AI技術の急速な普及に伴い、企業のAI人材育成が急務となっています。しかし、AI研修にかかる費用負担が課題となり、導入を躊躇している企業も少なくありません。
そこで注目されているのが、国や自治体が提供する助成金制度です。適切に活用すれば、AI研修費用を最大75%削減できる可能性があります。
本記事では、AI研修に活用できる助成金の種類から申請方法まで、2025年最新の情報をもとに徹底解説します。おすすめのAI社内研修についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
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\ 助成金活用でAI人材育成コスト削減 /
AI研修に使える助成金とは?基礎知識を解説

AI研修とは、人工知能の基礎知識から実践的な活用方法まで学ぶ研修プログラムです。近年、企業のDX推進に伴いAI人材の需要が急増していますが、研修費用の負担が課題となっています。
そこで注目されているのが、国や自治体が提供する助成金制度です。適切に活用すれば、AI研修費用を最大75%削減できる可能性があります。
AI研修の助成金を受給できる企業・事業主の条件
AI研修の助成金を受給するには、基本的な要件を満たす必要があります。これらの条件は、助成金制度が企業の継続的な人材育成を支援することを目的としているためです。
<企業・事業主の基本条件>
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 職業能力開発推進者を選任していること
- 事業内職業能力開発計画等を作成し、従業員に周知していること
- 労働基準法等の法令を遵守した適正な雇用管理
- 助成金関連書類を5年間保存できる体制
<従業員に関する要件>
- 研修受講者は原則として雇用保険の被保険者であること
- 正規雇用の従業員が基本対象者
- 一部制度では有期契約労働者やパートタイム労働者も対象に含まれる
制度によって対象となる従業員の範囲が変わるため、申請前に具体的な要件を確認することが重要です。特に人材開発支援助成金では、コースごとに対象者が明確に定められています。
助成金の対象となるAI研修の種類
助成金の対象となるAI研修は制度によって異なりますが、一般的には「業務に役立つスキル習得」が目的であれば対象となるケースが多いのが特徴です。
AIの基礎知識や活用法を学ぶ研修、データ分析や機械学習に関する内容、業種や職種に特化した活用事例を学ぶプログラムなどが該当します。また、AI関連の資格取得を目指す学習サービスや、生成AIの仕組みや使い方を学ぶ研修も助成金対象となるケースが見られます。
<対象となるAI研修の具体例>
- ChatGPTやGenerative AIの業務活用研修
- AIリテラシー向上研修、データ分析基礎講座
- 機械学習・ディープラーニング実装研修
- AI開発プロジェクト管理研修、業界特化型AI活用研修
ただし、それぞれの学習サービスによって助成金利用の可否が異なるため、十分にリサーチしたうえで利用先を決定しましょう。なお、趣味・自己啓発目的の研修は対象外となります。
助成金と補助金の基本的な違いと選び方
AI研修の資金支援には「助成金」と「補助金」があり、目的と特徴が大きく異なります。
助成金 | 補助金 | |
管轄 | 厚生労働省 | 経済産業省 |
目的 | 雇用安定・人材育成 | 新事業展開・生産性向上 |
支援規模 | 数十万円~数百万円 | 数百万円~数千万円以上 |
受給難易度 | 要件満たせば受給可能 | 審査制・採択件数に限りあり |
募集期間 | 通年募集が多い | 特定期間限定 |
<助成金が適している場合>
- 純粋にAI研修のみを実施したい
- 確実な費用削減を図りたい
- 初回のAI人材育成に取り組む
- 申請・管理の負担を抑えたい
<補助金が適している場合>
- AIシステム導入と研修をセットで実施
- 大規模な設備投資を伴う
- 新事業開発・イノベーション創出が目的
- より高額な支援を希望
助成金・補助金を利用する際の重要な制約として、同一の研修や事業に対して複数の国の制度を同時に利用することは原則として認められていません。
ただし、国の助成金と地方自治体独自の助成金については併用できる場合があるため、申請前に必ず管轄の労働局や自治体に併用可否を確認することが必要です。
目的に応じた適切な制度選択が成功の鍵となります。研修実施が主目的なら助成金、事業拡大・システム導入が主目的なら補助金を選択しましょう。
AI研修費用を直接補助する助成金一覧

