WBSをExcelで作ろうとした時、「どこまで細かく分ければいいのか」「依存関係や担当をどう整理するのか」「進捗や工数まで管理できるのか」と迷う場面は少なくありません。
さらに、上司やチームに提出するとなると「本当にこのWBSで大丈夫か…」という不安がつきまといます。
そこで今回は、Excelだけで“上司に出せるレベル”のWBSを迷わず最短で作れるように、次の3点をまとめています。
・そのまま使える 無料テンプレート
・ExcelでWBSを作る 実践手順
・進捗・工数管理まで自動化できる運用ポイント
すべて、プロジェクト管理の現場で実際に活用しているものをわかりやすく解説します。
「今日中にWBSを完成させたい」 「Excelでもプロ品質の管理がしたい」そんな方は、ぜひテンプレート(無料)を使いながらこの記事の手順どおりに進めてみてください。
すぐに成果が実感できるはずです。
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ExcelでWBSを作るメリット|なぜ最速で成果につながるのか
Excelで作成する最大の利点は、コストをかけずに即戦力の管理体制を整えられることです。すでに社内で使い慣れている環境のため、導入・共有・更新のハードルが低く、スピード感を損なわずにプロジェクト成功へつなげられます。
タスクや役割分担の可視化がしやすい
階層管理やフィルター機能を活用すれば、誰が・いつまでに・何をするのかが一目でわかる構造をつくれます。プロジェクトの属人化を防ぎ、認識齟齬による手戻りも抑制できます。タスク数が多くても並べ替えや検索で必要な情報へすぐアクセスでき、レビューやミーティングの効率も向上します。
社内共有がスムーズで導入コストがゼロ
Excelはほぼすべての企業で標準的なツールとして利用されており、新しいシステムを覚える手間なくそのまま運用に入れるのが大きな強みです。共有フォルダやTeams、Googleドライブなど既存インフラと組み合わせれば、そのまま情報統制まで可能となり、特に立ち上げフェーズでは即効性が生まれます。
【無料配布】Excelで使えるWBSテンプレート(目的別3種)
ここから最短で成果につながるよう、導入→完成→管理改善まで一気にできる3種類をご用意しました。まずは目的に合うテンプレートをそのままお使いください。
標準構造テンプレート|基本構造がすぐ形になる
初めての方でも迷わない王道構成です。Excelへコピペしてそのまま使えます。
| WBS番号 | タスク名 | 担当者 | 開始日 | 期限 | 進捗率 | 依存タスク | 備考 |
| 1 | ○○プロジェクト | PM | 2025/01/01 | 2025/01/31 | 0% | — | |
| 1.1 | 要件整理 | 佐藤 | 2025/01/01 | 2025/01/10 | 0% | 1 | |
| 1.2 | 設計 | 鈴木 | 2025/01/11 | 2025/01/15 | 0% | 1.1 | |
| 1.3 | 開発 | 田中 | 2025/01/16 | 2025/01/28 | 0% | 1.2 | |
| 1.4 | テスト | 山田 | 2025/01/29 | 2025/01/31 | 0% | 1.3 |
ガントチャート連携テンプレート|進捗が一目でわかる
視覚化で遅延を早期発見。上司報告が格段にラクになる構成です。
| WBS番号 | タスク名 | 開始日 | 日数 | 担当者 | 進捗率 | ガント表示 |
| 1.1 | 要件整理 | 2025/01/01 | 5 | 佐藤 | 0% | ■■■■■ |
| 1.2 | 設計 | 2025/01/06 | 5 | 鈴木 | 0% | --■■■■■ |
| 1.3 | 開発 | 2025/01/11 | 10 | 田中 | 0% | ----■■■■■■■■■■ |
| 1.4 | テスト | 2025/01/21 | 5 | 山田 | 0% | --------■■■■■ |
※Excel上では条件付き書式→自動描画対応(配布版で設定済)
進捗・工数自動集計テンプレ|成果管理まで一元化
進捗率・残工数・遅延有無の色分けで炎上を未然に防げます。
| WBS番号 | タスク名 | 担当者 | 工数予定(h) | 工数実績(h) | 進捗率 | 遅延 | コメント |
