広告業界でもAIの活用が急速に進んでいます。「自社の広告運用にもAIを導入してみたい」と考えても、何から手をつければ良いか迷っている方も多いかもしれません。

この記事では、そんなあなたのためにAI広告の基本から最新動向までを徹底解説していきます。AI広告の最新事例も厳選して紹介していくので、自社での活用イメージが具体的に湧いてくるはずです。

まずはAI広告の可能性を知るための一歩として、本記事をぜひ最後までご覧ください。

なお、SHIFT AIでは企業の生成AI活用・導入をサポートしています。 「広告制作をもっと効率化したい」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ無料相談をご利用ください。専門コンサルタントが貴社の課題解決をお手伝いします。

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目次

AI広告とは?まずは基本を押さえよう

AIが広告の世界でどのように活躍し、そしてその裏をどう支えているのか。また、AIの力がどのような広告の種類に使われているのかをわかりやすく解説していきます。

まずは、AI広告の基本を掴んでいきましょう。

そもそもAI広告とは

AI広告とは、一言でいうと「AI(人工知能)の力を借りて、広告活動をより効率的に実施するための新しい手法」です。

現代の広告、特にインターネット広告の世界では、扱うデータの量が膨大で変化のスピードも早いです。そのため、人の力だけでは最適な判断や作業をリアルタイムで行うのが難しくなっています。

AIは、私たちが扱いきれないほどの大量のデータを瞬時に分析し、「この人は今、何に興味を持っているか」「どんな広告を見せれば心に響くか」といったことを高い精度で予測します。

その予測にもとづいて、広告のデザインやキャッチコピーの候補を考えたり、最適なタイミングで、最適な相手に、最適な広告を自動で届けたりできるのです。

どのような広告で使える?AI活用のおもな種類

AIは、今やさまざまな種類の広告で活躍しています。特にその能力を発揮しやすいのがインターネット広告の世界です。

具体的には、以下のような広告でAIが使われています。

検索広告(リスティング広告)

Googleなどで何かを検索した時に表示される広告です。

入力した検索キーワードや過去の検索履歴などから、最も関心を引きそうな広告文を自動で選択。また、広告を表示させるための最適な入札価格をリアルタイムで調整します。

ディスプレイ広告

Webサイトやアプリを見ている時に表示されるバナー(画像)広告や動画広告です。

閲覧履歴や興味関心を分析し、「この人にはこの商品の広告が響きそうだ」と判断して、関連性の高い広告を選んで表示させます。AIが広告のデザイン自体を作る手伝いをすることもあります。

SNS広告

Instagram、X(旧Twitter)、Facebookなどで見かける広告です。

ユーザーのプロフィール情報やフォローしているアカウント、「いいね」を押した投稿などを分析し、興味を持ちそうな商品やサービスの広告をタイムラインに表示させます。

AIが広告に活用されることで、企業はより効率的にターゲット顧客にアプローチでき、私たちユーザーにとっても有益な情報に出会いやすくなるという効果があります。

生成AIで広告はこう変わる!3つの活用法とおもなツールを紹介

この章では、生成AIが広告制作の現場で具体的にどのように役立つのか、おもな3つの活用法を紹介します。

  1. 【画像・動画生成AI】幅広い表現のビジュアルを制作
  2. 【文章生成AI】ターゲットに響くキャッチコピーや広告文を作成
  3. 【翻訳AI】多言語広告を簡単に作成・展開

AIによる活用法を知ることで、自社の広告作りが、もっとクリエイティブで、もっと効率的になるヒントがきっと見つかるはずです。

活用法1:【画像・動画生成AI】幅広い表現のビジュアルを制作

広告で人の目を引くには、魅力的な写真やイラスト、動画といった「ビジュアル」が欠かせません。これまで、こうした素材を用意するには、プロのカメラマンやデザイナーに依頼したり、素材サイトで購入したりする必要がありました。しかし、画像や動画を作る生成AIの登場でその常識が変わりつつあります。