AI研修費用の直接補助を受けられる助成金制度は、主に厚生労働省管轄の人材開発支援助成金とキャリアアップ助成金、さらに地方自治体独自の制度があります。
これらの制度を活用することで、研修費用の45~75%の補助と研修期間中の賃金助成を受けることが可能です。企業の目的や対象者に応じて最適な制度を選択することで、効果的なAI人材育成を実現できます。
人材開発支援助成金(厚生労働省)
人材開発支援助成金は、AI/DX研修で最も活用される助成金制度です。複数のコースが用意されており、企業の目的や研修内容に応じて選択できます。
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 人材育成支援コース
- 人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)
- 教育訓練休暇等付与コース
2025年度は賃金助成が1時間あたり1,000円に増額され、より活用しやすくなりました。この助成金の最大のメリットは、研修費用と賃金の両方を支援してくれることです。適切なコースを選択することで、実質的な企業負担を大幅に削減できます。
事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等リスキリング支援コースは、AI研修で最も高い助成率を誇る制度です。
新規事業の立ち上げやDX・グリーン化に伴う専門知識習得が対象となり、助成割合が高いため、AI/DX研修において最もよく使われる助成金となっています。
<基本情報・支給要件>
項目 | 内容 |
対象企業 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
訓練内容 | ①事業展開に伴う新分野の専門知識・技能習得②企業内DX・グリーン化に関連する専門知識・技能習得 |
訓練時間 | 10時間以上のOFF-JT |
申請期限 | 訓練開始日の6か月前~1か月前まで |
<助成金額・助成率>
経費助成率 | 賃金助成額(1時間) | |
中小企業 | 75% | 1,000円 |
大企業 | 60% | 500円 |
<経費助成限度額(1人1訓練当たり)>
訓練時間 | 中小企業 | 大企業 |
10時間以上100時間未満 | 30万円 | 20万円 |
100時間以上200時間未満 | 40万円 | 25万円 |
200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
このコースは他の助成金制度と比較して助成率が高く、AI/DX研修を実施する企業にとって最も効果的な制度といえます。ただし、事業展開については訓練開始日から3年以内の実施予定または6か月以内の実施済みという条件があるため、事前の計画策定が重要です。
出典:人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内
人材育成支援コース
人材育成支援コースは、人材開発支援助成金の中で最も幅広く活用されている制度で、正規雇用労働者から有期契約労働者まで対象範囲が広く、AI研修を含む職務に関連した専門的な知識・技能習得のための訓練に対して助成されます。
<基本情報・支給要件>
項目 | 内容 |
対象企業 | 雇用保険適用事業所の事業主・事業主団体等 |
対象労働者 | 雇用保険被保険者(正規・非正規問わず) |
訓練内容 | 職務に関連した専門的な知識・技能習得のための10時間以上のOFF-JT |
申請期限 | 訓練開始日の6か月前~1か月前まで |
3つの訓練メニューから選択でき、企業のさまざまな人材育成ニーズに対応できる柔軟性が特徴です。
①人材育成訓練
- 最も基本的なメニューで幅広い研修に対応
- 10時間以上のOFF-JT(事業内・事業外問わず)
- AI研修、DX研修、技術研修など職務関連の訓練全般
②認定実習併用職業訓練
- 主に新規学校卒業者対象(15歳以上45歳未満)
- OFF-JTと企業内OJTを組み合わせた6か月以上の訓練
- 厚生労働大臣の認定が必要
③有期実習型訓練
- 有期契約労働者等の正社員転換が目的
- OFF-JTとOJTを組み合わせた2か月以上の訓練
- 支給申請時点で正規雇用転換が条件
<助成金額・助成率>
対象労働者 | 経費助成率 | 賃金助成額(1人1時間) | |
人材育成訓練 | 正規雇用労働者等 | 45%(30%) | 800円(400円) |
有期契約労働者等 | 70% | 800円(400円) | |
