会議音声やインタビュー、講義動画を「文字起こしして、要約まで一気に終わらせたい」と考えたとき、NotebookLMは本当に使えるのか。最近よく見かけるこの疑問は、単なる文字起こしツール探しではなく、「業務で使えるレベルかどうか」を見極めたいという実務視点の悩みです。
NotebookLMは、音声ファイルやYouTube動画を読み込んで文字起こしし、さらに要点整理や議事録作成まで支援できる一方で、対応形式や制限、精度のクセを理解せずに使うと「思っていたのと違う」と感じやすいツールでもあります。
この記事では、NotebookLMで文字起こしができる条件とできないケース、対応する音声・動画形式、日本語精度や無料利用の範囲、会議やインタビューを議事録に落とし込む実務的な使い方までを整理します。
個人の試行錯誤で終わらせず、業務効率化につなげるために、NotebookLMをどう位置づけるべきかを明確にします。
併せて読みたい記事
NotebookLMの使い方|資料を読み込んで要約・Q&Aする手順と仕事で失敗しないコツ
「実務ノウハウ3選」を公開
- 【戦略】AI活用を社内で進める戦略設計
- 【失敗回避】業務活用での落とし穴6パターン
- 【現場】属人化させないプロンプト設計方法
まず結論|NotebookLMで文字起こしはできる?
ここでは結論を先に整理します。NotebookLMは「文字起こし専用ツール」ではありませんが、条件を満たせば、実務で十分使える文字起こし・要約・議事録作成ツールになります。逆に、この前提を理解せずに使うと「できない」「思っていたのと違う」と感じやすいため、まずはできることとできないことを明確に切り分けます。
NotebookLMでできること
NotebookLMでは、音声ファイルやYouTube動画などを「ソース」として読み込ませることで、その内容をもとに自動で概要を生成し、質問形式で重要ポイントを抽出できます。これにより、会議音声やインタビュー音源から、発言内容をテキストとして把握し、要点整理や議事録作成まで一気に進めることが可能です。
単なる書き起こしにとどまらず、「決定事項は何か」「重要な論点はどこか」といった形で情報を再構成できる点がNotebookLMの強みです。文字起こし後の情報をそのまま放置するのではなく、要約・Q&A・構造化までを前提に使える点が、従来の音声文字起こしツールとの大きな違いになります。
NotebookLMではできない・注意が必要なこと
一方で、NotebookLMはリアルタイム録音をその場で文字起こしするツールではありません。あらかじめ用意した音声ファイルやURLを読み込ませる必要があり、録音環境や音質が悪い場合は精度が大きく落ちることもあります。
また、長時間音声や専門用語が多い会議では、そのまま使うと誤変換や要約の抜け漏れが発生しやすく、人による最終確認が前提になります。さらに、動画を直接アップロードできるわけではなく、ケースによっては音声データとして扱う工夫が必要です。
NotebookLMは万能な文字起こしツールではなく、「条件付きで強力に機能する業務支援ツール」であると理解することが重要です。
対応形式・制限|どんな音声・動画を文字起こしできるのか
NotebookLMを文字起こし目的で使う場合、最初につまずきやすいのが「何を読み込ませられるのか」「どこまで対応しているのか」という点です。ここでは、対応形式と制限を整理し、実務で使えるかどうかの判断ラインを明確にします。
| 項目 | NotebookLMの対応状況 | 実務での注意点 |
|---|---|---|
| 音声ファイル | 対応 | 音質が精度に直結 |
| 動画ファイル | 条件付き | 音声として扱う必要あり |
| YouTube | 対応 | 字幕品質に依存する場合あり |
| PDF(音声含む) | 条件付き | 内容次第で精度差が出る |
| リアルタイム録音 | 非対応 | 録音後に読み込む運用 |
| 長時間音声 | 条件付き | 分割推奨 |
| 無料利用 | 可能 | 容量・数に制限あり |
対応している入力形式(音声・動画・URL)
NotebookLMは、音声ファイルやYouTubeなどのURLを「ソース」として追加することで、その内容を解析対象にできます。会議の録音データやインタビュー音源を読み込ませれば、発言内容をもとに概要や要点を自動生成でき、議事録や要約作成の下地として十分に活用可能です。
また、動画コンテンツについても、YouTubeのURLを指定することで中身を参照できるため、講義動画や対談動画の内容整理にも向いています。ただし、あくまで「ソースとして参照する」仕組みであり、一般的な動画編集ソフトのように動画ファイルを自在に扱えるわけではない点は理解しておく必要があります。