例えば、「夕暮れのビーチで楽しそうに笑うカップル、おしゃれな雰囲気で」のように、作りたいイメージを言葉(プロンプト)で指示します。すると、生成AIがオリジナルの画像を何パターンも生成してくれるのです。

驚くほどリアルな写真風の画像から、独創的なイラストまで、表現の幅は非常に広いです。動画生成も、「商品のロゴが回転しながらキラキラ光る短いアニメーション」といった指示で、AIが動画を作ってくれます。

代表的な生成AIツールには以下のようなものがあります。

【画像生成AIツールの例】Midjourney、Stable Diffusion、DALL-E 3
【動画生成AIツールの例】Runway、Sora、Pika、Kaiber

これらのツールを使えば、あなたの頭の中にあるイメージを驚くほど簡単に広告ビジュアルとして実現できるかもしれません。

活用法2:【文章生成AI】ターゲットに響くキャッチコピーや広告文を作成

「商品の良さを伝えたいけど、気の利いた言葉が思いつかない…」広告を作る上で、キャッチコピーや説明文は頭を悩ませるポイントのひとつです。そんなとき頼りになるのが、文章生成AIです。

文章生成AIは、インターネット上の膨大なテキストデータを学習しています。例えば、「20代女性向けの新しい化粧水、ターゲットに響くようなキャッチコピーを5つ考えて」といった具合に、目的やターゲット、トーンなどを伝えるとそれに合った文章を複数パターン提案してくれます

自身では思いつかなかったような斬新な切り口や、ターゲットの心に刺さる言い回しが見つかることもあります。ただし、AIが作った文章をそのまま使うのはおすすめできません。AIの文章を叩き台にして、人の手でさらにブラッシュアップすることでより質の高い広告コピーを生み出すことができるのです。

代表的な生成AIツールには以下のようなものがあります。

【文章生成AIツールの例】ChatGPT、Claude、Gemini、Catchy

文章作成の時間と労力を大幅に削減し、より効果的な言葉を見つけるための強力な武器にしていきましょう。

活用法3:【翻訳AI】多言語広告を簡単に作成・展開

ビジネスが国境を越えるのが当たり前になった現代、海外の顧客に向けて広告を発信したいと考える企業も増えています。しかし、言葉の壁は大きな課題でした。そこで活躍するのが、生成AIによる翻訳技術です。

近年のAI翻訳は目覚ましい進化を遂げており、単語を置き換えるだけでなく、文脈を理解して非常に自然で正確な翻訳が可能になっています。

DeepLやGoogle翻訳といったツールを使ったことがある人も多いのではないでしょうか。これらの技術を活用すれば、日本語で作成した広告コピーや商品説明文を、英語、中国語、スペイン語など、さまざまな言語に瞬時に翻訳できます。

代表的な生成AIツールには以下のようなものがあります。

【文章生成AIツールの例】DeepL、Google翻訳、Microsoft Translator

生成AIは、自社のメッセージを世界中の人々に届けるための強力なサポートとなるはずです。

AI広告を導入する3つのメリット

AI広告を導入することは、単に新しい技術を取り入れるというだけでなく、広告活動全体に大きな変化と利益をもたらす可能性を秘めています。

この章では、AI広告を導入することで得られるおもなメリットを3つ紹介します。

  1. AIが多様なクリエイティブ案を高速で生成
  2. AIによる自動最適化で効率アップ
  3. データが導く超精密ターゲティングで費用対効果を最大化

なぜ今、多くの企業がAI広告に注目しているのか、その理由がきっと見えてくるはずです。

メリット1:AIが多様なクリエイティブ案を高速で生成

生成AIは、人間が思いもよらないような斬新な広告コピーやデザイン案を、驚くほどのスピードで大量に生み出します。

「もうアイデアが出ない」「いつも似たようなデザインになってしまう」といったクリエイティブ制作のアイデア枯渇問題に、生成AIは画期的な解決策をもたらしてくれるのです。また、AIは人間が思いつかないデザインを作成でき、発想の幅を広げるのにも役立つでしょう。

