近年、顧客対応や社内業務の効率化を目的に、AIチャットボットを導入する企業が増えています。「人手が足りない」「同じ問い合わせが何度も繰り返される」「ナレッジが属人化していて共有できていない」このような課題を感じている方にとって、AIチャットボットは解決の糸口になるでしょう。
本記事では、AIチャットボットの仕組みや導入メリット、実際の導入事例を交えながら、企業に役立つ情報を詳しく解説します。
なお、SHIFT AIでは、AIチャットボットの導入や運用支援をサポートしています。業務に最適なAI活用を進めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
AIチャットボットとは?仕組みと特徴をやさしく解説

AIチャットボットとは、人工知能を活用してユーザーの質問に自動で応答するシステムのことです。近年は自然な会話ができる高精度なモデルが登場し、業務の自動化や顧客満足度の向上に貢献しています。
まずは、AIチャットボットがどのように動作するのか、基本的な仕組みと特徴を見ていきましょう。
AIチャットボットの定義と特徴
AIチャットボットとは、ユーザーが入力したテキスト(音声)を理解し、適切な返答を返す会話型AIです。特に自然言語処理(NLP)の技術を活用することで、キーワードへの回答にとどまらず、文脈を理解した自然な対話が可能になります。
さらに、機械学習によって会話データをトレーニングすることで、応答の精度や幅が向上し、業務効率化に直結するツールへと進化します。FAQ対応や社内ナレッジの共有、製品・サービスの紹介コンテンツなど、あらゆるシーンで導入が進んでおり、人的対応の負担を減らしつつ、質の高い対応が実現できます。
AIが返答する仕組み(NLPと処理フロー)
生成AIチャットボットは、従来の選択式やルールベース型のチャットボットと異なり、自然言語生成技術(NLG)を使い、その場で文章を作り出す仕組みです。
ユーザー入力 → 意図解析 → 応答生成 |
ユーザーが入力した内容はプロンプトとして処理され、大規模な言語モデル(生成AI)に送信されます。そこで、あらかじめ学習された膨大な知識とプロンプトの文脈を組み合わせて、最適な返答がリアルタイムで生成されるという流れです。
この仕組みにより、定型的なFAQだけでなく、より複雑で文脈のやり取りにも柔軟に対応でき、ユーザーごとのニーズに合った自然なコミュニケーションが可能になります。
従来のチャットボットとの違い
従来のチャットボットは、あらかじめ用意された質問と回答のパターンに沿って対応する「シナリオ型」が主流でした。しかし、この形式では、ユーザーの入力に対して決まったフローでしか応答できず、柔軟な対話には不向きです。
一方、生成AIチャットボットはユーザーの自由な文章入力を理解し、リアルタイムで回答を生成するため、より自然で人間らしい会話が可能です。さらに、シナリオ型は導入時の設計やメンテナンスに手間がかかりますが、生成AIは一度導入すれば広範囲の質問にも対応でき、運用する際の負荷も軽減されます。
AIチャットボットの導入メリット4つ

