導入事例 株式会社ワイイーシーソリューションズ 様
導入の「遅れ」がチャンスに変わるとき。
創業50年以上の老舗Sierが描くAI推進の未来図

導入企業プロフィール

企業名
株式会社ワイイーシーソリューションズ
事業内容
全国の地方公共団体や企業向けに、ICT活用のコンサルティングを展開。
導入目的
顧客側の状況にシステム仕様を合わせる必要があり、生成AI対応が後手に回っていた。この現状を打破したかったため。

21世紀を生きるビジネスパーソンにとって、もはや生成AI技術はなくてはならないもの。そのテクノロジーを自在に操れば、AIは単なる便利なツールから、企業に眠る大きな可能性を引き出す“変革のパートナー”になるのかもしれません。この記事では、さまざまな業種の企業を訪ね、百社百様のAI導入の事例を探っていきます。

今回、登場していただくのは、神奈川県内を中心に全国の地方公共団体や企業に対してICT(情報通信技術)活用のコンサルティングからシステムの構築・運用サービスなどを提供しているNECグループ傘下のSier、株式会社ワイイーシーソリューションズ。
1969年の創立以来、50年以上の長きにわたってITサービスのプロフェッショナルとして活躍してきた同社がなぜ、生成AI導入にあたって外部企業であるSHIFT AIに協力を求めたのでしょうか? 2024年度から立ち上がった同社のAI推進グループを主導してきた2人のメンバーに話を聞きました。

専門家だからこそハマった落とし穴。AI導入に立ちはだかった壁

まずは同社の研究開発部門にあたる、R&Dイノベーションセンターのシニアマネージャーの栗原聡浩さんに、生成AI技術の導入の背景について、語っていただきましょう。

栗原さん

弊社のパッケージ製品は、待機児童マッチングシステムからはじまって、就学支援システム、防災・健康管理システム、公営住宅管理システム、介護・葬祭システムなど、人々の「出生から豊かな老後まで」を支えるソリューションを50年以上の長きにわたって開発しています。

当然、生成AI技術の実用化の動きには興味をもって注目してきましたが、社内でAI推進グループが設けられたのは2024年度からのこと。OpenAI社がGPT-4のリリースから1年後のことで、その遅れに一種の焦燥感を抱いていました。

生成AI活用が遅れた要因として、弊社の顧客の5割以上が神奈川県を始めとする全国の地方自治体が占めていたことが挙げられます。デジタル化に慎重な顧客側にシステムの仕様を合わせる必要があり、生成AIへの対応が遅れてしまったのです。
もちろん、ITの専門家である技術職のメンバーのなかには生成AIについて、かなり早い段階から深い知識を持っている人もいました。その一方で、自分の業務とは直接的な関連がないからという理由で敬遠している人もいて、知識やスキルにかなりのギャップがありました。
技術職の間でそのようなギャップがあるのですから、バックオフィスを担当するスタッフ部門とのギャップは、さらに次元を超えて複雑なものになります。

生成AIを導入するにあたって、もうひとつ大きな課題がありました。弊社はこれまで、若手を対象にしたヒューマンスキル研修をはじめ、技術職を対象にしたプログラミング言語研修などを自社で実施するノウハウはありましたが、生成AIという新しい技術に対応できるだけの柔軟性に欠けていたのです。いわば、ITの専門家だからこそのジレンマに陥っていたと言えるかもしれません。
そこで、外部のベンダーであるSHIFT AIにパートナーになっていただくことをお願いしたのです。

SHIFT AIを選んだ決め手とは?技術と人間力が光った導入支援

生成AI導入のパートナーを選ぶにあたって、栗原さんはどのような基準を設けたのでしょう?