制限と注意点(容量・長時間・業務利用の現実)
NotebookLMには、ソースとして追加できるファイル容量や数に制限があります。特に長時間の会議音声や高音質データをそのまま使おうとすると、容量制限に引っかかる、処理が重くなるといったケースも起こりがちです。
また、長時間音声は内容が広範になりやすく、要約の粒度が粗くなることもあります。そのため、業務で使う場合は、音声を適切な長さに分割したり、事前に議題や資料を整理してから読み込ませるといった工夫が重要です。
無料で試せる範囲は魅力的ですが、「どこからが実務で厳しくなるか」を把握したうえで使うことが、失敗しないポイントになります。
手順|NotebookLMで文字起こしする方法
ここでは、NotebookLMを使って文字起こし・要約まで進める基本手順を整理します。操作自体はシンプルですが、最初の流れを正しく押さえることが精度と作業効率を大きく左右します。
ステップ1:ノートブックを作成し、目的を明確にする
NotebookLMでは、最初にノートブックを作成します。この時点で「会議の議事録を作りたい」「インタビュー内容を整理したい」など、この音声から何を得たいのかを明確にしておくことが重要です。
目的が曖昧なまま進めると、要約や質問結果が散漫になり、後工程で手戻りが増えます。文字起こしはゴールではなく、あくまで情報整理の入口だと意識しておくと、後の作業がスムーズになります。
ステップ2:音声ファイルやURLをソースとして追加する
次に、文字起こししたい音声ファイルやYouTubeのURLをソースとして追加します。NotebookLMは、追加したソースをもとに内容を解析するため、ここで扱う音声の品質が結果に直結します。会議音声やインタビュー音源は、不要な雑音が少なく、発言が明瞭な状態が理想です。動画の場合も、音声がクリアであれば内容把握や要約の精度は安定します。
ステップ3:自動生成される概要で全体像を把握する
ソースを追加すると、NotebookLMは内容をもとに自動で概要を生成します。まずはこの概要を確認し、全体の流れや主要テーマがズレていないかをチェックします。いきなり細かい質問を投げるのではなく、全体像を先に把握することで、後の要点抽出や議事録作成が効率的になります。この段階で大きな認識違いがあれば、音声の切り分けや資料追加を検討します。
ステップ4:質問を使って要点・決定事項を抽出する
概要を確認したら、NotebookLMに質問を投げて情報を深掘りします。「重要な論点は何か」「決定事項と保留事項は何か」「次のアクションは何か」といった形で聞くことで、文字起こし結果を“使える情報”に変換できます。この工程が、単なる書き起こしと業務に使える議事録を分ける最大のポイントです。
ステップ5:整形・共有を前提に最終調整する
最後に、抽出した内容をそのまま使うのではなく、読み手を意識して整形します。箇条書きや見出しを使って構造化し、誰が読んでも誤解しない形に整えることで、会議後の共有や意思決定にそのまま使える資料になります。NotebookLMは自動化を強力に支援しますが、最終的な品質を担保するのは人の役割であり、このひと手間が業務価値を大きく高めます。
精度・日本語|文字起こし品質を左右するポイント
NotebookLMの文字起こし精度は、ツールそのものだけで決まるわけではありません。事前準備と使い方次第で、実務に耐える品質にも、使えないレベルにもなり得るため、ここでは日本語精度を安定させるために押さえるべきポイントを整理します。
録音環境と音質が精度を大きく左右する
文字起こしの精度に最も影響するのは、元となる音声の品質です。周囲の雑音が多い、複数人が同時に話している、マイクから遠いといった状態では、NotebookLMに限らず正確な書き起こしは難しくなります。会議やインタビューを文字起こし前提で行う場合は、発言者ごとに声がはっきり録れる環境を用意することが重要です。ここを整えるだけで、後工程の修正作業は大幅に減らせます。
会話の構造と進行が日本語の自然さを左右する
日本語の文字起こしでは、話し方や会話の構造も精度に影響します。話題が頻繁に飛ぶ会議や、曖昧な言い回しが多い議論では、要約結果が分かりにくくなりがちです。
発言の区切りを意識し、議題ごとに話す流れを作ることで、要約や議事録の読みやすさが大きく向上します。NotebookLMは文脈理解に強みがありますが、前提情報が整理されていない状態では、その力を十分に発揮できません。
関連資料を一緒に読み込ませて精度を補強する
専門用語や社内用語が多い場合は、音声だけを読み込ませるよりも、関連する資料やメモを一緒にソースとして追加する方が効果的です。議題資料やスライド、事前共有資料を読み込ませることで、用語の誤認識や要約のズレを防ぎやすくなります。