| 1.1 | 要件整理 | 佐藤 | 20 | 12 | 60% | なし | 予定通り |
| 1.2 | 設計 | 鈴木 | 16 | 8 | 50% | あり | 今日巻き返し |
※進捗率 = 実績 ÷ 予定(配布版で自動計算)
ExcelでWBSを作る手順|10分でできる実務フロー
ExcelでWBSを作る際は、迷わず進められる順序を知っておくことが重要です。以下のステップに沿って入力すれば、短時間でも実務レベルのWBSが完成します。
タスクを洗い出し、階層構造に分解する
まずは、ゴールを達成するために必要な作業を漏れなく書き出すことが出発点です。次に、業務のかたまりごとにグルーピングし、WBS番号を「1 → 1.1 → 1.1.1」といった形で階層化します。これにより、全体像と細部の関係が明確になり、レビューや役割分担の判断がスムーズになります。粒度に迷った場合は、担当者が変わるかどうかが分割基準です。
担当者・期限・依存関係を設定する
タスクが整理できたら、必ず担当者・開始日・期限を設定します。さらに、前工程が終わらないと着手できない作業には依存タスクを追加します。依存関係をExcelで整理しておくことで、「どこが遅れると全体に影響するのか」が可視化され、遅延の早期発見と手戻り防止につながります。進捗率を入力する欄を最初から設けておくことで、作業後の更新漏れも防げます。
作成したWBSをレビューし、認識をそろえる
ひと通り情報を埋めたら、関係者と必ずレビューを実施します。目的は「誰が見ても同じ意味で理解できる状態にする」ことです。曖昧な表現があれば明確化し、差し戻しポイントがあればこの段階で調整します。レビューを丁寧に行うだけで、後工程のトラブルや認識違いが大幅に減り、プロジェクト成功率を高める管理体制へとつながります。
失敗しないWBSの粒度|迷ったらこの基準で判断
タスク粒度の判断を誤ると、進捗管理ができなかったり、手戻りを招いてしまいます。ここでは、実務で迷わないための明確な判断基準を整理します。
1タスク=1アクションで完結するか
判断に迷ったら、「担当者が具体的な行動をイメージできるか」を基準にします。例えば「資料作成」では曖昧ですが、「要件定義書のドラフト作成」なら行動が明確です。完了条件まで一気に伝わる粒度にすることで、指示漏れ・認識違いを防げます。
担当者が変わるところは分割する
1つのタスクの中で担当者が入れ替わる場合、別のタスクに分けるべきサインです。責任の所在がブレれば管理が不可能になり、遅延や品質低下のリスクが上がります。分割することで、レビューラインが明確になり、トラブル発生時の対処も迅速になります。
不確定要素は先に分解しておく
「調査」「検討」のような不確定タスクは、後から大きな手戻りを生みがちです。可能な範囲で、事前に作業ステップを分解しておくと、進捗報告やフィードバックがしやすくなり、問題の早期発見につながります。不確実性の高い領域こそ、粒度を整える価値があります。
Excelでできる!進捗・工数管理の自動化Tips
WBSは作っただけでは意味がありません。進捗と工数を数字で管理できる状態まで落とし込むことで、プロジェクトの成功率は大きく高まります。Excelでも十分に自動化が可能です。
進捗率を自動計算して更新漏れを防ぐ
Excelの数式を使えば、進捗率を入力せず自動で算出できます。進捗更新の手間が減り、工数にズレが生じたタイミングを早期に把握できます。
進捗率=実績工数 ÷ 予定工数
さらに条件付き書式と組み合わせて、進捗が悪いタスクを赤く表示させれば、レビュー時に「どこが止まっているか」が一目で確認できます。
工数負債を可視化して炎上を予防する
「予定より工数を使いすぎている」「完了報告が遅れている」といった状況を自動で検知させることで、炎上の芽を小さく抑えることができます。
予定工数に対して進捗が伴っていない場合、「遅延あり」と自動表示
→ マネージャーへの報告精度が向上し、手戻り防止に直結します。
日付管理とガントチャート連動で全体像を可視化
開始日と所要日数を入れておくだけで、ガントチャートに自動反映される設計にしておくと、計画と実績の差を視覚的に把握できます。進捗会議での説明や他部署共有もスムーズになり、認識齟齬を防げます。Excelだからこそ、チーム全員がすぐ見られる安心感が強みになります。
WBSとガントチャートの違い|どう連携させる?
