Copilotを使うと、仕事や調べものが驚くほどスムーズになります。
しかし同時に多くのユーザーが気にしているのが、*「履歴はどこに残っているのか?本当に削除できるのか?」という点です。

とくに法人利用では、利用履歴が監査ログとして残ったり、管理者が閲覧できるケースもあり、プライバシーやセキュリティの観点からリスクを見過ごすことはできません。
一方、個人ユーザーにとっても「検索やチャットの内容が残るのは不安」「アカウントを整理したい」という声は少なくありません。

この記事では、

  • Copilotの履歴がどこに保存されているのか
  • 履歴を削除する具体的な方法
  • 削除時に注意すべき制約やリスク 

を整理し、環境ごとの正しい削除手順をわかりやすく解説します。

さらに、法人での導入を検討している方には、履歴削除だけでは解決できないセキュリティ・運用上の課題も提示します。AIを安全に活用するためには「技術的な操作」と「組織としてのルール作り」の両輪が欠かせません。

Copilotを安心して使い続けるために、まずは履歴の扱いをしっかり理解しておきましょう。

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Copilotの履歴はどこに保存される?

Copilotで入力した内容は、その場限りのやり取りに見えても、実際には複数の場所に履歴として残っています。これを理解していないと「削除したつもりでも残っていた」という事態を招きかねません。履歴の保存先は大きく分けて3種類あり、それぞれ扱い方が異なります。

チャット履歴(ユーザーが目にする履歴)

CopilotアプリやWeb版の画面上に表示される会話一覧を指します。ここでは個別のやり取りを削除できるため、「すぐに履歴を消したい」というニーズに対応しやすいのが特徴です。ただし、この削除はあくまでユーザー側UIから見えなくする操作であり、裏側のログや記録までは消せない点に注意が必要です。

アクティビティ履歴(Microsoftアカウントに紐づく履歴)

Copilotの利用は、Microsoftアカウントに連携されており、「プライバシーダッシュボード」や「マイアカウント」から確認できるアクティビティ履歴として残ります。ここでは「一括削除」も可能ですが、反映までに時間差がある場合があるほか、法人アカウントでは削除操作そのものが制限されていることもあります。つまり、個人利用と法人利用で削除の自由度が異なるということです。

システムログ・監査ログ(法人利用における履歴)

企業や組織がMicrosoft 365を利用している場合、管理者が監査目的でアクセスできるログが別途保存されています。これは利用者が自分で消すことはできず、情報システム部門のポリシー管理下に置かれます。法人導入では、履歴削除の可否よりも「どのようにログを管理するか」の方が重要になるのです。

ここまでを整理すると、次のようにまとめられます。

履歴の種類保存場所削除可否主な注意点
チャット履歴CopilotアプリやWeb上可能(UI上から個別削除)表示上のみ消去、完全削除ではない
アクティビティ履歴Microsoftアカウント/プライバシーダッシュボード可能(一括削除可)反映に時間差あり、法人では制限も
システムログ/監査ログ管理者用の監査機能不可(利用者側では削除不可)コンプライアンス上の監査対象となる

このように履歴の保存先は一様ではなく、「どの層の履歴を消したいのか」によって手順もリスクも変わります。とくに法人アカウントでは、個人利用の延長線では考えられない制約が存在します。

Copilotの利用範囲やプランによって機能や権限が異なる点は、【Copilotの料金比較記事】でも詳しく解説しています。利用環境に合わせた対策を取ることが大切です。

ここまでで「保存場所」を明確に理解できたので、次は実際の削除方法について具体的に見ていきましょう。

Copilotの履歴は削除できる?【種類別に解説】

履歴削除とひとことで言っても、利用しているCopilotの種類によって「消せる履歴」と「消せない履歴」が異なります。検索画面上では削除できても、アカウントやシステムに残るケースもあるため、まずは環境別に違いを理解しておきましょう。

Microsoft 365 Copilot(Word/Excel/Teamsなど)

Microsoft 365に統合されたCopilotでは、利用履歴が「アクティビティ履歴」としてMicrosoftアカウントに保存されます。
マイアカウントポータルやプライバシーダッシュボードから削除可能ですが、反映には数日かかることもあります。また法人アカウントでは、管理者が定めた保持ポリシーによって削除が制限される場合があります。

削除は可能だが、完全に消えるわけではなく、システム側に監査用ログが残る点を理解する必要があります。

Copilotアプリ(Windows/iOS/Android)

専用アプリに表示されるチャット履歴は、アプリ上で個別または一括削除が可能です。ユーザーが操作できる範囲は広いものの、あくまで表示上の履歴削除にとどまり、Microsoftアカウントに紐づく利用記録までは消去できません。

見た目上の整理には便利ですが、プライバシー完全保護には不十分です。

Web版 Copilot(Bing連携を含む)