賃金要件達成時 | 60%(45%)85% | 1,000円(500円) | |
認定実習併用職業訓練 | 15歳以上45歳未満 | 45%(30%) | 800円(400円) |
賃金要件達成時 | 60%(45%) | 1,000円(500円) | |
有期実習型訓練 | 有期契約労働者等(正社員転換時) | 75% | 800円(400円) |
賃金要件達成時 | 100% | 1,000円(500円) |
※()内は中小企業以外の助成額・助成率
<経費助成限度額(1人1訓練あたり)>
訓練時間 | 中小企業 | 大企業 |
10~100時間未満 | 15万円 | 10万円 |
100~200時間未満 | 30万円 | 20万円 |
200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
人材育成支援コースは、以下の事前準備が必要です。
- 職業能力開発推進者の選任(人事・研修担当課長級)
- 事業内職業能力開発計画の策定・周知
- 定期的なキャリアコンサルティング機会の確保(就業規則等への規定)
このコースは助成金制度の中でも要件が比較的緩やかで、AI研修を含む幅広い職業訓練に対応できるため、初めて助成金を活用する企業にも適しています。特に有期契約労働者の正社員転換と組み合わせることで、高い助成率を実現できる点が大きなメリットです。
人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)
人材開発支援助成金の「人への投資促進コース」は、企業の人材育成を支援する時限的な制度です。2026年度まで実施される特別プログラムとして、AI・DX分野の専門人材育成に重点を置いています。
<基本情報・支給要件>
項目 | 内容 |
対象企業 | 雇用保険適用事業所の事業主・事業主団体等 |
対象労働者 | 雇用保険被保険者(正規・非正規問わず) |
訓練内容 | 高度デジタル技術習得を目指すIT・AI専門研修 |
申請期限 | 訓練開始日の1か月前まで |
このコースでは、企業のニーズに応じて5つの研修タイプから選択可能です。
メニュー | 研修内容 | 経費補助率 | 賃金補助 |
定額制研修 | 月額制の受け放題オンライン研修 | 60% | ー |
高度デジタル人材育成/成長分野研修 | 高度IT技術者育成のためのAI・データサイエンス研修 | 75% | 1,000円 |
IT分野実習併用研修 | IT未経験者向けの実践的スキル習得研修 | 45% | ー |
自主的能力開発研修 | 社員が主体的に選択したAI関連研修 | 60% | 800円 |
長期学習休暇制度 | 業務継続しながらのAI研修受講支援制度 | 20万円 | 1,000円 |
上記の補助率は中小企業向けの数値です。大企業については補助率が若干減額され、一定の条件クリア時には15%程度の上乗せ支給があります。なお、IT分野実習併用研修については、別途OJT実施支援として20万円が支給されます。
機械学習、深層学習、AI開発マネジメントなど、高い専門性を要求される技術分野での人材育成に最適化されています。年間の支給上限は1事業所につき2,500万円、年度内の受講制限は3回までとなっており、計画的な人材育成戦略が重要です。
教育訓練休暇等付与コース
教育訓練休暇等付与コースは、従業員の自発的な職業能力開発を支援するため、有給の教育訓練休暇制度を導入した事業主に対して助成する制度です。
従業員が自主的にAI研修を受講する際の休暇取得を企業が支援することで助成金を受給できます。
<基本情報・支給要件>
項目 | 内容 |
対象企業 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
対象労働者 | 雇用保険被保険者(正規・非正規問わず) |
制度内容 | 従業員の自発的な職業能力開発のための休暇制度導入 |
申請期限 | 制度導入・適用計画期間の初日から6か月前~1か月前まで |
このコースでは、従業員の学習スタイルに応じた3つの制度から選択できます。
<助成内容・支給金額>
制度タイプ | 内容 | 助成額 |
教育訓練休暇制度 | 3年間で計5日以上の有給学習休暇制度の新設・運用 | 30万円 |
長期教育訓練休暇制度 | 連続30日以上の長期学習休暇制度の新設・運用 | 20万円 |
教育訓練短時間勤務等制度 | 労働時間の短縮や残業免除を30回以上可能とする制度の新設・運用 | 20万円 |
長期教育訓練休暇制度にて、有給対応する場合は、追加で賃金助成が受けられます。
- 中小企業:時間あたり1,000円(上限1,600時間)