WBSはプロジェクトを要素に分解して整理するための管理表、ガントチャートはその計画を時間軸で可視化する管理図です。この2つを連携させることで、「何を」「いつまでに」「どの順番で」進めるべきかが、誰にでも理解できる形になります。
役割は「構造」と「可視化」で明確に異なる
WBSの役割は、タスクの抜け漏れをなくし責任と完了条件を明確にすること。一方ガントチャートは、時間管理と進捗把握を視覚化することです。両者の役割を混同せずに使い分けることで、計画精度と説明力が上がり、現場の意思決定がスピードアップします。
Excelでの連携手順はシンプルにできる
WBSで整理したタスク情報(WBS番号・作業名・期間・担当者)を使えば、Excelだけでガントチャートへ自動反映させることができます。条件付き書式を使った色分けで、遅延タスクをひと目で見抜けるため、マネジメントが格段にラクになります。WBSとガントを連動することで、計画・実績のズレをすぐに補正でき、プロジェクト成功率を高める管理体制が整います。
【プロが使う】WBS管理の成功ルール7つ
WBSは作って終わりではありません。見える化した情報を正しく運用できてはじめて、プロジェクトの成功に役立つ管理表になります。ここでは、現場で機能するための運用ルールを7つに整理します。
変更管理の起点を明確にする
スケジュールやタスクが変更された場合に、誰がどのタイミングでWBSを更新するのかをあらかじめ決めておきます。変更が反映されない管理表は一気に信頼を失い、認識齟齬や遅延の温床になります。起点を明確にすることで、常に「最新の1枚」を基準に議論できる状態を保てます。
レビュー頻度を固定化し、更新を習慣化する
プロジェクトごとに、進捗レビューの頻度とタイミングを必ず決めましょう。週次の定例やフェーズ完了時など、一定のリズムでWBSを見直すことで、遅延やリスクの兆候を早期に発見できます。「会議のたびにWBSを開く」習慣がつくと、自然と更新漏れも減っていきます。
属人化を防ぎ、説明責任の所在をはっきりさせる
特定の担当者しか中身を理解していない状態は、プロジェクトの大きなリスクです。WBSの各タスクには担当者だけでなく、説明責任を持つ窓口を明確にしておきます。コメント欄や備考欄を活用し、「何を根拠にその計画になっているのか」を残しておくことで、引き継ぎや体制変更にも強い管理表になります。
完了条件を具体的に定義する
タスク名だけでは、「終わったつもり」と「まだ終わっていない」の差が生まれがちです。各タスクにはチェック可能な完了条件(成果物・承認者など)をセットで記載します。これにより、進捗判断が曖昧にならず、レビュー時の「やった/やっていない」の議論を減らすことができます。
リスクとボトルネック候補を紐づけておく
すべてのタスクが同じ重要度ではありません。遅延すると致命的なタスクには、あらかじめ「クリティカル」「リスク高」などのフラグを付けておきます。WBS上でボトルネック候補が一目で分かるようにしておくことで、マネージャーが優先して状況を確認すべきポイントが明確になり、打ち手も早く打てます。
コミュニケーションログの入口として活用する
WBSは単なる一覧表ではなく、議論や意思決定の入口として活用します。レビュー時に出た懸念や決定事項の概要を、簡潔にWBS側へメモしておくと、「なぜこのスケジュールになったのか」が後から追いやすくなります。議事録とWBSが疎結合でも、両者を行き来できる状態を作ることで、チーム全体の理解度が高まります。
教育・ナレッジ共有の教材として使う
完成度の高いWBSは、そのまま社内の標準テンプレートや教育コンテンツとしても活用できます。新任PMや若手メンバーに対して、「このプロジェクトのWBSを参考にしてよい」と示すことで、属人的なノウハウを組織の資産へと変換できます。単発のプロジェクト管理で終わらせず、次の案件の成功確率を高める仕組みにすることが、プロのWBS運用のゴールです。
Excelだけで十分?他ツールとの比較で分かる限界と最適解
Excelは導入コストがゼロで自由度が高く、初動のスピードと現場順応性に優れた管理ツールです。一方で、チーム規模やプロジェクトの難易度が上がるほど、対応しきれない場面も発生します。Excelの立ち位置を理解することで、どの段階で次の管理体制へ進むべきか判断がしやすくなります。
| 項目 | Excel | 専用ツール |
|---|---|---|
| 導入コスト | 0円 | 有料(プラン依存) |
| 初期スピード | 超速 | 導入準備が必要 |
| 共有・同時編集 | 限界あり | 複数チームで柔軟 |
| 権限管理 | 弱い | 細かく設定可能 |