これにより、制作担当者はアイデア出しのプレッシャーから解放されるだけでなく、多様な選択肢の中から最も効果的なものを選び出すことができます。マンネリ化を防ぎ、常に新鮮で魅力的な広告を発信し続けるための強力な武器となるでしょう。

メリット2:AIによる自動最適化で効率アップ

広告は作って終わりではありません。実際に配信し、その効果を見ながら細かく調整していく運用作業が非常に重要です。AIはこの煩雑な運用作業の多くを自動化し、担当者の負担を大幅に軽減します。

AIは、広告の表示回数、クリック率、コンバージョン率といった膨大なデータを24時間365日監視・分析し続けます。そして、「どの広告デザインが効果的か」「どの時間帯に配信するのがベストか」といった判断をデータにもとづいて実施。自動で最適な状態に調整してくれるのです。

効果の低い広告は自動で停止し、効果が高い広告に予算を集中させるといった賢明な運用も可能です。担当者は細かい数字とにらめっこする時間から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。

メリット3:データが導くターゲティングで費用対効果を最大化

「広告費をかけたのに、全然成果が出ない…」そんな経験はありませんか? AI広告は、この問題を解決する大きな可能性を秘めています。

AIは、年齢や性別といった基本的な属性だけでなく、Webサイトの閲覧履歴や検索キーワード、購買履歴といったユーザーの行動データを詳細に分析します。これにより、「この人は最近〇〇に興味を持っている」「近々△△を購入する可能性が高い」といったことを高い精度で予測。そのユーザーに合った広告を表示し、効率的な訴求を可能にします。

興味のない人に広告を表示して無駄なコストを使うことが減り、広告費を本当に見込みのある顧客に集中投下できるため、少ない予算でも高い成果を期待できるのです。これが、AI広告がもたらす「費用対効果(ROI)の最大化」です。

導入前に知っておきたいAI広告の3つの注意点

この章では、AI広告を導入する前に知っておきたい3つの注意点を解説します。

  1. 誤情報・フェイク生成のリスク
  2. 著作権・知的財産権の侵害リスク
  3. 最新トレンドへの対応が遅れるリスク
  4. 画像や動画が不自然になるリスク

メリットばかりに目を向けるのではなく、これらのリスクを事前にしっかり理解しておくことが重要です。

注意点1:誤情報・フェイク生成のリスク

AIは学習したデータにもとづいて「それらしい」ものを生成するのが得意です。しかし、その内容が本当に正しいか、倫理的に問題ないかを保証してくれるわけではありません。

例えば、AIに商品の広告文を書かせたら、実際には搭載されていない機能を謳ってしまったり、効果を過剰に表現してしまったりする可能性があるのです。

こうした誤情報やフェイクコンテンツを広告として発信してしまうと、消費者に誤解を与え、企業の信用を著しく損なう「炎上」騒ぎにつながるおそれもあります。景品表示法などの法律に抵触する可能性も否定できません。

AIが生成した文章、画像、動画などのコンテンツは必ず人の目で最終チェックを行い、事実確認や内容の精査を徹底していきましょう。

注意点2:著作権・知的財産権の侵害リスク

AIが広告クリエイティブを生成する際、知らず知らずのうちに他者の著作権や商標権といった知的財産権を侵害してしまうリスクがあります。AIは学習データの特徴を模倣してコンテンツを生成するため、結果的に既存の作品と酷似したものが出来上がってしまう可能性があるのです。

もし、AIが生成した広告デザインが有名なキャラクターにそっくりだったり、広告コピーがどこかのブログ記事とほとんど同じだったりした場合、元の権利者から著作権侵害などで訴えられるおそれがあります。

そうなれば、広告の差し止めや損害賠償請求といった深刻な事態に発展しかねません。特に、どのようなデータで学習したかが不明確なAIツールを利用する場合は、注意が必要です。