Webブラウザ上で利用するCopilotは、プライバシーダッシュボードで一括削除が可能です。検索履歴や質問履歴もここで管理できます。
ただし、ブラウザキャッシュやセッション情報は別途残るため、完全に消すにはキャッシュクリアやログアウトも組み合わせる必要があります。

ここで整理すると次のようになります。

Copilotの種類削除できる履歴削除方法注意点
Microsoft 365 Copilotアクティビティ履歴(部分的に削除可)マイアカウント/プライバシーダッシュボード法人アカウントでは削除制限あり、監査ログは残る
Copilotアプリ(Windows/iOS/Android)表示上のチャット履歴アプリ上の削除操作UIから消えるだけで完全削除ではない
Web版 Copilot(Bing等)検索・会話履歴プライバシーダッシュボードで一括削除キャッシュやセッション情報は別途対応が必要

つまり、「削除できる履歴」と「削除できないログ」を切り分けて考えることが大切です。個人利用では削除が容易でも、法人利用ではコンプライアンスやセキュリティの観点から残る記録があるため、削除操作だけに依存してはいけません。

 Copilotを業務に取り入れる前に検討すべき点については【Copilotは本当に必要?導入メリット・デメリットと判断基準】でも解説しています。

Copilotの履歴を削除する方法

ここまでで「どこに履歴が保存されるか」「削除できるかどうか」を整理しました。次に、実際に削除する手順を確認していきましょう。環境によって操作画面が異なるため、使っているCopilotに合わせて実施してください。

Microsoft 365 Copilotの履歴削除

Microsoft 365 Copilotで利用した履歴は、マイアカウントポータルまたはプライバシーダッシュボードから削除できます。
主な流れは以下の通りです。

  1. マイアカウント ポータル にアクセスする
  2. 「設定とプライバシー」→「データオプション」を選択する
  3. 「Copilot アクティビティ履歴」から「削除」を実行する

この操作で利用記録を消すことができますが、反映には数日かかることがある点に注意が必要です。また法人アカウントの場合、管理者が設定した保持ポリシーによって削除できないケースもあります。

Copilotアプリ(Windows/iOS/Android)の履歴削除

アプリに表示されるチャット履歴は、アプリ内で個別削除や一括削除が可能です。

  1. 履歴一覧から削除したい会話を選び、「削除」をタップ
  2. 設定画面から「履歴のクリア」を選択

これで画面上の履歴は整理されます。ただし、Microsoftアカウントに紐づくアクティビティ履歴までは削除されない点を押さえておきましょう。

Web版 Copilotの履歴削除

Webブラウザで利用するCopilot(Bing含む)の履歴は、プライバシーダッシュボードからまとめて削除可能です。

  1. Microsoftプライバシーダッシュボード にアクセス
  2. 「アクティビティ履歴」からCopilot関連データを選択
  3. 「削除」をクリックして一括処理

ただし、ブラウザのキャッシュやセッション情報は残ることがあるため、キャッシュクリアやログアウトを合わせて行うと確実です。

削除できないときの対処法

「削除したのに残っている」「ボタンが押せない」というケースでは、次の点を確認してください。

  • 一度ログアウトしてから再ログインする
  • ブラウザやアプリのキャッシュをクリアする
  • 法人アカウントでは、管理者の保持ポリシーにより削除できない場合がある

このように、削除できない場合にはユーザー側の操作ミスだけでなく、組織のポリシー設定が原因であることも多いため、特に法人利用ではシステム部門に確認するのが確実です。

ここまでで削除手順を理解できましたが、「削除すればすべて安心」というわけではありません。次に、知っておきたい注意点を解説していきます。

Copilot履歴削除の注意点

履歴削除の操作自体は難しくありませんが、「削除すればすべてが完全に消える」と考えるのは誤解です。実際にはいくつかの制約や注意点が存在します。ここを理解していないと、あとで「まだ残っていた」「法人で問題になった」というトラブルにつながりかねません。

削除しても反映に時間差がある

マイアカウントやプライバシーダッシュボードから削除操作をしても、実際にMicrosoftのサーバーから反映されるまで数日かかる場合があります。すぐに消えないからといって焦らず、反映待ちが必要です。これはクラウドサービス全般に共通する特性でもあります。

完全削除できない履歴がある

ユーザーが削除できるのは、主に「チャット履歴」や「アクティビティ履歴」に限られます。しかし、監査ログや保持ポリシーによって保存されるデータは、利用者側では削除できません。法人アカウントの場合、管理者がセキュリティ上の理由で履歴を保持していることが一般的です。

削除は復元できない

一度削除した履歴は復元できません。誤って消した場合に戻す手段はないため、「一部は残しておきたい」というニーズがある場合は注意が必要です。必要に応じてエクスポートやバックアップを取ってから削除するのが安全です。

このように、履歴削除には「即時性」「完全性」「復元性」という3つの制約が存在します。つまり削除は万能ではなく、利用環境やアカウント種別によって消せる範囲と残る範囲があることを理解しておくことが大切です。