| 依存関係の複雑化 | 管理しにくい | 可視化しやすい |
| リスク・変更管理 | 手動作業多い | 自動追跡 |
| 推奨フェーズ | 立ち上げ〜小中規模 | 組織的運用〜大規模 |
Excelの強みは「柔軟性」と「即効性」
「まずは管理を始めたい」「既存インフラで完結させたい」というケースに、Excelは最適です。レイアウトの変更や自動化機能も自由度が高く、社内での共有もスムーズ。小規模〜中規模プロジェクトの早期立ち上げには最強の手段といえます。
規模拡大で生まれる課題は組織運用へ影響する
Excel管理のまま規模が大きくなると、バージョン更新の手間や、複数人が同時編集できない環境によって、進捗遅延や認識ズレが無視できないレベルになります。権限管理やコミュニケーションが発生し始めた段階が、ツール検討の合図です。
PMBOK準拠の運用には専門ツールが必要になる
プロジェクト品質・リスク管理・変更管理を体系的に行う段階では、Excel単体での限界が顕在化します。タスク間の依存関係が複雑化し、影響範囲も増大。全体最適を実現するには専用ツールの導入で、組織運用に耐える基盤が整います。Excelはあくまで「最短で走り出すための選択肢」として位置づけ、成果を最大化するステップアップを見据えておくことが重要です。
まとめ|上司に信頼されるWBSを最短でつくるには
Excelを使ってWBSを作るメリットは、スピード・共有性・自由度にあります。テンプレートと正しい手順を活用すれば、短時間でも実務レベルの管理体制を整えることができます。
そして、成果に直結させる鍵は「更新運用の仕組み化」です。進捗・工数・依存関係を途切れさせず管理できれば、プロジェクトは想定外に強くなります。
これまでWBS作成に苦手意識を持っていたとしても、今日から変わります。まずは本記事で紹介したテンプレートを使って、Excelで管理を始めてみてください。
さらに一歩踏み込み、プロジェクト成功率を上げるための実践的なノウハウを身につけたい方は、プロが伴走する法人研修を活用してみませんか。
SHIFT AI for Bizでは、現場の課題に合わせたプロジェクト管理トレーニングを提供しています。
業務効率化、炎上防止、チームの生産性向上まで、次の管理レベルへステップアップできる機会をお見逃しなく。この一歩が、あなたのプロジェクトを成功へ導く最短ルートになります。

よくある質問(FAQ)|運用でつまずきがちな疑問を解消
WBS運用には、最初は誰もがつまずきやすいポイントがあります。ここでは、検索ユーザーが特に知りたい疑問にしっかり答え、迷いを残さず次の行動につなげるためのFAQをまとめました。
- Qタスクの粒度はどこまで細かくすればいい?
- A
判断に迷う場合は、担当者が変わるかどうかを基準にしてみてください。また「1タスク=1アクション」で完結させる粒度を心がけると、曖昧な範囲が減り、レビューや進捗報告がスムーズに進みます。
状態 分解判断 説明 担当者が変わる 分ける 責任の所在を明確にする 成果物が異なる 分ける レビュー判断がしやすい 「作業名だけ」曖昧 分ける 完了条件が不明確 1つのタスクに複数アクション 分ける 更新・評価が難しくなる 一度で完結する具体的行動 分けない 粒度として適切
- QWBSとガントチャートはどっちを先に作るべき?
- A
基本はWBSを先に作るのが正解です。作業分解と依存関係が整理されていない状態でガントチャートを作ると、後から何度も組み直すことになります。まず構造を固め、その上で時間軸へ反映する流れが最も効率的です。
- Q変更が多いプロジェクトでもWBSは有効?
- A
むしろ効果を発揮します。変更が入った場合は、どこから影響が出るかをWBS上で可視化することで、判断のスピードと精度が上がります。ただし、変更管理のルール(誰が更新するか、いつレビューするか)は明確にしておくことが重要です。
- QExcel管理と専用ツール、どのタイミングで切り替える?
- A
チーム規模が大きくなり、複数人が同時編集する場面が増えたら、専用ツール導入の合図です。権限管理やコミュニケーションが複雑化し始めた段階で、Excelの限界が現れます。最初はExcelでスピード重視、組織管理が必要になればステップアップという流れが理想です。
- Q上司や関係者に提出する際、気をつけるポイントは?
- A
完了条件の明確化と、視認性の高さが鍵です。タスク名と期限が一目でわかり、遅延ポイントが視覚的に把握できれば、評価される管理表になります。ガントチャートとの連携や、色分けによるリスク可視化が効果的です。レビュー前には、依存関係と工数負債に抜けがないかを必ず確認しましょう。