利用するAIツールは、利用規約(特に商用利用の可否、生成物の権利帰属、学習データに関する記載)をよく確認しましょう。また、AIが生成したクリエイティブが既存の作品と類似していないか、可能な範囲でチェックすることも大切です。

注意点3:最新トレンドへの対応が遅れるリスク

AIは過去の膨大なデータから学習して能力を発揮します。そのため、世の中で生まれたばかりの最新の流行語や、直近で起こった社会的な出来事などを広告に反映させるのは苦手です。

例えば、先週SNSで話題になったばかりのネットミームや、今日発表されたばかりのニュース速報などを、AIが即座に広告コピーやデザインに盛り込むのは難しいでしょう。広告は「鮮度」が命となる場面も多いです。AIだけに頼っていると、タイミングを逃してしまったり、少し古臭い印象の広告になってしまったりする可能性があります。

担当者は常に世の中の最新動向にアンテナを張り、AIの生成物に人の手で最新の情報を加えたり、時代感覚に合わせて修正したりすることが重要です。

注意点4:画像や動画が不自然になるリスク

AIで生成するイラストや動画は不自然になることがあります。

例えば、人物の指が多くなってしまったり、物理現象を超えた動きをする動画が作られることがあります。こういった生成物を広告に使うと嫌悪感を持たれ、かえってクリック率や問合せが少なくなるかもしれません。

生成物のクオリティを保てるようなプロンプトを入力する、たくさん生成して問題ないものを使うといった対策が必要になるでしょう。

【厳選】AI広告がビジネスを変える!活用事例8選を紹介

AI広告はもはや未来の話ではなく、すでに多くの企業がその力を活用し具体的な成果を上げています。

この章では、2025年現在注目すべきAI広告の活用事例を厳選して8社紹介します。

  1. ブランドを守りながら広告バナーをAIで自動生成(KDDI)
  2. ユーザーがアートを作る!生成AIで体験型プロモーション(アサヒビール)
  3. AIでタレントの「デジタルツイン」を生成しCM制作(HUMAN LIFE)
  4. AIが広告コピーとキーワードを自動提案!中小企業を支援(LINEヤフー)
  5. 生成AIで店舗広告を高速作成&売上アップ(NTTドコモ)
  6. AIで観光動画広告の効果を最大化(JTBコミュニケーションデザイン・ベクトル)
  7. AIモデル撮影スタジオでクリエイティブ生成を支援(AI model・キヤノンMJ)
  8. 自治体初!生成AIでシティプロモーション動画を制作(郵宣企画)

これらの事例から、AIが広告制作や運用、効果測定にどのように貢献しているのか、具体的なイメージを掴んでいきましょう。

【事例1】ブランドを守りながら広告バナーをAIで自動生成(KDDI)

KDDIはRecursive、Supershipと協業し、画像生成AIを活用した広告クリエイティブ自動生成システムを開発しました。

このシステムの特筆すべきところは、KDDIが定めたブランドガイドライン(色使いやロゴの配置などのルール)をAIが学習し、それに沿ったデザインのバナー広告を半自動で生成できる点です。

デザインの初期案作成から仕上げ作業の一部までをAIがサポートするため、ブランド管理に詳しくない担当者でも一定の品質を保った広告クリエイティブを作れるようになりました。

社内テストの結果、デザイン案出し・ラフ作成・仕上げ作業で50%もの工数削減効果が確認されたとのこと。この事例では、広告制作の大幅な効率化と、企業にとって非常に重要なブランドイメージの一貫性を両立しています。

出典:KDDI「ニュースルーム」

【事例2】ユーザーがアートを作る!生成AIで体験型プロモーション(アサヒビール)

アサヒビールは、日本の飲料業界で初めて画像生成AI(Stable Diffusion)を用いた体験型プロモーション「Create Your DRY CRYSTAL ART」を実施しました。

