「ChatGPTを社内で使いたいが、情報漏洩が心配…」
「AI利用ポリシーを作らなければいけないが、何を書けばいいか分からない」
このような悩みを抱えていませんか?
AI活用による業務効率化は待ったなしの状況ですが、適切なガイドラインなしに導入すると情報漏洩や著作権侵害などの深刻なリスクが発生します。とはいえ、ゼロからポリシーを作成するのは時間もかかり、専門知識も必要です。
本記事では、これらの課題を一気に解決します。 10業界別の具体的な例文をコピペで利用でき、実用性重視のテンプレートを提供。策定手順から社内展開まで完全サポートで、今日からでも実践できる内容となっています。
また、AI活用についてお悩みの方に向けて、AIを導入だけで終わらずに成功に導くために必要な考え方を5つのステップ別に整理した資料をご用意しております。「どう進めたらいいかわからない」「生成AI導入を漏れなく進めるのは不安」という方はお気軽にご覧ください。
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AI利用ポリシーとは?企業に今すぐ必要な3つの理由
AI利用ポリシーとは、企業が生成AIを安全かつ効果的に活用するための社内ルールをまとめた文書です。
企業でのAI活用が急速に進む中、適切なガイドラインなしには深刻なリスクが発生しています。情報漏洩事故や法的トラブルを避けるため、AI利用ポリシーの策定は待ったなしの状況です。
情報漏洩・著作権侵害リスクが急増しているから
生成AIの業務利用において、機密情報の流出や知的財産権の侵害が深刻な問題となっています。
2023年3月、韓国サムスン電子では従業員がChatGPTに機密ソースコードを入力し、3件の情報漏洩事故が発生しました。入力されたデータは外部サーバーに保存され、他のユーザーに開示される可能性があります。
また、AIが生成したコンテンツが既存の著作物に類似している場合、意図せず著作権を侵害するリスクも存在します。これらのトラブルを防ぐには、事前にポリシーで禁止事項や注意点を明確化することが不可欠です。
AI関連の法規制が世界的に強化されているから
各国でAI利用に関する法規制が急速に整備され、企業にはコンプライアンス対応が求められています。
EUでは2024年にAI法が施行され、高リスクAIシステムには厳格な規制が適用されます。米国でもAI権利章典が策定され、アルゴリズム差別やプライバシー保護が重視されています。
日本でも個人情報保護法との関係で、AIに個人データを入力する際の注意が必要です。法的リスクを回避するには、最新の規制動向を踏まえたポリシー策定が欠かせません。
ガイドラインなしでは業務効率が逆に低下するから
明確なルールがない状態でAIを導入すると、従業員の混乱により生産性が下がってしまいます。
「どこまで使っていいのか分からない」「上司に確認する時間が増えた」といった状況では、本来のAI活用メリットを享受できません。適切なポリシーがあることで、従業員は安心してAIを業務に取り入れられます。
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【業界別】AI利用ポリシー例文集10選
AI利用ポリシーは業界や企業規模によって必要な内容が大きく異なります。
コピペですぐに使える具体的な例文を業界別に厳選しました。
一般企業向け基本テンプレート
多くの企業で活用できる基本的なポリシー例文です。最低限押さえるべき要素を網羅しています。
第1条(目的)
本規程は、当社における生成AI技術の適切かつ安全な業務利用を推進し、情報資産の保護と業務効率の向上を図ることを目的とする。
第2条(適用範囲)
本規程は、当社の全役職員および業務委託先が生成AIを業務で利用する場合に適用する。
第3条(遵守事項)
1. 機密情報、個人情報を生成AIに入力してはならない
2. 生成された内容は必ず事実確認を行ってから使用する
3. 著作権侵害の可能性がある場合は使用を控える
4. 業務目的以外での利用は禁止する
・よくある違反パターン:「顧客リストをそのまま貼り付けて営業メール作成」「会議の録音データを文字起こしに使用」
・注意すべき具体的なケース:売上数字、開発中商品名、取引先との契約条件を含む相談
金融業界向け
金融庁ガイドラインに準拠した高セキュリティ要求に対応したポリシーです。
第4条(特別禁止事項)
1. 顧客の取引情報、口座情報を一切入力禁止
2. 融資審査に関わる情報の入力禁止
3. 金融商品の推奨文書作成での単独利用禁止
4. システムのログイン情報に関する質問禁止
