日々の業務で「この作業を自動化できれば、もっと効率的なのに」と感じる瞬間は少なくありません。データ入力や通知、レポート作成といったルーチン業務は時間も手間もかかり、人的ミスの温床になりがちです。こうした課題を解決するのが、ノーコード自動化ツール Zapier(ザピアー) です。
Zapierは、5,000種類以上のアプリやWebサービスをつなぎ、プログラミング不要で業務フローを自動化できるクラウドサービスです。例えば、Googleフォームに入力されたデータをスプレッドシートに保存し、Slackに通知する、といった一連の処理をボタン操作だけで設定可能です。これにより、作業効率の向上・時間短縮・人的ミス削減が実現できます。
本記事では、Zapierの仕組みや料金プラン、導入メリットから具体的な使い方までを徹底解説します。自社に最適な導入ステップを理解し、業務効率化に役立つ一歩を踏み出すための情報をご紹介します。
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そもそもZapierとは
Zapier(ザピアー)は、2011年にアメリカで誕生したクラウド型の業務自動化プラットフォームです。最大の特徴は、「プログラミング不要で誰でも自動化フローを作成できる」ことにあります。
Zapierで作成する自動化フローは「Zap(ザップ)」と呼ばれ、トリガー(きっかけ)とアクション(処理内容)の組み合わせで構成されます。
- トリガー例:Gmailで新しいメールを受信したとき、Googleフォームに回答が送信されたとき
- アクション例:スプレッドシートに自動で記録する、Slackへ通知を送信する、CRMにデータを登録する
現在Zapierは、5,000種類以上のアプリやサービスと連携可能です。Google Workspace、Slack、Notion、Salesforce、Shopify、Trello、Dropboxなど、国内外で広く使われる業務ツールとの連携に対応しており、幅広い業務シーンで活用できます。
プログラミングスキルが不要な点から、エンジニアだけでなく、バックオフィスやマーケティング部門の担当者でも直感的に操作できるのが魅力です。繰り返しの手作業を自動化し、業務の効率化を一気に加速させることができます。
Zapierのプラン一覧を比較
Zapierには、無料で試せるプランから、大企業向けの高機能プランまで幅広く用意されています。自社の規模や自動化したい業務量に合わせてプランを選ぶことで、コストを抑えつつ最適な効率化を実現できます。以下の表は、主なプランの概要です。
プラン名 | 月額費用(目安) | 月間タスク数 | Zap数 | 実行間隔 | プレミアムアプリ | マルチステップZap | オートリプレイ |
Free | 無料 | 100 | 5 | 15分 | 不可 | 不可 | 不可 |
Pro | 約30ドル/月 | 要問合せ | 20 | 15分 | 3つまで | 可能 | 不可 |
Team | 約103ドル/月 | 要問合せ | 無制限 | 1分 | 無制限 | 可能 | 可能 |
Enterprise | 要問合せ | 要問合せ | 無制限 | 1分 | 無制限 | 可能 | 可能 |
※料金は為替レートや年契約・月契約によって変動する可能性があります。
Freeプラン
Freeプランは、Zapierをまず試したい個人や小規模チームに向いています。月間100タスクまで実行でき、Zapは5つまで作成可能です。ただし、マルチステップZapやプレミアムアプリの利用は不可であり、Zapの実行間隔も15分と制限があります。最初の14日間は上位機能を試せるトライアルも付与されるため、導入前の検証には最適です。
Proプラン
Proプランは、Freeよりも一歩進んだ自動化を求める中小企業に適しています。月額約2,900円から利用でき、750タスク・20Zapまで作成可能です。さらに、3つまでのプレミアムアプリ連携とマルチステップZapが解放されるため、実務的な業務自動化が一気に広がります。Zap実行間隔はFreeと同じく15分ですが、コストパフォーマンスの高いプランです。
Teamプラン
Teamプランは、複数メンバーでZapierを使う中〜大規模組織向けです。月額約43,600円から利用でき、50,000タスクを処理可能。Zap数も無制限で、実行間隔は1分と高速です。チーム管理機能やZap共有機能、プレミアサポートも含まれ、組織全体での自動化推進に向いています。
Enterpriseプラン
Enterpriseプランは、大企業向けのエンタープライズ仕様です。月額約87,500円から利用でき、100,000タスクを処理可能で、セキュリティ・ガバナンス機能が充実しています。高度な管理者権限やアプリ制御、専任サポート体制により、セキュリティ要求の厳しい業界でも安心して利用できます。
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Zapierを自社に導入するならこのプラン!