この企画は20歳以上のユーザーであれば誰でも参加可能。ブランドサイト上で簡単なテキスト入力や自身の写真をアップロードするだけで、AIがオリジナルのアート作品を自動生成してくれます。

「水彩画風」「アニメ風」など好みのスタイルを選ぶこともでき、まるで自分がアーティストになったかのような体験ができます。生成されたアートはSNSなどで共有することも可能で、楽しみながら商品コンセプトに触れる機会を提供しました。

AIによる最新技術をうまく活用し話題性を生み出すことで、多くの人に商品の魅力を効果的に伝えた好事例といえるでしょう。

出典:アサヒビール「ニュースリリース」

【事例3】AIでタレントの「デジタルツイン」を生成しCM制作(HUMAN LIFE)

海外用Wi-Fiサービス「ZEUS WiFi for GLOBAL」のCMキャラクターを務めるのは、人気お笑いコンビのガンバレルーヤ。しかし、彼女たちは月の半分を海外で過ごすほど多忙で、CMのための海外ロケを行うのは困難でした。

そこで取られた驚きの方法が、AIによる「デジタルツイン」の活用です。

まず、都内の特殊なスタジオで、100台以上のカメラを使ってガンバレルーヤの二人を360度から撮影し、さまざまな表情データを収集。このデータをもとに、AIが本人そっくりのデジタルな分身「AIガンバレルーヤ」を生成しました。

そして、このAIガンバレルーヤが、ハワイやエジプト、韓国など、世界各国でZEUS WiFiを使って休暇を楽しむという設定のCM映像を作り上げたのです。

本物のガンバレルーヤが撮影に要した時間は、なんと二人合わせてたったの16分ほど。「私たち、どこにも行ってないんですけど!」というCM中のセリフが、まさにこの制作背景を物語っています。タレント起用の新たな可能性を示すユニークな事例といえるでしょう。

出典:PR TIMES「「私たち、どこにも行ってないんですけど!!」本人稼働は16分!?※超多忙なガンバレルーヤをAI生成でデジタルツイン化」

【事例4】AIが広告コピーとキーワードを自動提案!中小企業を支援(LINEヤフー)

LINEヤフーは、自社の広告プラットフォーム「Yahoo!広告」に生成AI機能を導入しました。

インターネット広告、特に検索結果に表示される広告(検索広告)を出す際、どのようなキーワードで広告を出すか、どんな広告文(コピー)にするかが効果を大きく左右します。

この機能では、広告主が自社のWebサイト(ランディングページ)のURLを入力すると、AIがそのページの内容を解析し、最適な広告のタイトル文や説明文を自動で提案してくれるのです。

これにより、広告に関する専門知識があまりなくても、AIのサポートを受けながら効果的な検索広告を出稿できるようになりました。

出典:LINEヤフー「ニュース」

【事例5】生成AIで店舗広告を高速作成&売上アップ(NTTドコモ)

スーパーマーケットなどの小売業では、魅力的な売り場を作るための広告コンテンツ作成に十分な時間と手間が必要です。しかし、業界では人手不足が深刻な課題となっており、そこまで手が回らない状況が続いていました。

この課題に対し、NTTドコモはインテージ、ダイノブ、今村商事が共同で実証実験を実施。ドコモが生成AIを活用して、ダイノブが売りたい商品のサイネージ用広告コンテンツ(画像・動画)を作成しました。

その結果、通常であれば外部に依頼すると1週間程度かかっていた広告コンテンツの作成時間を、最短で1時間以内にまで短縮することに成功したのです。作成手順の最大3分の2を半自動化できたといいます。

さらに、生成AIで作られた広告を店内のサイネージで表示したところ、広告対象となった商品の売上が平均で1.2倍、最大で3.3倍も増加するという大きな効果も確認されました。