・よくある違反パターン:「顧客の投資相談内容をAIに入力して回答案作成」「融資案件の審査資料をAIで要約」
・注意すべき具体的なケース:匿名化しても特定可能な顧客情報、金利や手数料の具体的数値
製造業向け
設計図面や製造ノウハウの保護に特化した技術情報重視型のポリシーです。
第5条(技術情報の取り扱い)
1. 設計図面、仕様書、特許情報の入力禁止
2. 生産技術、品質管理手法に関する詳細情報の入力禁止
3. サプライヤーとの契約内容や取引条件の入力禁止
4. 製品開発のロードマップ情報の入力禁止
・よくある違反パターン:「技術仕様書の翻訳をAIに依頼」「品質問題の原因分析に詳細データを入力」
・注意すべき具体的なケース:部品の寸法や材質、製造工程の詳細、不具合情報
IT・システム開発向け
プログラミング支援での利用を想定した開発業務に特化したポリシーです。
第6条(コード生成時の注意事項)
1. 本番環境の設定情報、API キーは入力禁止
2. 顧客システムの詳細仕様や構成情報の入力禁止
3. 生成されたコードは必ずセキュリティレビューを実施
4. オープンソースライセンスの確認を必須とする
・よくある違反パターン:「本番データベースの接続情報を含むコード相談」「顧客名を含むファイル名やコメントを含む相談」
・注意すべき具体的なケース:API認証情報、本番環境のURL、顧客固有の業務ロジック
医療・ヘルスケア向け
医療法や個人情報保護法に準拠した患者情報保護重視のポリシーです。
第7条(医療情報の取り扱い)
1. 患者の氏名、カルテ番号、診断結果の入力禁止
2. 診断や治療方針の決定にAIの回答を単独利用禁止
3. 薬剤情報や副作用に関する照会は医師の監督下で実施
4. 医療画像データの直接入力は禁止
・よくある違反パターン:「症状と薬剤名を入力して副作用を確認」「カルテ内容の要約作成」
・注意すべき具体的なケース:匿名化しても特定可能な症例、薬剤の組み合わせ情報
教育機関向け
学生情報の保護と教育効果を両立させる教育現場特化型のポリシーです。
第8条(教育現場での利用規則)
1. 学生の個人情報、成績情報の入力禁止
2. 教材作成時は著作権侵害に十分注意する
3. 学生指導での利用は教育的配慮を優先する
4. 入試問題や評価基準の作成での単独利用禁止
・よくある違反パターン:「学生名入りの成績データで分析」「教科書の内容をそのまま入力して問題作成」
・注意すべき具体的なケース:学籍番号、家庭環境情報、個別指導記録
小売・EC向け
顧客の購買データや在庫情報を扱う小売業界向けのポリシーです。
第9条(小売業での利用規則)
1. 顧客の購買履歴、行動データの入力禁止
2. 在庫情報、仕入れ価格の詳細入力禁止
3. 販売戦略、マーケティング施策の入力禁止
4. 競合分析データの詳細入力禁止
・よくある違反パターン:「特定顧客の購買傾向分析」「仕入れ価格を含む利益計算」
・注意すべき具体的なケース:会員情報、購入金額、配送先住所
小規模企業向け
リソースが限られた企業向けの最小限ルールに絞ったポリシーです。
第10条(基本的な利用ルール)
1. 会社の機密情報は絶対に入力しない
2. お客様の情報は一切入力しない
3. 生成された内容はそのまま使わず必ず確認する
4. 困った時は上司に相談する
・よくある違反パターン:「売上報告書をそのまま分析依頼」「顧客からのクレーム内容を相談」
・注意すべき具体的なケース:具体的な金額、顧客名、取引先名を含む内容
法律事務所向け
弁護士の守秘義務を考慮した法務業界最高レベルのポリシーです。
第11条(法律事務所での利用規則)
1. 依頼者情報、事件内容の一切の入力禁止
2. 法的戦略、訴訟方針の入力禁止
3. 契約書草案の詳細入力禁止
4. 判例研究は一般論の範囲内に限定
・よくある違反パターン:「匿名化した事件概要での法的見解確認」「契約条項の解釈について相談」
・注意すべき具体的なケース:事件番号、当事者が特定可能な情報、金額や期日
上場企業向け
IR情報や株主対応を含む高度なガバナンスを求められる企業向けです。
第12条(上場企業特有の注意事項)
1. 決算情報、業績予想に関わる情報の入力禁止
2. M&A、事業戦略に関する情報の入力禁止
3. 株主総会資料作成での利用は法務承認必須
4. 適時開示に関わる文書作成では慎重な確認を実施
・よくある違反パターン:「四半期決算の分析をAIに依頼」「買収検討先企業の情報を含む戦略相談」「株主質問への回答案作成」
・注意すべき具体的なケース:売上・利益の具体的数値、未発表の人事情報、提携先企業名、新規事業計画
