定やアカウント管理の運用です。NotebookLMは、どのGoogleアカウントで利用しているか、組織アカウントなのか個人アカウントなのかによって、管理の考え方が変わります。企業利用では、誰が作成し、誰が閲覧でき、どこまで共有可能なのかを明確にしない限り、安全性を正しく担保することはできません。
「情報漏洩」と誤解されやすいケース
実際には、NotebookLMそのものが原因ではなく、誤ったアカウント利用や共有範囲の理解不足によって「漏えいした」と感じてしまうケースもあります。情報漏洩リスクを正しく評価するには、ツールの仕様と運用上のミスを切り分けて考えることが不可欠です。NotebookLMが危険なのかどうかを判断する前に、まず自社の使い方が整理されているかを確認する必要があります。
個人情報・機密情報を扱う場合のリスクと注意点
NotebookLMを業務で使うかどうかを判断する際、最も慎重になるべきなのが個人情報や機密情報の扱いです。ここでは「技術的に使えるか」ではなく、企業として許容できるかどうかの視点で整理します。
個人情報を含む資料を扱う際に注意すべきポイント
個人情報を含むデータは、AIツールに限らず取り扱い自体に厳格な管理が求められます。NotebookLMも例外ではなく、誰が入力し、どのアカウントで管理し、どの範囲まで共有されるのかを明確にしなければ、安全とは言えません。ツールの仕様だけを見て安心するのではなく、自社の個人情報保護方針や利用ルールと照らし合わせて問題がないかを確認する必要があります。
機密文書・契約書・顧客データは問題ないのか
機密情報や契約書、顧客データは、漏えい時の影響が大きいため、より慎重な判断が求められます。NotebookLMに入力できるかどうかではなく、入力してよい情報なのかという視点が重要です。特に、取引先情報や未公開の社内資料は、ツールの安全性以前に、利用可否を明確に定義しておかなければリスクになります。
社内規定や監査で問われやすいポイント
企業利用では、実際の事故よりも「説明責任」が問われる場面が多くあります。なぜそのAIツールを使ったのか、どのようなルールで運用しているのかを説明できなければ、結果的にNotebookLM自体が問題視される可能性があります。
情報漏洩を防ぐためには、技術的な対策だけでなく、社内規定や監査の観点で耐えられる運用ができているかを確認することが欠かせません。
NotebookLMを「安全」と判断できる条件とは?
ここまでの内容を踏まえると、重要なのは「NotebookLMは安全か危険か」という単純な二択ではありません。どの条件が揃えば、安全と判断できるのかを明確にすることが、企業利用における現実的な答えになります。
| 判断項目 | 整理できている状態 | リスクが高い状態 |
|---|---|---|
| 利用目的 | 業務内容・用途が明確 | 何となく便利だから使っている |
| 扱う情報の範囲 | 入力してよい情報が定義されている | 個人判断で入力している |
| 利用アカウント | 組織管理されたアカウント | 個人アカウントで業務利用 |
| 共有・閲覧ルール | 共有範囲が明文化されている | 誰が見られるか分からない |
| 社内理解・教育 | 判断基準が共有されている | 現場任せでルール不在 |
利用しても問題になりにくいケース
NotebookLMが比較的安全に使えるのは、扱う情報の性質と利用環境が整理されている場合です。たとえば、公開情報や社内共有が前提の資料を、管理されたアカウントで利用するケースでは、情報漏洩リスクは相対的に低くなります。また、利用目的が明確で、誰がどの範囲まで使うのかが定義されていれば、ツールそのものが問題になる可能性は高くありません。ここでは「何を入力しているか」と同時に、「なぜその情報を使っているのか」が説明できる状態であることが重要です。
利用を慎重にすべきケース
一方で、個人情報や機密性の高いデータを無条件に入力する運用は、安全とは言えません。利用ルールがなく、現場の判断に任せている状態では、ツールの仕様以前にリスクが高まります。