企業がAIチャットボットを導入するメリットは多数あります。以下で4つのメリットをまとめました。
- 24時間対応による顧客満足度の向上
- 業務効率化と人的コスト削減
- 顧客データの蓄積・マーケティング活用
- 多言語対応によるグローバル対応力の強化
メリット①24時間対応による顧客満足度の向上
AIチャットボットの大きなメリットの一つが、24時間365日いつでもユーザー対応が可能になる点です。ユーザーはいつでも好きなタイミングでチャットボットに質問し、回答を得られるようになります。
また、待ち時間なくスムーズに返答が得られることで、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上にもつながります。基本的な質問やトラブルの一次対応を自動で処理できるため、企業側の対応工数も削減でき、ユーザーと企業の双方にとってメリットになるでしょう。
ECサイトやサービス業では、深夜や休日の問い合わせも少なくありません。営業時間外でもすぐに対応できる体制が、顧客の利便性と満足度を高める重要な要素となります。
メリット②業務効率化と人的コスト削減
AIチャットボットの導入により、カスタマーサポートの業務負担を大きく軽減できます。頻繁に発生する問い合わせや簡易的なトラブル対応はチャットボットが自動処理するため、オペレーターは専門性の高い対応や付加価値のある業務に集中できるようになります。
これにより業務の質を落とすことなく、生産性の向上と人員リソースの最適化が図れるでしょう。
また、問い合わせが集中するピークタイムにも対応できるので、回答の遅延や抜け漏れを防ぎ、顧客満足度の維持にもつながります。結果として、コスト削減と業務全体の効率がスムーズになります。
メリット③顧客データの蓄積・マーケティング活用
AIチャットボットは対応ツールとしてだけでなく、マーケティングに活用できる顧客データの蓄積装置としても機能します。ユーザーの問い合わせ内容や関心のあるトピック、利用時間帯や行動パターンなどを分析することで、顧客ニーズを把握可能です。
パーソナライズされた商品の提案や、よくある質問の構成改善など、マーケティング施策への応用が進みます。さらに、データに基づくインサイトは、サービス内容の最適化や新商品の企画・開発にも活かすことができ、企業全体の戦略にも貢献します。
メリット④多言語対応によるグローバル対応力の強化
生成AIチャットボットは、多言語での対応が可能な点も大きな強みです。日本語や英語はもちろん、中国語・韓国語・スペイン語など、さまざまな言語に対応できるため、グローバルな顧客とのコミュニケーションにも対応できます。
特にインバウンド需要が高まる観光業や、海外進出を進めるECサイトでは、顧客とのスムーズな対話がサービス品質の向上につながります。自動翻訳に頼らず自然な言語で対応できることにより、言語の壁を越えた顧客体験の提供が実現できるでしょう。
AIチャットボット導入時の注意点・デメリット

AIチャットボットは多くの利点をもたらしますが、導入・運用にあたっては注意すべきポイントも存在します。期待した効果を得るためには、事前の準備や体制構築が不可欠です。
ここでは、導入時によく直面する課題やデメリットを詳しく解説します。
- 初期設計と学習データの整備が重要
- 誤認識や誤回答のリスク
- セキュリティと個人情報保護
初期設計と学習データの整備が重要
AIチャットボットを効果的に運用するには、導入前の設計段階で「誰に」「どのような内容で」対応させるかを明確にすることが重要です。業務内容やユーザー層に合わない設計では、期待した成果が得られない可能性があります。
また、学習データの質が応答の精度に直結するため、FAQやマニュアルなどのデータベースの整備も欠かせません。社内でよくある質問や問い合わせ履歴を活用し、実際の業務に合ったデータでトレーニングすることで、実用的なチャットボットに仕上げられます。
誤認識や誤回答のリスク
AIチャットボットは自然言語を理解して返答を行いますが、常に正確とは限りません。文脈を読み違えたり、曖昧な表現に対して誤った回答をしたりするケースもあり、ユーザーの不満や信頼低下につながる可能性もあります。
そのため、すべての対応をAI任せにせず、必要に応じて人による手動対応へスムーズに切り替えられる設計が必要です。また、回答内容の品質チェックや継続的に改善できる体制を整えることも、安定した運用に不可欠な要素です。
セキュリティと個人情報保護
AIチャットボットが個人情報を取り扱う場合、セキュリティと法令遵守が非常に重要です。日本の個人情報保護に関する法律に沿った形で運用する必要があります。チャットボット上で収集されるデータは、通信の暗号化や保存時のアクセス制御など、万全のセキュリティ対策を施すことが重要です。
また、利用者に対しても、どのような情報が収集されるのかを明示し、安心して利用してもらえる設計にすることが信頼構築の鍵となります。
AIチャットボットの活用事例【業態別】
自社にAIチャットボットを導入する前に、活用している業態や導入効果を確認しておきましょう。
業態・分野 | 主な用途 | 導入効果 |
カスタマーサポート | FAQ対応、問い合わせ削減、24時間対応の実現 | 対応時間の短縮・業務負担の軽減・満足度向上 |
社内ヘルプデスク(人事・総務) | 社員からのよくある質問対応(休暇申請・福利厚生など) | 総務・人事担当者の負担軽減、社内情報の可視化 |
営業・マーケティング | 商品説明、キャンペーン案内、リード獲得支援 | 自動応答による効率的な営業支援、CV率の向上 |
自治体・公共機関 | 住民からの問い合わせ対応、手続き案内、災害時情報提供 | 窓口業務の混雑緩和、行政サービスのDX推進 |
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おすすめのAIチャットボット7選【用途別に紹介】
ここからは、AIチャットボットのおすすめを用途別にご紹介します。ぜひ参考にして比較検討してください。
- ChatGPT(OpenAI API)
- KARAKURI
- sinclo(シンクロ)
- アルファスコープ
- AIさくらさん
- MicoCloud(ミコクラウド)
- Perplexity(パープレキシティ)
ChatGPT(OpenAI API)【自由度重視】