- 大企業:時間あたり800円(上限1,200時間)
このコースは研修受講料の補助ではなく、従業員が学習しやすい環境づくりに対する支援制度です。AI技術の習得など専門性の高い分野でも、従業員が安心して学習に専念できる体制を整備することで助成を受けられます。
出典:人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース)のご案内
キャリアアップ助成金(厚生労働省)
キャリアアップ助成金は、契約社員やパートなど非正規雇用スタッフの雇用安定化と待遇向上を図る企業を支援する助成制度です。
雇用形態の転換や労働条件の改善に取り組む事業主が対象となり、人材投資にかかるコスト負担の軽減効果が期待できます。
<基本情報・支給要件>
項目 | 内容 |
対象企業 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
対象労働者 | 有期契約労働者、短時間労働者等の非正規雇用労働者 |
支援内容 | 正社員化・処遇改善の取り組み |
申請条件 | キャリアアップ計画の策定・提出が必要 |
キャリアアップ助成金では、企業のニーズに応じて以下の6つのコースが用意されています。
コース名 | 支援目的 | 主な要件 |
正社員化コース | 正社員転換支援 | 派遣社員などの非正規雇用労働者を正社員に転換 |
障害者正社員化コース | 障害者雇用促進 | 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換 |
賃金規定等改定コース | 賃金処遇改善 | 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し、3%以上増額 |
賃金規定等共通化コース | 待遇格差解消 | 有期雇用労働者等と正規雇用労働者に共通の賃金規定等を新規適用 |
賞与・退職金制度導入コース | 福利厚生拡充 | 有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入 |
短時間労働者労働時間延長コース | 社会保険適用促進 | 有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、社会保険を適用 |
AI研修を通じてスキルアップした契約社員を正規雇用に転換する際や、AI技術習得を理由とした賃金アップ(3%以上)を実施する場合に本助成金が適用されます。
正社員化では最大80万円、賃金改定では最大6万5,000円の支援が受けられるため、AI人材の確保と定着を図る企業にとって効果的な制度といえます。
【参考】間接的に活用できる補助金・融資制度

AI研修費用の直接補助は受けられませんが、AIツール導入と人材育成を一体的に進めることで、間接的に研修コストを軽減できる補助金制度があります。
システム導入と併せて戦略的に活用することで、総合的なDX推進コストの削減が可能です。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のITツール導入を支援する制度です。
2025年度はIT活用の定着を促す導入後の”活用支援”が補助対象に追加され、AI関連システムの操作研修や運用サポートも一体的に申請できる可能性が高まりました。
<基本情報>
項目 | 内容 |
対象企業 | 中小企業・小規模事業者等 |
補助対象 | ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用、活用支援 |
申請枠 | 通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠 |
申請期間 | 2025年3月31日から受付開始 |
<2025年度の主要枠と補助内容>
申請枠 | 補助率 | 補助上限額 | 特徴 |
通常枠 | 1/2以内(最低賃金近傍事業者は2/3) | 最大450万円 | 業務効率化・生産性向上のITツール |
インボイス枠 | 1/2~4/5以内 | 最大350万円 | インボイス対応システム導入 |
セキュリティ対策推進枠 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 | 最大150万円 | サイバーセキュリティ対策ツール |
AI研修での戦略的活用方法 2025年度では導入後の”活用支援”が補助対象に追加されたため、AIチャットボットやデータ分析ツールの導入と併せて、操作研修や運用トレーニングを一体的に実施できます。