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ゼロから始めるAI利用ポリシーの作り方8ステップ
効果的なAI利用ポリシーを策定するには、体系的なアプローチが必要です。
以下の8ステップに従うことで、実効性のある社内ルールを確実に構築できます。
ステップ1|現状調査とリスクを洗い出す
まず社内でのAI利用実態を把握し、潜在的なリスクを徹底的に特定することが重要です。
現在どの部署でどのようなAIツールが使われているか、アンケートやヒアリングで実態調査を行います。ChatGPT、Claude、Copilotなど、把握していないツールが使われているケースも多く見られます。
同時に業界特有のリスクや法的要件を整理しましょう。金融業なら顧客情報保護、製造業なら技術情報保護など、業界ごとに重点的に対策すべき領域が異なります。
ステップ2|関係部署のメンバーを巻き込む
ポリシー策定は一つの部署だけでは完結しません。法務、人事、IT、各事業部門の代表者を巻き込んだプロジェクトチームを編成する必要があります。
特に法務部門の関与は必須です。著作権、個人情報保護法、業界固有の規制など、法的観点からのチェックがなければ実効性のあるポリシーは作れません。
また、実際にAIを使用する現場の声を反映させるため、各部門から実務担当者を参加させることも重要です。
ステップ3|ポリシーの適用範囲を決める
適用対象となる人員、システム、業務領域を明確に定義します。曖昧な範囲設定は運用時の混乱を招く原因となります。
正社員だけでなく、派遣社員、業務委託先、パートナー企業まで含めるかどうかを検討します。また、どのAIツールを対象とするか、新しいツールが登場した際の対応方法も定めておきましょう。
部署によってリスクレベルが異なる場合は、部門別の詳細ルールを設けることも検討が必要です。
ステップ4|具体的なルールを策定する
抽象的な表現ではなく、従業員が迷わないよう具体的で実行可能なルールを作成します。
「機密情報を入力してはならない」だけでは不十分で、「顧客名、売上金額、開発中製品名は機密情報に該当する」といった具体例を示すことが重要です。
また、グレーゾーンの判断基準や相談窓口も明確に設定しましょう。
ステップ5|法務チェックを実施する
作成したポリシー案について、法的妥当性と実効性を専門家の観点から検証します。
著作権法、個人情報保護法、業界特有の法規制との整合性を確認します。また、海外展開している企業では、GDPR(EU一般データ保護規則)などの国際的な規制への配慮も必要です。
違反時の処分についても、労働法に照らして適切かどうかの確認が欠かせません。
ステップ6|役員承認を取得する
ポリシーに実効性を持たせるため、経営陣による正式な承認を得ることが必須です。
取締役会や経営会議での承認を経ることで、組織全体での取り組みとしての位置づけが明確になります。
同時に、違反時の対処方針や責任の所在も経営レベルで合意形成を行います。
ステップ7|全社に発表・周知する
策定したポリシーを確実に全従業員に浸透させるため、段階的かつ継続的な周知活動を実施します。
全社説明会の開催、社内ポータルサイトでの公開、部門別の勉強会など、多様な手段を組み合わせます。
特に新入社員や中途入社者向けの研修プログラムに組み込むことで、継続的な浸透を図れます。
ステップ8|定期的な見直し体制を構築する
AI技術の急速な進歩に対応するため、継続的な更新メカニズムを確立します。
半年または四半期ごとの定期見直しスケジュールを設定し、新しいAIツールの登場や法規制の変更に対応しましょう。
また、運用中に発生した問題や従業員からのフィードバックを収集し、実務に即した改善を継続的に行います。
見直し責任者と承認プロセスを明確化することで、迅速かつ適切なポリシー更新が実現可能です。
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AI利用ポリシーを確実に運用する社内体制の作り方
AI利用ポリシーを策定しても、適切な運用体制がなければ効果は期待できません。
社内での確実な実行と継続的な改善を実現する仕組みを構築することが、安全なAI活用の鍵となります。
教育研修プログラムを設計する
ポリシーの内容を全従業員に浸透させるため、体系的な教育プログラムの構築が不可欠です。
新入社員研修や定期的な全社研修にAI利用ルールを組み込み、継続的な意識向上を図ります。部門別の特別研修では、業務特性に応じたリスクや注意点を具体的に説明することが重要です。