栗原さん

3社ほどのセミナーやウェビナーに参加・視聴をして、SHIFT AIを選択しました。生成AIに精通した技術職の社員でも満足度の高い専門性があり、なおかつ、まったく知識のない人にも耳に残る、わかりやすい入口を設けているコンテンツを用意されているところに魅力を感じました。

これは私個人の感想ですが、SHIFT AIの担当者はみなさん、若い方が多く、勢いというか、独特のパワーを感じる人が多かったですね。ですが、そのパワーを前面に打ち出そうとしているわけではなく、むしろ多少控えめにしているんだけれども、ワークショップの場などでは所々でそれがにじみ出てしまっている。そんな印象があって、新しい技術を取り入れる際の良きアドバイザーになってくれると思いました。
1年間の導入の遅れを取り戻すのは容易なことではないことは承知の上でしたが、SHIFT AIなら、できるだけ効率よく、短期間で、AIリテラシーを身につけられるようなカリキュラムを作ってくれるのではと期待していました。

業務のスキマ時間で学ぶ!eラーニング設計と運用の工夫

こうしてワイイーシーソリューションズの社内でAI推進グループが立ち上がったのが、2024年初頭のこと。経営管理本部でその旗振り役を担った林大介さんに当時の様子をふり返っていただきましょう。

林さん

実は私自身、生成AIに触れた経験はほとんどなく、学習を始めたのはAI推進グループの一員になってからのことで、まったくの初心者でした。
社内アンケートで生成AIに興味があると答えた社員に声がけして集まった参加メンバーは、約100名。そのほとんどは、私と同じレベルの初心者だったと思います。

SHIFT AIが組んでくれたeラーニングのカリキュラムは、全部合わせると10数時間におよぶ膨大なボリュームでしたが、1本の動画が2~3分に簡潔にまとめられていたのがよかったと思います。
というのも、AI研修だけでまとまった時間をとるのはむずかしく、参加メンバーには業務の合間を利用して自主的に学んでいただくしかありませんでした。でも、2~3分のショート動画なら、通勤中や取引先への移動中などを利用して視聴することができます。

プロジェクトが始動したのが1月から3月の決算前の繁忙期に重なっていたこともあって、3ヶ月間という期間を4ヶ月に延長することになりましたが、みなさん、忙しいなかでも効率的に学ぶことができたのではないかと思っています。
私自身は、管理ツールがとても便利に作られていることに大いに助けられました。管理画面を見れば、誰がどの講座をどれだけ視聴したのかがわかり、eラーニングの進捗状況を正確に把握することができましたから。また、受講者に個別のメッセージを送ることもできたので「この講座はきっと興味があるだろうから、見ておいてください」といった具合に受講をうながすことができる機能も、とても重宝しました。

インターネット登場以来のインパクト?変革期におけるAIの位置づけ

4ヶ月に及んだワイイーシーソリューションズのAI推進プロジェクト。その成果はどんなものだったのでしょう? 冒頭に登場していただいた栗原さんに総括していただきます。

栗原さん

弊社の社員たちにAIリテラシーを身につけてもらう、よい機会となったことは間違いないでしょう。
開発現場では、すでに生成AIの技術を用いたソリューション開発の事例が増えてきており、今後、この技術はなくてはならないものになることは明らかです。今後の課題は、社員一人ひとりが自らの業務にAI技術をどのように活かしていくのかをいかに模索していくかということ。そのためにも二の手、三の手を打ってAIリテラシーのさらなる向上を目指していきたいと思っています。

昨今の生成AIの実用化の動きについて、インターネットの登場と同じインパクトであると評価されることがあります。私もその評価にはおおむね賛成です。
ただ、デジタルカメラが登場した後もフィルムカメラのよさが見直されることがあるように、アナログの利点は今後も残されていくのではないかとも考えています。今後はそのバランスを考えながら、新しい可能性を探っていくことになると思っています。
いずれにせよ、生成AIの技術は日進月歩、驚くほどの早さで進歩していますので、SHIFT AIとのパートナーシップは、これからますます重要になっていくと思っています。

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