Zapierには複数の料金プランがありますが、自社に最適な選択は「どの程度の自動化を求めるか」「どの規模で利用するか」によって変わります。無料で試すのも手ですが、導入目的を明確にすると最適なプランが見えてきます。
小規模なスタートアップやチームであれば、まずはFreeプランで基本操作を試し、タスク量が増えたらStarterプランへ移行するのが現実的です。Proなら、少額でマルチステップZapやプレミアムアプリを活用できるため、費用対効果が高くなります。
一方で、日常的に数千件のタスクが発生する中規模企業では、Teamプランが最もバランスが良い選択肢です。タスク上限が大きく、実行間隔も短いため、業務の遅延リスクを最小化できます。
さらに全社的なDX推進や複数部署の共同利用を視野に入れる場合は、Enterpriseプラン以上が必須です。特にセキュリティ面の強化やユーザー管理機能が必要な企業は、Companyプランを選ぶことで安心して運用できます。
Zapierの主な特徴
Zapierは「誰でも簡単に業務を自動化できる」ことが最大の魅力ですが、それ以外にも多彩な機能を備えています。ここでは特に重要な3つの特徴を紹介します。
プログラミング知識不要で自動化が可能
Zapierは、コードを書く必要がなく、直感的な操作で自動化ができる点が大きな強みです。トリガー(きっかけ)とアクション(処理内容)を画面上で選択し、条件を入力するだけで自動化フローを構築できます。たとえば、営業担当者が「新規問い合わせメールを受け取ったらCRMに自動登録」というZapを作れば、手入力の手間を削減できます。専門的なIT知識がなくても使えるため、バックオフィスやマーケティング部門でも導入しやすいのが特徴です。
5,000種類以上のアプリと連携
Zapierは、Google Workspace、Slack、Notion、Salesforce、Trello、Shopifyなど、5,000種類以上の外部サービスと連携可能です。複数のツールを利用している企業でも、それらを組み合わせた自動化がスムーズに実現できます。
例えば「フォーム入力 → スプレッドシート記録 → Slack通知」という一連の流れを1つのZapでまとめれば、複数の部署間での情報共有も格段にスピードアップします。業務ツールが増えても、Zapierがハブとなることで一元的に管理できるのです。
高度なワークフロー構築が可能
Zapierはシンプルな自動化だけでなく、複雑な条件分岐や拡張的な処理にも対応しています。
- マルチステップZap:1つのトリガーに対して複数のアクションを設定可能
- フィルターやパス機能:if/then形式で条件を分け、異なる処理を実行
- Webhooks/API連携:自社システムや未対応アプリとも接続可能
これらを組み合わせることで、例えば「見込み顧客が資料請求フォームを送信したら → CRMに登録 → 営業チームにSlack通知 → メールマーケティングに自動追加」という高度なワークフローを実現できます。中小企業から大企業まで、自社の業務フローに合わせた柔軟な自動化が可能です。
Zapierを自社に導入するメリット
Zapierを導入することで得られるメリットは、単なる効率化にとどまりません。ここでは企業が特に注目すべき3つの効果を解説します。
業務効率化と生産性の向上
Zapierの最大の価値は、日常の定型業務を自動化できることです。例えば「メールの添付ファイルを自動でクラウドに保存し、Slackで通知」といった仕組みを作れば、手動作業を繰り返す必要がなくなります。
これにより、従業員はルーチンワークから解放され、戦略的な業務や企画立案に時間を充てられるようになります。結果として、チーム全体の生産性が大きく向上します。
人的ミスの削減
人が行う入力作業や情報転記には、どうしてもヒューマンエラーが発生します。Zapierは設定通りに正確にタスクを実行するため、入力漏れや記載ミスといったトラブルを未然に防ぐことが可能です。
例えば営業部門では、顧客情報をCRMに正確に反映させられるため、抜け漏れによる機会損失を減らせます。正確性を担保できる点は、信頼性が求められる業務において大きな強みです。
コスト削減とリソースの有効活用
Zapierを導入することで、人的リソースを大幅に節約できるのも大きなメリットです。外部エンジニアを雇って専用システムを開発する必要がなく、社内メンバーだけで効率化を進められます。
結果として人件費や開発コストを抑えつつ、短期間での自動化導入が可能になります。特に中小企業やスタートアップにとっては、限られた予算で大きな成果を得られる有効な選択肢となるでしょう。
Zapierを自社に導入する前に知っておくべきポイント
Zapierは便利な自動化ツールですが、導入にあたっていくつか注意点があります。事前に理解しておくことで、スムーズに運用を始められます。
公式の日本語対応は限定的
Zapierの管理画面は基本的に英語表記です。そのため、英語が苦手な担当者にとっては操作に戸惑う場面もあります。ただし、UIはシンプルに設計されているため直感的に理解しやすく、Google翻訳などを活用すれば十分運用可能です。日本語対応が完全ではない点を理解した上で、導入判断を行う必要があります。
無料プランには制限がある
