導入事例 第一三共ビジネスアソシエ株式会社 様
第一三共ビジネスアソシエの挑戦──
生成AI×シェアードサービスが切り拓くDXの未来

導入企業プロフィール

企業名
第一三共ビジネスアソシエ株式会社
事業内容
第一三共グループのシェアードサービス(人事、経理、総務等の共通基盤業務)
導入目的
全社的な生成AI活用の意識醸成、プロフェッショナル人材の育成

21世紀を生きるビジネスパーソンにとって、もはや生成AI技術はなくてはならないもの。そのテクノロジーを自在に操れば、AIは単なる便利なツールから、企業に眠る大きな可能性を引き出す“変革のパートナー”になるのかもしれません。

この記事では、さまざまな業種の企業を訪ね、百社百様のAI導入の事例を探っていきます。
今回、登場していただくのは、第一三共ビジネスアソシエ。第一三共グループのシェアードサービス会社として、1万9000人以上の半数におよぶ国内全グループ会社の人事や経理などの共通基盤業務を集約し、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化を推進している企業です。
同社が生成AI技術を導入した背景には、どんな経緯があったのでしょう?

なぜ今、生成AIなのか?
進化型シェアードサービスを目指し、DXを推進する企業がたどり着いた新たな選択肢

「シェアードサービス」とは、複数のグループ企業からなる組織が、人事、経理、総務などの業務を1カ所に集約させて業務効率化やコスト削減を狙うこと。第一三共グループにおける同社の役割と、生成AIを導入するいきさつなどについて、業務変革推進部の鈴木厚之部長に聞きました。

鈴木部長

弊社が追求する進化型シェアードサービスは、業務効率化やコストダウンを主な目的とする従来型のシェアードサービスの枠にとどまることなく、第一三共グループの成長そのものに貢献するサービスです。
煩雑な申請や定型的、かつ定期的な業務を自動化する業務効率化に加えて、グループ各社のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入や業務プロセス改善など、幅広い専門性を持ちながら新たなDXツールを積極的に活用できるプロフェッショナル人材を育成しています。

こうした企業戦略と人材育成を図るなかで今後、生成AI技術の活用は必要不可欠になることを予想し、既に第一三共グループで導入した生成AI(DS-GAI:社内の機密情報とプライバシーを保護した独自の生成AIシステム)の活用推進に向けた意識醸成の方法を模索していました。

しかし、そうはいっても生成AIは実用化が始まったばかりの新しい技術です。従来のDXツールと異なる新技術であったため、「果たしてシェアードサービスに活用できるのだろうか?」と疑問視する社員も多くいました。
そこで、SHIFT AIという専門家に協力をあおぎ、生成AIの基礎中の基礎からレクチャーしていただくことにしたのです。

生成AIの社内浸透を加速させた「実践型ハンズオン研修」の全貌

鈴木部長によると、数あるベンダーのなかからSHIFT AIを選択した決め手は、その教材の内容にあったそうです。

鈴木部長

「日本をAI先進国にする」という理念に賛同したことはもちろんですが、提案してくださった教材の中身を見て、SHIFT AIがこれまで数多くのバックオフィス業務の生成AI活用支援をしてきたことが伝わってきました。

生成AIを導入するからには、私たちは一般的なノウハウを学ぶだけでは不十分だと感じていました。社内に生成AI導入を浸透させるには、「このような業務に活用すると、これだけの効率化が望まれる」という具体的なユースケースを示す必要があります。SHIFT AIの提案には、そのような具体例がいくつもあり、弊社の業務改善につながる様々なヒントがあるように感じました。

生成AI研修は、全社員が生成AIを活用する意識を醸成するために行った講演会と、役割に応じた階層ごとに具体的で実践的に活用方法まで落とし込むハンズオン研修の両面で行いました。

例えば、マネジメントチームに向けたハンズオン研修では、組織としての生成AI活用方針を経営戦略やアクションプランに実装できる方法を探りました。 その一方、実務者向けのハンズオン研修では、シェアードサービス業務で生成AI実装のために必要なリテラシーとスキルの基盤を作って自立的に活用できることを目指しました。

“情報漏洩リスク”の壁をどう越えた? 活用の鍵は「正しい知識」

そうした生成AI研修を通じて、社内からどんな反響があったのでしょうか?

鈴木部長

講師をつとめてくださった方々、みなさんの話が非常にうまくて、どの会も評判は上々でした。ハンズオン研修を終えて実施したアンケートでは、参加者の80%が「自分たちの業務に生成AIを活かす筋道が見えた」と回答しました。なかには「これまで受けた研修のなかで、いちばん有意義な研修だった」といううれしい声もありました。

私自身、この生成AI研修に積極的に参加しましたが、この経験を経た結果、今では「生成AIを使わない日は一日もない」と言えるほど、生成AIを身近に感じるようになりました。人前でしゃべる際のアジェンダ作りやプレゼン資料の内容について、生成AIは最高のパートナーとして助言をしてくれています。

生成AI導入において、多くの企業が懸念するのがセキュリティの問題です。

鈴木部長

実は、私たちが普段の業務で扱っているのは、人事、経理、総務に関する秘匿性の高い情報なので、生成AIを導入するには情報漏えいのリスクが高すぎるのではないかという懸念がなかったわけではありません。
ただ、この研修を通じて、正しい方法で活用すれば、リスクは回避可能だと理解できました。それが何より、大きな成果だったと思っています。

生成AIが拓く、自己研鑽と「成長」のチャンスの提供

今後は、生成AIの技術を使ってさらなる業務効率化を実現したいと語る鈴木部長。最後に今後の展望を語っていただきましょう。

鈴木部長

業務効率化やコストダウンは、非常に大事な経営課題だと思いますが、本来の目標はその先にあると思っています。つまり、社員一人ひとりが効率化によって空いた時間を自己研鑽の機会にあてたり、新たな企画提案などの創造的な業務につなげていくことこそが真の目標なのではないかと思うのです。

そのためには、今後、様々な成功事例を蓄積し、ノウハウを部所間、グループ間で共有することで、業務効率化の更なる促進と新たな業務プロセスの提案などを行う進化型シェアードサービス企業への「成長」のチャンスを広げたいと考えています。

実は、2024年度に一般社団法人コーポレート機能協会がコーポレート部門におけるAI研究部会を立ち上げ、弊社はこの研究部会に参加しています。他にも多くのシェアードサービス会社が参加されました。この研究部会は年6回開催され、SHIFT AIにも一度講演してもらいました。また、弊社ではチャットボットや第一三共グループが導入した生成AI(DS-GAI)の活用事例などを報告しました。このような活動の中で様々な質疑応答がありましたので、他社の状況や気づきを得る良い機会となりました。

シェアードサービス業務において、生成AIは非常に親和性の高い技術だと思っています。今後、さらに研鑽をかさねて自社や自グループはもちろん、業界全体で生成AIを活用した業務変革の推進につなげたいと心から願っています。

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