画像引用:ChatGPT
「ChatGPT」は、自由度の高さと柔軟性を備えた生成AIです。公式サイトで質問する形で利用するのが一般的ですが、チャットボットとしてWebサイトに置くことができます。
ChatGPTはカスタマイズ性の高さが魅力です。APIを使えば自社システムとの連携やカスタマイズも簡単で、業務に合わせた高度な対話設計が行えます。
また、ユーザーの入力内容を深く理解し、自然で人間らしい会話を実現します。従来のFAQ型ボットでは、対応が難しかった曖昧な質問や複雑な問い合わせも可能です。カスタマーサポートや社内問い合わせ、ナレッジ共有など多様な用途に適しているでしょう。
自社に合うチャットボットにカスタマイズして利用したい企業におすすめです。
KARAKURI【カスタマーサポートに特化】

画像引用:KARAKURI
KARAKURIは、カスタマーサポートに特化したAIチャットボットで、FAQ対応の自動化や問い合わせ削減に強みを持つ国産ツールです。
独自のAIエンジンにより、表現の揺れや曖昧な質問にも高い精度で対応できるのがメリットです。自然な会話と顧客満足度の向上を同時に実現します。
Salesforceなど主要なCRM(顧客関係性マネジメント)と連携でき、問い合わせ履歴の蓄積や分析にも対応が可能です。運用サポートも手厚く、非エンジニアでも使いやすい管理画面で改善を続けられる点も評価されています。
sinclo(シンクロ)【マーケティング・CV改善】

画像引用:sinclo
「sinclo(シンクロ)」は、マーケティング支援とコンバージョン(CV)改善に特化した国産のチャットボットツールです。Webサイト訪問者の行動をリアルタイムで解析し、最適なタイミングでチャットを表示する「アクティブチャット機能」により、離脱防止や資料請求・申込みといったCV向上を図ります。
また、有人チャットとの切り替えもスムーズで、営業サポートや問い合わせ対応も可能です。直感的なUIで設定しやすく、施策効果の分析も簡単に行えるのが特徴です。
問い合わせ増加に力を入れたい企業に向いたチャットボットだと言えるでしょう。
アルファスコープ【社内ナレッジ共有に強い】

画像引用:アルファスコープ
「アルファスコープ」は、社内ナレッジ共有に特化したAIチャットボットで、従業員からの問い合わせ対応や業務マニュアルの検索などに活用されています。検索性に優れたUIと、継続的なチューニングを支援する運用機能により、社内のナレッジが効率的に蓄積・再利用され、属人化を防止できます。従業員の自己解決力を高め、全社的な業務効率の向上に貢献するツールです。
人事・総務・情報システム部門において、繰り返し発生する社内問い合わせを自動化することで、対応負担を大幅に軽減できるでしょう。
AIさくらさん【自治体・公共機関でも導入多数】

画像引用:AIさくらさん
「AIさくらさん」は、自治体や公共機関をはじめ、鉄道・教育・医療機関など多様な業種で導入実績を持つAIチャットボットです。利用者からの問い合わせ対応を自動化し、案内業務の効率化と住民サービスの向上を実現します。
音声対話や多言語対応など、公共性の高い現場に適した性能が充実しており、窓口や電話の対応負担を軽減できるのがメリットです。
クラウド型で導入もスムーズなので、職員のIT知識がなくても運用できる点も評価されています。行政のDX推進にも貢献する信頼性の高いツールです。
MicoCloud(ミコクラウド)【LINE連携に強い】

画像引用:MicoCloud
「MicoCloud(ミコクラウド)」は、LINE公式アカウントと連携し、顧客とのコミュニケーションを最適化するマーケティングプラットフォームです。顧客の属性や行動データを収集・分析し、セグメント配信やシナリオ配信を通じて、パーソナライズされたメッセージを自動で配信できます。
CRMやSFAなどの外部システムとの連携も可能で、顧客データの一元管理を実現できるのがポイントです。また、アンケート機能や1to1チャット、リッチメニューの出し分けなど、多彩な機能を備えており、顧客体験の向上と業務効率化を支援します。
さらに、初期の構築から運用まで依頼でき、LINEを活用したマーケティング施策を効果的に展開したい企業に適したツールです。
Perplexity(パープレキシティ)【リサーチに最適】