この点は「【CopilotとGeminiの比較記事】」でも触れていますが、法人導入を検討する際には、削除方法だけでなくデータ管理ポリシー全体を見直す必要があります。

法人利用における履歴管理とセキュリティリスク

個人利用であれば、履歴削除はユーザー自身の操作である程度対応できます。
しかし法人利用の場合、話は別です。履歴は単なる「個人の記録」ではなく、組織の情報資産として管理対象となるため、削除だけでは解決できない課題があります。

管理者による監査ログの保持

Microsoft 365を法人契約で利用している場合、管理者は監査ログを通じてユーザーのCopilot利用状況を確認できる仕組みを持っています。これはセキュリティ監視や内部統制に必要なため、ユーザーが自分で消去することはできません。
つまり、「削除したつもりでも管理者には記録が残っている」ケースがほとんどです。

コンプライアンスと保持ポリシー

企業によっては、情報セキュリティポリシーや法的要件に基づき、一定期間履歴を保持するルールを設けていることがあります。金融・医療・公共分野では、数年間のログ保存を義務づけるケースも少なくありません。
そのため、個人の判断で「履歴を完全に消す」ことは不可能であり、組織レベルでのルール策定が不可欠です。

削除=リスク対策ではない

利用者が気にする「削除」はあくまで見た目の安心感にすぎません。
法人利用ではむしろ、「どの履歴を残すのか」「誰がアクセスできるのか」「どのくらい保存するのか」を定義することが本質的なリスク対策です。

法人でCopilotを導入する際には、「削除できるかどうか」以上に、履歴管理を組織全体のセキュリティ戦略に組み込むことが求められます。

SHIFT AI for Bizの法人向け研修プログラムでは、こうしたCopilot運用に関するセキュリティ設計やポリシー策定についても体系的に学べます。
「履歴削除」から一歩進んだAI活用リスクマネジメントを整えたい企業は、ぜひご活用ください。

Copilotの導入可否を判断するポイントは【Copilotは本当に必要?導入メリット・デメリットと判断基準】でも解説しています。

まとめ:Copilot履歴削除で安心して活用するために

Copilotの履歴削除は、個人利用と法人利用で大きく意味が変わります。

  • 個人利用では、チャット履歴やアクティビティ履歴をユーザー自身で削除可能。ただし反映までに時間差があるほか、削除後の復元はできません。
  • 法人利用では、監査ログや保持ポリシーによって、利用者が自由に消せない履歴が存在します。削除操作だけに頼るのではなく、組織として「どのデータをどう管理するか」を決めることが本当のリスク対策です。

つまり、履歴削除は「安心のための第一歩」にすぎません。真に安全にAIを活用するには、セキュリティとガバナンスを踏まえた運用ルール作りが欠かせないのです。

SHIFT AI for Bizの法人研修では、Copilotをはじめとする生成AIを安全かつ効果的に運用するための知識と実践を体系的に学べます。
「削除できるかどうか」から一歩進んで、AIを組織力に変える仕組みづくりを整えたい企業は、ぜひご活用ください。

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Copilotの履歴削除に関するよくある質問(FAQ)

Copilotの履歴削除については、操作方法だけでなく「本当に消えるのか」「法人で使う場合はどうなるのか」といった疑問が数多く寄せられます。ここでは特に多い質問を整理してお答えします。

Q
Copilotの履歴を削除するとMicrosoft側にも残らない?
A

削除操作を行うと、ユーザーがアクセスできる範囲の履歴は消えます。ただし、監査ログや保持ポリシーに基づく記録はMicrosoft側や管理者の環境に残る可能性があります。個人利用なら大きな問題はありませんが、法人利用では「完全削除」は不可能だと理解しておきましょう。

Q
チャット履歴とアクティビティ履歴の違いは?
A
  • チャット履歴:アプリやWeb画面上に残る会話一覧。削除すれば見えなくなる
  • アクティビティ履歴:Microsoftアカウントに紐づいて保存される利用記録。プライバシーダッシュボードから削除可能

この2つを混同しやすいですが、削除できる範囲が違うため注意が必要です。

Q
削除したはずなのに履歴が残っているのはなぜ?
A

多くの場合、削除反映までの時間差(数日程度)が原因です。すぐに消えないからと焦る必要はありません。また法人アカウントでは保持ポリシーにより削除できない場合もあります。その場合はシステム管理者に確認する必要があります。

Q
法人利用の場合、管理者に履歴が見られる?
A

はい。Microsoft 365では、管理者が監査ログを通じて利用状況を把握できる仕組みがあります。利用者が削除操作をしても、監査ログまでは消えないと理解しておくことが重要です。

Q
削除した履歴を復元することはできる?
A

基本的に復元はできません。誤って削除した場合に戻す手段はないため、必要に応じてエクスポートやバックアップを行ってから削除するのが安全です。

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