ZapierのFreeプランは手軽に試せますが、Zap数は5つ、月間タスク数は100件、実行間隔は15分と制限が多めです。また、プレミアムアプリとの連携やマルチステップZapの作成もできません。本格的に業務で利用するには、早い段階で有料プランを検討する必要があるでしょう。
複雑な自動化には知識が必要になる場合もある
Zapierはノーコードツールですが、複雑な条件分岐や独自アプリとの連携を行う場合は、APIやプログラミングの基本知識が求められることもあります。また、日本国内の一部サービスはZapier未対応のケースもあるため、導入前に自社で利用しているアプリが対応しているかを必ず確認しておくことが重要です。
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Zapierの始め方・使い方
Zapierはクラウドベースのサービスのため、特別なインストールは不要です。アカウントを作成すればすぐに使い始められます。ここでは、導入初期に押さえておくべき基本的な手順を解説します。
アカウントの作成
Zapierを利用するには、まず公式サイトでアカウントを作成します。
- 公式サイトにアクセスし、「Start free」ボタンをクリック
- メールアドレスまたはGoogleアカウントでサインアップ
- 業種や利用アプリを選択すると、自分に合った推奨設定が提示される
登録は数分で完了し、無料プランからすぐに利用を開始できます。初めての利用でも特別な環境構築は必要ありません。
Zapの作成(トリガーとアクションの設定)
ログイン後は、自動化フロー「Zap」を作成します。Zapはトリガー(きっかけ)とアクション(処理内容)の組み合わせで構成されます。
- トリガー例:Gmailで新しいメールを受信
- アクション例:Googleスプレッドシートに自動追加、Slackに通知
設定画面でアプリを選び、連携したいアカウントを接続するだけで自動化フローを構築できます。複数アクションを組み合わせる「マルチステップZap」も有料プランで利用可能です。
テスト実行とZapの有効化
Zapを設定したら、必ずテストを行います。テスト機能で実際のデータを流し込み、想定どおりの処理が実行されるか確認します。動作が問題なければZapをONにし、自動化をスタートできます。また、「タスク履歴」で実行状況やエラーの有無を確認できるため、運用後のチェックも容易です。まずは1ステップZapから試し、徐々に複雑な自動化に拡張していくとスムーズです。
まとめ|Zapierは業務効率化を加速させる最初の一歩になる
Zapierは、5,000以上のアプリをつなぎ、プログラミング知識がなくても自動化を実現できる強力なツールです。導入すれば、定型業務を効率化し、人的ミスを減らし、限られたリソースを戦略的な業務に振り向けられます。日本語対応や無料プランの制限など注意点はあるものの、まずは小規模に導入して効果を実感し、必要に応じてプランを拡張していくのが現実的です。
自社のDXを推進する第一歩として、無料プランからZapierを試し、業務自動化の可能性を体感してみてください。その先に、より大きな生産性向上のチャンスが広がっています。
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Zapierに関するよくある質問
- QZapとは何ですか?
- A
Zapとは、Zapierで構築する自動化フローの単位を指します。「トリガー(きっかけ)」と「アクション(処理内容)」の組み合わせで成り立っており、「新しいメールが届いたらスプレッドシートに記録」といった動きを自動で実行します。
- Qタスクとは何ですか?
- A
タスクは、Zapの中で実際に処理が実行された回数をカウントする単位です。例えば「Gmailの新着メールをSlackに通知するZap」を作った場合、メールを1件処理するごとに1タスクとして消費されます。料金プランごとにタスク数の上限が決まっているため、導入前に必要な処理量を把握しておくことが大切です。
- QZapierは日本語に対応していますか?
- A
Zapierの公式画面は基本的に英語のみで提供されています。ただし、インターフェースは直感的に操作できるように設計されているため、英語が得意でなくても利用は可能です。必要に応じてGoogle翻訳を組み合わせれば、運用上のハードルは大きく下がります。
- Q無料プランだけで使い続けられますか?
- A
無料プランでも基本的な自動化は可能ですが、Zap数は5つ・月間タスクは100件までと制限が厳しく、実行間隔も15分に固定されています。業務で本格的に利用するには、有料プランのStarter以上に移行するのが現実的です。
- Qどんなアプリと連携できますか?
- A
Zapierは、5,000種類以上のアプリやWebサービスと連携可能です。Google Workspace、Slack、Notion、Salesforce、Shopify、Trello、Dropbox、Zoomなど、日常業務でよく使うツールのほとんどをカバーしています。複数サービスを横断して連携できる点が、Zapierの大きな強みです。
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