NotebookLMは複数ソースを横断的に参照できるため、音声単体で精度に不安がある場合ほど、この使い方が実務では有効です。
最終確認を前提に「使える精度」を見極める
NotebookLMの文字起こしは、そのまま完全な成果物として使うものではなく、人が確認・調整する前提の下書きと考えるのが現実的です。重要な決定事項や数値、固有名詞は必ず目視で確認し、必要に応じて修正します。
この工程を前提に運用すれば、日本語が多少不自然に感じる場面があっても、業務全体の効率は確実に向上します。
議事録化・要約|文字起こしを「使える成果物」に変える
文字起こしが終わっただけでは、業務はほとんど前に進みません。NotebookLMの真価は、文字起こし結果をもとに要点を整理し、議事録や共有資料として使える形に変換できる点にあります。ここでは、文字起こしを実務成果につなげるための考え方を整理します。
議事録に必要な情報を先に定義する
議事録作成でありがちな失敗は、発言内容をすべて並べてしまい、結局「何が決まったのか分からない」状態になることです。NotebookLMを使う場合も、最初に議事録として残すべき要素を明確にしておくことが重要です。
具体的には、会議の目的、主要な論点、決定事項、保留事項、次のアクションと担当者といった項目です。これらを意識して情報を抽出することで、文字起こし結果は一気に「使える資料」に近づきます。
質問を使って要点と決定事項を抽出する
NotebookLMでは、文字起こし内容に対して質問を投げることで、必要な情報を効率的に取り出せます。「今回の会議で決まったことは何か」「重要な論点はどこか」「次に取るべきアクションは何か」といった形で問いかけることで、発言の羅列から意思決定の骨格を抽出できます。この工程を挟むことで、単なる書き起こしと、実務に使える議事録との間にある大きな壁を越えられます。
共有を前提に整形し、誤解を防ぐ
抽出した要点は、そのまま貼り付けるのではなく、読み手を意識して整形します。見出しや箇条書きを使い、情報の階層を整理することで、会議に参加していない人でも内容を正しく理解できる資料になります。
また、決定事項と検討中の内容を明確に分けることで、後から見返した際の誤解や認識違いを防げます。NotebookLMは作業を大幅に効率化しますが、最終的に価値を生むのは、この「共有を意識した仕上げ」の部分です。
Whisper・ChatGPTとの違い|文字起こしツールとしてどう使い分けるべきか
NotebookLMを検討する際、多くの人が気になるのがWhisperやChatGPTなど、他のAIツールとの違いです。ここでは機能比較に寄りすぎず、実務で迷わないための使い分けの考え方を整理します。
| 比較項目 | NotebookLM | Whisper | ChatGPT |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 文字起こし+要約・整理 | 高精度文字起こし | 要約・文章生成 |
| 音声の直接扱い | 対応 | 対応 | 非対応 |
| 要点抽出 | 強い | 弱い | 強い(入力次第) |
| 情報の参照元 | ソース限定 | 音声のみ | 入力テキスト |
| 業務向き度 | 高い | 条件付き | 条件付き |
| 属人化リスク | 低め | 高め | 高め |
「文字起こし専用ツール」との決定的な違い
Whisperは、音声を高精度でテキスト化することに特化した文字起こしエンジンです。そのため、発言内容をできるだけ正確に書き起こしたい場合には強力な選択肢になります。一方で、文字起こし後の情報整理や要約、意思決定に必要なポイント抽出は別工程になります。
NotebookLMは、文字起こし精度だけで見れば専用ツールに及ばない場面もありますが、書き起こした内容をそのまま「理解・整理・再利用」できる点が大きな違いです。文字起こしをゴールにするか、業務で使える情報に変換するところまで含めるかで、選ぶべきツールは変わります。
ChatGPTとの役割の違いを整理する
ChatGPTは、プロンプト次第で要約や整理、文章化に強みを発揮しますが、音声データを直接扱う前提ではありません。文字起こし結果を別途用意し、その内容を入力して活用する形になります。
NotebookLMは、音声や資料をソースとして一元管理し、その範囲内で回答や要約を行うため、「どの情報をもとに生成されたのか」が分かりやすいという特徴があります。業務利用では、この参照範囲の明確さが、情報の信頼性や説明責任の面で重要になります。
実務での現実的な使い分け