この事例は、生成AIが小売現場の広告制作における人手不足解消と効率化に貢献するだけでなく、直接的な売上向上にもつながる可能性を示しています。

出典:PR TIMES「生成AIを活用した店舗内サイネージ向け広告配信に関する実証実験を実施」

【事例6】AIで観光動画広告の効果を最大化(JTBコミュニケーションデザイン・ベクトル)

JTBコミュニケーションデザインとベクトルが共同で、生成AIを活用した観光向け動画広告プロモーション「Insight Finder Ⓡ for Tourism (IFT)」を開発しました。

このサービスの特徴は、Webサイト解析ツールのデータを生成AIが分析し、観光地に興味を持ちそうなターゲット層(顧客像)を具体的に描き出すことです。

そして、そのターゲットの好みや関心をもとに、AIが最も響くであろう動画広告のコンテンツ内容を提案します。制作された動画は、AIが導き出したターゲット層に届きやすい広告媒体や配信方法で届けられます。

兵庫県尼崎市の観光プロモーションでの実証実験では、AIが設定したターゲット層への広告配信が、それ以外の層への配信に比べて明らかに高い視聴率や訪問意欲の向上を示しました。AIによるターゲティングとコンテンツ最適化の有効性が証明されたのです。

出典:JTBコミュニケーションデザイン「リリース・お知らせ」

【事例7】AIモデル撮影スタジオでクリエイティブ生成を支援(AI model・キヤノンMJ)

AIモデル(AIによって生成された架空のモデル)を提供するAI modelと、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)が協業。キヤノンMJの事業所内にAIモデル専用の撮影スタジオを設置し、事業化の検証を開始しました。

AI modelが持つ独自開発の生成AI技術と撮影ノウハウに、キヤノンMJの持つ高度なイメージング技術(カメラ性能や画像処理技術)の掛け合わせ。そうすることで、より高品質で魅力的な広告クリエイティブを効率的に制作することを目指しています。

例えば、AIが生成したモデルと実際に撮影した商品を組み合わせることで、商品の質感や着用感をリアルに伝えます。制作のリードタイム短縮やコスト削減はもちろん、これまでにない高付加価値なクリエイティブ表現の可能性を追求できるのです。

出典:PR TIMES「AIモデル撮影スタジオをキヤノンMJと設置し事業化検証を開始。生成AI×撮影技術でクリエイティブ生成の支援を協業。」

【事例8】自治体初!生成AIでシティプロモーション動画を制作(郵宣企画)

地方自治体が地域の魅力を発信し、観光客誘致や移住促進につなげるシティプロモーション活動においても、AI活用の動きが出てきています。郵宣企画は、兵庫県相生市のPR動画「#相生ランウェイ」を制作するにあたり、最先端の動画生成AI技術を全面的に活用しました。

この動画では、相生市の実際の街並みを背景に、生成AIが生み出した様々な個性を持つモデルたちが、まるでファッションショーのランウェイを歩くかのように颯爽と登場します。リアルな風景と、AIが創り出す架空の美しいモデルたちが融合することで、スタイリッシュで目を引く、これまでにない映像表現を実現しました。

この取り組みは、自治体のプロモーション動画としては全国で初めての試みとして注目されています。

出典:PR TIMES「自治体初!生成AIを活用したシティプロモーション動画「#相生ランウェイ」公開」

AIを活用した新しい広告運用で自社のビジネスを加速させよう

AI広告は、クリエイティブ制作の効率化や精密なターゲティング、そして費用対効果の向上など、自社のビジネスを加速させる大きな可能性を秘めています。しかしその一方で、誤情報や著作権といったリスク管理も欠かせません。

大切なのはAIを過度に恐れるのではなく、その特性と限界を正しく理解し、賢く活用していくことです。

この記事で得た知識をもとに、まずは自社の課題解決につながるAI広告の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

なおSHIFT AIでは、AI導入に関するさまざまなご相談を無料で承っております。「自社に合ったAIツールが分からない」「導入の進め方についてアドバイスが欲しい」など、些細なことでも構いません。気になる方は下記のリンクからお気軽にお問い合わせください!

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