たとえば、AI搭載の顧客管理システムを導入する際に、従業員向けのAI活用研修費用もシステム導入費の一部として計上可能です。ただし、主目的はあくまでITツール導入であり、登録済みのIT導入支援事業者との連携が必須となります。
出典:IT導入補助金制度概要
ものづくり補助金
ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者等が行う革新的な製品・サービス開発や生産プロセス改善のための設備投資等を支援する制度です。
AI技術を活用した革新的なシステム開発プロジェクトは補助対象となりますが、研修費用の直接補助は困難です。
<基本情報>
項目 | 内容 |
対象企業 | 中小企業・小規模事業者等(製造業以外も対象) |
補助対象 | 革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善のための設備投資等 |
補助率 | 小規模事業者:2/3、中小企業:1/2 |
補助上限額 | 100万円~最大8,000万円(枠により変動) |
製造業でAI技術を活用した予知保全システムや品質管理システムを開発する際、プロジェクトに必要な専門知識習得のための研修費用を事業費の一部として組み込める可能性があります。
ただし、主目的は設備投資やシステム開発であり、研修単体での申請は不可能です。事業計画の革新性や実現可能性が厳しく審査されるため、AI導入による具体的な生産性向上効果と併せた包括的な提案が必要です。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等が省力化設備やシステムを導入し、生産性向上と付加価値向上を図る投資を支援する制度です。
AI・ロボット・IoT等の導入による業務自動化と併せて、従業員の役割転換に必要なスキル習得支援を組み込むことで活用できます。
<基本情報>
項目 | 内容 |
対象企業 | 中小企業者、小規模企業者・小規模事業者等 |
補助対象 | 省力化に資する設備投資、システム構築 |
申請タイプ | カタログ型(汎用製品)、一般型(オーダーメイド設備) |
事業目的 | 人手不足対策、生産性向上、賃上げ促進 |
<補助率・補助上限額(一般型)>
従業員数 | 補助上限額 | 大幅賃上げ時 |
5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
6~20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
21~50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
51~100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
AI研修での戦略的活用方法 RPA(業務自動化ツール)やAI画像認識システム、需要予測AIなどを導入し、業務を効率化する際の従業員向け操作研修や運用トレーニングを、人材配置転換の一環として計上できる可能性があります。
特に製造業や物流業での「人からAIへの業務移管」に伴う研修は、省力化投資の一部として認められやすい傾向があります。ただし、主目的は設備・システム導入であり、2025年度予算は3,000億円と潤沢ですが、早期申請が推奨されます。
出典:中小企業省力化投資補助金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画に基づき実施する販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する制度です。
一般的な従業員研修費用は標準的な補助対象経費に含まれておらず、AI研修費用の直接補助は困難ですが、販路開拓の一環としてAI活用ツール導入時にコンサルティング費用として間接活用の可能性があります。
<基本情報>
項目 | 内容 |
対象企業 | 小規模事業者(従業員数制限あり) |
支援内容 | 販路開拓等の取り組み、業務効率化の取り組み |
補助率 | 2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4) |
申請方法 | 商工会・商工会議所の支援を受けて申請 |
<小規模事業者の定義>
業種 | 従業員数上限 |
商業・サービス業(宿泊・娯楽除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
<補助上限額・特例制度>
区分 | 補助上限額 |
通常枠 | 50万円 |