特に、誰でも自由に使える環境や、個人アカウントでの業務利用は、後から説明がつかなくなるケースが多く、注意が必要です。NotebookLMが危険なのではなく、判断基準が存在しないことが問題になります。
判断基準を持たないまま使うこと自体が最大のリスク
企業にとって最も大きなリスクは、「安全かどうか分からないまま使い始めてしまうこと」です。利用可否の基準、扱ってよい情報の範囲、管理方法が整理されていない状態では、どんなAIツールでも安全とは言えません。
NotebookLMを安全に使えるかどうかは、ツールの問題ではなく、企業側が判断できる体制を持っているかどうかで決まります。
なぜツールの安全性だけでは不十分なのか
NotebookLMの仕様やセキュリティを理解しても、それだけで企業利用の安全性が担保されるわけではありません。ここでは、情報漏洩リスクが生まれる本当の要因を整理し、ツール理解の次に考えるべき視点を明確にします。
情報漏洩の多くは「人」と「運用」に起因する
情報漏洩というとAIやシステムの欠陥を想像しがちですが、実際には利用ルールの不備や判断ミスといった人為的な要因が大きな割合を占めます。
NotebookLMも、仕様上の安全性が一定レベル確保されていたとしても、誰がどの情報を入力してよいのかが整理されていなければ、リスクは避けられません。ツールが安全かどうかよりも、使う側が安全に使える状態にあるかが本質的な論点です。
AIツール導入で企業が本当に問われるポイント
企業利用では、事故が起きたかどうか以上に、「なぜそのツールを使ったのか」「どのような管理をしていたのか」という説明責任が問われます。AIツールを導入している事実そのものが問題になることは少なく、問題になるのは判断基準や運用体制が不明確なまま使われていたケースです。
NotebookLMの安全性を語るうえでは、技術的な話だけでなく、組織としてどう向き合うかをセットで考える必要があります。
ツール理解だけではリスク判断ができない理由
NotebookLMの仕組みを正しく理解していても、それを現場でどう運用するかが決まっていなければ、実際の判断には使えません。安全性の判断は知識ではなく、運用に落とし込めて初めて意味を持つからです。ツールの仕様説明で終わらせず、企業としての判断軸まで整理できているかどうかが、情報漏洩リスクを抑えられるかどうかを左右します。
企業でNotebookLMを使うなら考えるべき運用設計
NotebookLMを業務で活用するのであれば、個々の社員の判断に委ねるのではなく、企業としての運用設計が欠かせません。ここでは、安全に使うために最低限整理しておくべき考え方を確認します。
利用ルールやガイドラインを定める重要性
NotebookLMを安全に使えるかどうかは、ツールの性能よりも利用ルールが明文化されているかに大きく左右されます。どの情報を入力してよいのか、どの部署・立場の人が使えるのか、共有範囲はどこまで許容するのかといった点を整理しておかなければ、運用は必ず属人化します。ルールがない状態での利用は、結果的に情報漏洩リスクを高める要因になります。
現場任せにしないための教育とリテラシー
ルールを作るだけでは十分ではありません。なぜそのルールが必要なのかを理解している人材が現場にいるかが重要です。NotebookLMの安全性やリスクを正しく理解しないまま使われると、意図せず不適切な情報を扱ってしまう可能性があります。AIツールを安全に使うためには、最低限のAIリテラシーを組織全体で共有することが不可欠です。
「使わせない」ではなく「安全に使う」という視点
AIツールに対して過度に慎重になり、全面禁止にする判断も一つの選択肢ではありますが、それは本質的な解決ではありません。重要なのは、リスクを理解したうえで、安全に使える環境を整えることです。NotebookLMをどう使うかを決めることは、単なるツール選定ではなく、企業としてのAI活用方針を定める行為だと言えます。
AIツールを安全に使うために、企業が本当に備えるべきこと
ここまで見てきたように、NotebookLM自体の安全性を理解するだけでは、企業利用の判断としては不十分です。ツールはあくまで手段であり、安全性を左右するのは人と組織の判断力にあります。
ツール理解だけでは防げないリスクがある