eラーニングシステムを活用した理解度テストや、実際のケーススタディを用いたワークショップなど、多様な手法を組み合わせることで効果的な学習を実現できます。
AI利用ポリシーの策定は第一歩に過ぎません。実際の現場では、『ポリシーを読んでも具体的な判断に迷う』『違反の境界線が曖昧』といった課題が頻発します。これらを解決するには、ポリシーの内容を実務に落とし込む社員教育が不可欠です。
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定期的な運用チェック体制を整える
ポリシーが適切に守られているかを監視し、問題の早期発見と対処を行う体制を確立します。
月次または四半期ごとのモニタリングレポートを作成し、AI利用状況や発生した問題を定期的に把握します。各部門からのAI利用報告書を収集し、ポリシー違反の兆候がないかをチェックすることも有効です。
社内のヘルプデスクやコンプライアンス窓口にAI関連の相談機能を追加し、従業員が迷った時に気軽に相談できる環境を整備しましょう。
違反時の対処フローを明確にする
ポリシー違反が発生した場合の対応手順を事前に定め、迅速かつ適切な対処を可能にする体制を構築します。
軽微な違反から重大な情報漏洩まで、違反の程度に応じた段階的な対処方針を明文化します。関係部署への報告ルート、調査手順、再発防止策の策定プロセスまで詳細に定めておくことが重要です。
違反者への処分についても、労働法に配慮した適切な基準を設け、公平性と透明性を確保する必要があります。同時に、違反を報告した従業員を保護する仕組みも整備しましょう。
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まとめ|AI利用ポリシーで安全なAI活用を実現しよう
AI利用ポリシーの策定は、企業が生成AIを安全かつ効果的に活用するための必須条件です。本記事でご紹介した業界別例文集と策定手順を活用することで、法的リスクを回避しながら業務効率化を実現できます。
重要なのは、ポリシーを作ることがゴールではなく、継続的な運用と改善にあります。AI技術の急速な進歩に対応するため、定期的な見直しと従業員教育を継続していくことが成功の鍵となります。
今回紹介した例文をベースに、自社の業界特性や規模に合わせてカスタマイズし、実効性の高いAI利用ポリシーを構築してください。適切なガイドラインのもとで、AIの持つ可能性を最大限に活用していきましょう。
AI利用ポリシーの策定は第一歩。真の効果を得るには継続的な社員教育が不可欠です。効果的な生成AI研修の進め方をまとめた資料を無料でご提供しています。「どう進めたらいいかわからない」「生成AI導入を漏れなく進めるのは不安」という方はお気軽にご覧ください。
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AI利用ポリシー策定に関するよくある質問
- QAI利用ポリシーの策定にどのくらいの期間が必要ですか?
- A
企業規模や業界によって異なりますが、一般的には1〜3ヶ月程度が目安です。小規模企業なら2週間程度、大企業では関係部署との調整や法務チェックを含めて3〜6ヶ月かかる場合もあります。本記事の例文を活用すれば、大幅な時間短縮が可能です。
- Q小規模企業でもAI利用ポリシーは必要ですか?
- A
従業員数に関係なく策定をおすすめします。 少人数でも情報漏洩や著作権侵害のリスクは同じです。小規模企業向けのシンプル版テンプレートを活用することで、最小限の工数で効果的なポリシーを作成できます。
- Q既存の情報セキュリティ規程との関係はどうすればいいですか?
- A
AI利用ポリシーは情報セキュリティ規程の特別版として位置づけるのが一般的です。既存規程の条項に追加する形でも、独立した規程として作成する形でも構いません。重要なのは矛盾がないよう整合性を保つことです。
- Q外部委託先にもポリシーを適用すべきですか?
- A
業務委託契約にAI利用に関する条項を追加することを強く推奨します。委託先でのAI利用が原因で情報漏洩が発生した場合、委託元企業にも責任が及ぶ可能性があります。契約更新時に追加するか、覚書として別途締結しましょう。
- Qポリシーに違反した従業員への処分はどの程度が適切ですか?
- A
違反の程度に応じた段階的な処分規定を設けることが重要です。軽微な違反なら注意指導、重大な情報漏洩なら懲戒処分も検討されます。ただし、労働法に配慮した適切な処分基準を設定し、就業規則との整合性も確保する必要があります。
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