インボイス特例 | +50万円上乗せ |
賃金引上げ特例 | +150万円上乗せ |
両特例併用 | +200万円上乗せ(最大250万円) |
AI活用による顧客対応システムの導入や、データ分析による販路拡大戦略の策定を目的とする場合、専門コンサルタントによる指導・研修を委託・外注費として計上できるケースがあります。
たとえば、AIチャットボット付きウェブサイト構築と併せた運用研修や、AI活用マーケティング戦略策定支援などが該当する可能性があります。ただし、研修単体での申請は不可能で、販路開拓という本来の目的との関連性が重要です。
小規模事業者にとっては申請しやすい制度ですが、補助上限額は比較的低く、他の助成金制度の方が研修目的には適している場合が多いのが実情です。
出典:小規模事業者持続化補助金
人材開発支援助成金の申請フロー

AI研修で人材開発支援助成金を受給するには、以下の5つのステップを確実に実行することが重要です。
申請から支給まで通常3〜6か月程度かかるため、余裕を持ったスケジュール管理が成功の鍵となります。
- Step1:職業訓練実施計画の策定
- Step2:計画届の提出(研修開始1か月前まで)
- Step3:研修の実施
- Step4:支給申請
- Step5:助成金の受給
Step1: 職業訓練実施計画の策定
申請の第一歩は、職業訓練実施計画の策定です。研修内容、目的、実施方法、受講者選定基準を明記した詳細な計画を社内で策定しましょう。
AI研修の場合、業務との関連性を明確に示し、期待される効果を具体的に記載することが重要です。また、「職業能力開発推進者」の選任と「事業内職業能力開発計画」の策定も必須となります。
計画策定では、研修の必要性を論理的に説明する必要があります。たとえば、「DX推進により顧客対応業務にAIチャットボットを導入するため、従業員のAI活用スキル習得が急務」といったように、事業戦略と研修の関連性を明確にしましょう。
Step2: 計画届の提出(研修開始1か月前まで)
策定した計画を必要書類とともに管轄労働局に提出します。研修開始前の承認を得ることが必須で、研修開始1か月前までの提出が義務付けられています。
提出書類には、職業訓練実施計画届、年間職業能力開発計画、カリキュラム等が含まれます。書類の不備があると審査が遅れるため、事前の確認が重要です。
計画届の審査では、研修内容の妥当性や助成金制度との適合性が確認されます。AI研修の場合、使用する教材や講師の専門性、実習内容の具体性などが重視されるでしょう。
また、選択したコースの要件を満たしているかも厳格にチェックされるため、申請前に要件を再確認することが成功の鍵となります。
Step3: 研修の実施
承認された計画に基づき、AI/DX研修を実施します。出席管理や進捗記録を適切に行い、計画と実施内容の整合性を保つことが重要です。
OFF-JT研修では、実訓練時間の80%以上の出席が要件となるため、受講者の体調管理やスケジュール調整に注意が必要です。
研修実施中は、労働法規の遵守も重要なポイントとなります。研修時間は原則として勤務時間内に実施し、適切な休憩時間を確保する必要があります。
また、研修内容に変更が生じる場合は、事前に変更届を提出しなければなりません。eラーニングを活用する場合は、受講ログの管理や標準学習時間の設定にも注意が必要でしょう。
Step4: 支給申請
研修終了後2か月以内に、実施報告書や修了証明書など必要書類を添付して支給申請を行います。
申請書類には、研修の実施状況、受講者の出席記録、経費の支払い証明、効果測定の結果などを含める必要があります。書類の不備や期限超過は支給対象外となるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。
支給申請では、当初計画との整合性が厳格に審査されます。研修時間、受講者数、カリキュラム内容などが計画通りに実施されているかが確認されるため、実施記録の正確性が重要です。
また、経費の適正性も審査対象となるため、領収書や請求書などの証憑書類を適切に保管し、提出する必要があります。
Step5: 助成金の受給
審査を経て助成金が振り込まれ、通常は支給決定通知から2週間程度で受給が完了します。支給決定後も5年間は関連書類の保存義務があり、事後調査の対象となる可能性があります。
受給後は、研修効果の継続的な測定と、次回申請に向けた改善点の整理を行うことが重要です。
助成金受給後の注意点として、研修効果の活用状況が求められる場合があります。AI研修の成果がどのように業務に活かされているか、生産性向上にどの程度貢献しているかなど、具体的な効果を示すデータの収集と分析を継続することが推奨されます。