実務では、「高精度な書き起こしが最優先」なのか、「書き起こし後の整理・共有までを効率化したい」のかで使い分けるのが現実的です。前者であればWhisper系、後者であればNotebookLMが向いています。
重要なのは、どちらか一方に寄せることではなく、業務プロセスのどこを効率化したいのかを先に決めることです。この視点を持つことで、ツール選定の迷いは大きく減ります。
法人利用で詰まりやすいポイント|セキュリティ・運用・属人化をどう防ぐか
NotebookLMは個人利用では直感的に使える一方で、法人・チーム利用になると別の課題が浮かび上がります。ここでは、業務導入時につまずきやすいポイントと、その考え方を整理します。
機密情報・個人情報を扱う際の考え方
会議音声やインタビューには、社外秘情報や個人情報が含まれるケースも少なくありません。そのため、NotebookLMを業務で使う場合は、「どの情報を読み込ませてよいのか」「どこまでAIに預けるのか」という判断基準を事前に決めておく必要があります。
ツールの性能以前に、社内ルールが曖昧なまま使い始めること自体がリスクになります。特に議事録用途では、扱ってよい情報の範囲を明文化しておくことが重要です。
共有・権限管理を前提にした運用設計
文字起こしや議事録は、個人のメモではなく、チームで共有して初めて価値を発揮します。その一方で、誰でも自由にアクセスできる状態にすると、情報管理が不十分になりがちです。
NotebookLMを業務で使う場合は、誰が作成し、誰が確認し、誰に共有するのかという流れをあらかじめ決めておくことが欠かせません。運用ルールを設けずに使うと、「便利だけど怖いツール」になってしまいます。
属人化を防ぎ、再現性を持たせる視点
個人の工夫に任せた使い方では、担当者が変わった途端に運用が止まることがあります。NotebookLMを組織で活かすには、文字起こしから議事録化までの型を標準化することが重要です。
質問の仕方や整理の観点をある程度揃えることで、誰が使っても一定の品質を保てるようになります。ツールそのものよりも、「どう使うか」を設計できるかどうかが、業務活用の成否を分けます。
まとめ|NotebookLM文字起こしを業務成果につなげるために
NotebookLMを使えば、文字起こしや要約そのものは個人でもすぐに試せます。しかし実務で差がつくのは、「誰が使っても同じ品質で回るか」「会議・議事録・意思決定まで一連の業務として再現できるか」という点です。
生成AIは、ツールを知るだけでは業務効率は上がらず、使いどころ・判断基準・運用ルールまで含めて初めて成果につながります。もし今、NotebookLMや生成AIを「便利そうだけど業務に組み込めていない」「個人利用で止まっている」と感じているなら、必要なのはツール解説ではなく、組織で使える“型”を学ぶことです。
SHIFT AI for Bizでは、生成AIを業務プロセスに落とし込み、再現性ある成果につなげるための考え方と実践ノウハウを体系的に提供しています。生成AIを“試す段階”から“成果を出す段階”へ進めたい方は、次の一手を確認してみてください。

よくある質問|「できない」「不安」を事前に解消する
NotebookLMの文字起こしについては、実際に使い始める前段階で多くの疑問や不安が生まれます。ここでは検索上位でも頻出するポイントを整理し、つまずきやすい点を事前にクリアにします。
- Q音声が不明瞭でも文字起こしできる?
- A
音声が小さい、ノイズが多い、複数人が同時に話しているといった状態では、文字起こし精度は大きく下がります。NotebookLMに限らず、AI文字起こし全般に共通する前提ですが、元の音声品質が悪い場合は修正コストが増えると考えておくべきです。業務で使う場合は、録音環境を整えることが最優先になります。
- Q日本語以外や専門用語が多い会議でも使える?
- A
一般的な日本語であれば問題なく扱えますが、専門用語や社内独自の言い回しが多い場合は、誤認識が発生しやすくなります。その場合は、関連資料や用語集を一緒に読み込ませることで、要約や理解の精度を補強できます。音声単体で完璧を求めないことが現実的です。
- Q長時間の会議音声はそのまま使える?
- A
長時間音声をそのまま読み込ませると、要約が粗くなったり、処理に時間がかかることがあります。実務では、議題ごとに音声を分けたり、重要なパートに絞って使うことで、精度と効率のバランスを取りやすくなります。すべてを一度に処理しようとしないことがポイントです。
- Q無料でどこまで使える?業務利用は可能?
- A
NotebookLMは無料で試せる範囲がありますが、ファイル数や容量などの制限があります。個人での検証や小規模な利用には十分ですが、継続的な業務利用では制約を感じる場面も出てきます。どの段階で制限が業務のボトルネックになるかを見極めることが重要です。