NotebookLMの仕様やセキュリティを把握していても、実際の運用で判断を誤れば情報漏洩は起こり得ます。特に企業利用では、「使ってよい理由」を説明できる状態でなければ、後から問題になるケースが少なくありません。安全に使うためには、判断できる人材と共通認識が必要です。
判断できる組織になることが最大のセキュリティ対策
AIツールを安全に使える企業とそうでない企業の差は、知識量ではなく判断基準の有無です。どのAIを、どの業務で、どの条件で使うのかを説明できる組織は、結果的に情報漏洩リスクを抑えることができます。NotebookLMの導入をきっかけに、AI活用を判断できる組織づくりに目を向けることが重要です。
企業向け生成AI研修という選択肢
NotebookLMを含む生成AIを安全に業務で活用するには、ツール理解と運用設計をセットで学ぶ必要があります。
SHIFT AI for Bizでは、企業が生成AIを導入・活用する際に必要となる判断軸やリテラシーを体系的に学べる研修を提供しています。「使えるかどうか」を迷い続ける状態から、「判断できる状態」へ進むための一つの選択肢として、企業向け生成AI研修を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
NotebookLMは、使った瞬間に情報漏洩を引き起こすような危険なAIではありません。一方で、無条件に安全と言い切れるツールでもなく、どの情報を、どの環境で、どの立場の人が扱うのかという条件によってリスクは変わります。
重要なのは、ツールの安全性だけを見るのではなく、企業として判断基準と運用体制を持っているかどうかです。NotebookLMを業務で活用するのであれば、判断できる人材と組織を整えることが、最大の情報漏洩対策になります。
SHIFT AI for Bizでは、NotebookLMをはじめとする生成AIを企業で活用するために必要なリテラシーと判断力を、実務目線で体系的に学べる法人向け研修を提供しています。AIを「使うかどうか」で迷い続ける状態から、「どう使うかを判断できる組織」へ進むための選択肢として、ぜひご活用ください。

NotebookLMに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、NotebookLMの情報漏洩や企業利用に関して、検索されやすく誤解も多いポイントを整理します。本文で理解した内容を確認する意味でも、判断の最終チェックとして役立ててください。
- QNotebookLMにアップロードしたデータは完全に削除できる?
- A
NotebookLMで扱うデータは、ユーザーが管理する範囲で削除操作を行うことができます。ただし、「削除できる=何も考えずに入れてよい」ではありません。企業利用では、削除可否よりも、そもそも入力してよい情報かどうかを事前に判断することが重要です。削除機能は安全性を補強する要素の一つであり、万能な対策ではない点を理解しておく必要があります。
- QNotebookLMは企業利用しても問題ない?
- A
NotebookLM自体が企業利用を即座に禁止されるようなツールではありません。ただし、どの情報を扱い、どのようなルールで使っているかを説明できる状態でなければ、問題になる可能性があります。企業利用の可否はツールの性能ではなく、運用設計と判断体制が整っているかどうかで決まります。
- Q他の社員や第三者に内容が見られることはある?
- A
NotebookLMは自動的に他人に内容が共有される仕組みではありませんが、共有設定やアカウント管理を誤ると、意図しない可視化が起きる可能性はあります。特に企業利用では、個人アカウントと組織アカウントの使い分けや、共有範囲の管理が重要になります。ツールの仕様だけでなく、自社の利用環境を前提に判断することが欠かせません。
- QNotebookLMは「使ってはいけないAI」なのか?
- A
NotebookLMは、使ってはいけないAIではありません。ただし、何も考えずに使ってよいAIでもないというのが実際のところです。安全か危険かを二択で判断するのではなく、条件付きでどう使うかを決めることが、企業にとって現実的な向き合い方になります。