画像引用:Perplexity
「Perplexity(パープレキシティ)」は、リアルタイムの情報収集と高精度な回答生成を組み合わせた、AIチャットボットです。Webサイトにチャットボットとして搭載することができます。
Perplexityはユーザーの質問に対して、最新のWeb情報を検索し、信頼性の高い情報源を表示しながら、要約された回答を提供します。これにより、情報の正確性と透明性が確保され、研究や調査において信頼できるツールとなっています。
さらに、検索範囲を特定のプラットフォームやカテゴリに絞る「Focus」機能を備えており、学術論文や特定のメディアからの情報収集が可能です。
選び方のポイントは「目的・連携・運用体制」

【選定時に確認すべき主なポイント】導入目的(例:FAQ対応/マーケティング支援/社内業務の効率化)外部ツールとの連携可否(CRM・LINE・社内システムなど)費用感(初期費用と月額費用のバランス)運用体制(自社で対応可能か、外部に委託するか) |
AIチャットボットを導入する際は、機能や価格だけでなく、「何のために使うのか」「誰が運用するのか」といった視点で選ぶことが重要です。
例えば、カスタマーサポートの効率化を目的とする場合と、営業支援や社内問い合わせの削減を目指す場合では、求められる機能がそれぞれ異なります。
また、LINEやCRMなど既存の外部システムとの連携可否もチェックすべきポイントです。さらに、初期費用・月額費用のバランスや、自社内に継続的に運用できる体制があるかどうかも、長期運用に大きく影響します。
AIチャットボット導入の流れ

AIチャットボットの導入は、単にツールを選んで設置するだけでは成功しません。目的や業務課題に合った設計を行い、導入後も継続的に改善していくことが、成果につながるプロセスです。
ここからは、AIチャットボット導入を成功に導くための3つのステップを具体的に解説していきます。
- 業務課題の洗い出し
- 要件定義とKPI設定
- ツール選定・開発・運用
ステップ1:業務課題の洗い出し
AIチャットボットを効果的に導入するには、まず「何を自動化したいのか」を明確にする必要があります。社内外の問い合わせ内容を洗い出し、手作業で対応している業務や、繰り返し発生する質問などをリスト化しましょう。
例えば、「営業時間を何度も聞かれる」「申請方法の確認が多い」など、時間を取られている対応を特定することで、導入効果の高い領域が見えてきます。
まずは無料で使えるテンプレートや業界別の例を活用することで、現場の声を拾いやすくなります。botをどの業務フローに統合するかを考えることが、最初のプロセスです。
ステップ2:要件定義とKPI設定
次に、自社の目的に応じた要件定義とKPI(成果指標)の設定を行います。例えば、「FAQ対応の時間を月◯時間短縮したい」「CV率を5%向上させたい」など、数値化された目標があると導入効果の評価がしやすくなります。
あわせて、必要な連携先(LINE・CRM・既存アプリなど)や、対応したい言語、運用担当の割り当てなど、要件を整理しておくことが肝要です。
ステップ3:ツール選定・開発・運用
ツール選定では、自社の業務規模や目的に合った形式を選ぶことが重要です。ノーコードで始められるSaaS型、柔軟な連携が可能なAPI接続型、自社開発など、それぞれにメリット・デメリットがあります。
さらに費用面では、初期費用が抑えられる無料プランも多く、使用目的に応じた段階的な導入も可能です。
また、導入後の保守・改善フェーズも視野に入れ、ログ分析やフィードバックを活かしてFAQや応答精度を定期的に更新しましょう。
botの運用を社内で完結できるか、外部に委託するかも検討すべきポイントです。自己完結型の運用体制を整えることで、より迅速な改善と活用が期待できます。
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まとめ:AIチャットボットを利用して業務効率化を進めよう
業種や課題に応じた柔軟なアプローチが求められる中で、目的や運用体制に合ったツールを選ぶことが成功のカギとなります。
FAQ対応やリード獲得向けなど、用途に応じたチャット機能をシームレスに搭載し、自社の業務に適したチャットボットを作成すれば、異なるニーズにも対応可能です。
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