これらの実績は、次回申請時の評価材料としても活用できます。
AI研修助成金活用時の重要な注意点

AI研修助成金を確実に受給するためには、以下の重要ポイントを押さえる必要があります。特に申請期限や実施要件の遵守は、助成金支給の可否を左右する決定的な要素となります。
- 申請期限と事前準備を確実に行う
- 研修実施時の遵守事項を守る
- 申請・報告時の要件を満たす
- 資金計画を適切に立てる
申請期限と事前準備を確実に行う
AI研修助成金で最も重要なのは、申請期限の厳守です。研修開始前の計画届提出は必須で、事後申請は一切認められません。計画的な準備が成功の鍵となるでしょう。
特に人材開発支援助成金では、研修開始1か月前までの計画届提出が義務付けられているため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。
事前準備では、職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定、年間研修計画の作成などが必要となります。これらの準備には時間がかかるため、研修実施の3か月前から準備を開始することを推奨します。
研修実施時の遵守事項を守る
研修実施時は、厳格な要件遵守が求められます。勤務時間内実施、出席率80%以上の維持、労働法規の遵守など、研修実施中の要件を確実に満たすことが重要です。
特にAI研修では技術的な内容が多いため、受講者の理解度に差が生じやすく、フォローアップ体制の整備が必要です。出席管理では、遅刻や早退も出席時間から除外されるため、正確な記録が必要となります。
また、OFF-JT研修では業務と明確に区別して実施する必要があり、研修中に業務対応を行うことは認められません。eラーニングを活用する場合は、受講ログの管理システムを導入し、学習進捗を適切に把握することが重要でしょう。
申請・報告時の要件を満たす
助成金申請では、書類保存義務や効果測定の実施など、申請時の条件を完全に遵守する必要があります。
書類保存義務は5年間継続し、労働局による事後調査の対象となる可能性があります。また、計画と実施内容の一致も厳格に確認されるため、変更が生じた場合は適切な手続きが必要です。
効果測定では、研修前後のスキル評価、業務効率の改善度、生産性向上の定量的データなどが求められます。
AI研修の場合、実際の業務でのAI活用度合いや、AI導入による時間短縮効果などを具体的に測定することが重要です。これらのデータは、助成金の成果報告だけでなく、次回申請時の根拠資料としても活用できます。
資金計画を適切に立てる
助成金は後払い制のため、初期費用の調達方法を事前に検討する必要があります。支給時期を考慮した資金計画を立て、キャッシュフローへの影響を最小限に抑えることが重要です。
特に高額なAI研修を実施する場合は、資金繰りへの影響が大きくなる可能性があります。資金調達方法として、金融機関からの短期借入や、AI活用融資などの低金利融資の活用も検討できます。
また、研修費用の分割払いが可能な研修機関を選択することで、初期負担を軽減できる場合もあります。助成金受給までの期間は通常3〜6か月程度ですが、申請内容や時期によってはさらに長期化する可能性もあるため、十分な余裕を持った資金計画が必要です。
まとめ|助成金活用でコストを抑えた戦略的AI研修を実現
AI研修助成金を活用することで、最大75%の費用削減を実現し、企業の競争力強化につながるAI人材育成が可能になります。
特に人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」は、AI/DX研修に最適化された制度設計となっており、中小企業なら実質負担を25%程度まで抑えることができます。
ただし、助成金制度は要件が厳格で、事前準備と正確な手続きが成功の鍵となります。研修開始1か月前までの計画届提出、適切な研修実施、期限内の支給申請といった一連の流れを確実に実行することで、コストを抑えた戦略的なAI人材育成を実現できるでしょう。
もし、AI研修の助成金申請や効果的な研修プログラムの設計にお悩みでしたら、SHIFT AIのAI導入支援サービスを検討してみませんか?SHIFT AIでは、助成金申請サポートから研修カリキュラムの設計、導入後の運用支援まで、企業のAI人材育成を包括的にサポートします。無料の個別相談も随時受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
\ 助成金活用でAI人材育成コスト削減 /