「法人でChatGPTを導入したいが、どのプランを選べばいいのか分からない」
そんな声が、情シス部門や企画部門から多く聞かれるようになっています。
個人向けのPlusプランだけでなく、法人利用に特化したTeamやEnterpriseプラン、API連携など、選択肢が増えてきた今、
自社にとって最適なプランを正しく見極めることが、導入成功の第一歩です。
本記事では、以下のような視点でChatGPTの法人導入を検討する方に向けて、
実務で役立つ情報をわかりやすく整理しました。
- ChatGPTの法人向けプラン(Team/Enterprise/APIなど)の違いと比較ポイント
- セキュリティや情報管理の観点で注意すべきこと
- 自社の業務や部門に合った選び方
- 社内への導入プロセスや活用定着のポイント
「選んで終わり」ではなく、「導入して成果を出す」ための視点もあわせてお伝えします。
社内への提案や稟議準備にも活用できる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
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法人でChatGPTを導入する企業が急増している背景
生成AIの進化とともに、ChatGPTの法人利用が急速に広がっています。
「個人が試す段階」から「業務の一部として組み込む段階」へと移行しつつあるのが現状です。
導入が進む背景①:汎用性の高さと即効性
ChatGPTは、営業資料の作成から議事録要約、FAQ生成、コードレビューまで、さまざまな業務に活用可能です。
特別な初期設定や学習期間が不要な点から、「すぐに成果が見えやすい」という特徴が評価されています。
導入が進む背景②:現場からの“ボトムアップ”需要
多くの企業では、情シス部門やDX推進担当者だけでなく、現場の担当者からも導入ニーズが高まっています。
「業務効率を上げたい」「人手不足を補いたい」といった現場の課題解決ツールとして、
生成AIが現実的な選択肢となり始めているのです。
導入が進む背景③:リスク対策が整ってきた
かつては懸念された情報漏えいや誤生成のリスクも、
「Enterpriseプラン」などでセキュリティ機能が強化され、法人利用に耐えるレベルになってきました。
SSO(シングルサインオン)やプロンプトログ管理、データの学習除外などが可能となり、ガバナンス上の不安も徐々に解消されつつあります。
導入が進む背景④:他社もすでに動いている
競合企業や同業他社がChatGPTを導入し、業務の自動化・効率化で成果を出しているという話も少なくありません。
出遅れによる機会損失を避けるためにも、今こそ検討・実装を進める企業が増えています。
このような背景から、ChatGPTの法人向け導入は「いつかやるべきこと」ではなく、
今、現実的に着手すべきDX施策のひとつとして認識され始めているのです。
ChatGPTの法人向けプランは主に4タイプ|違いと特徴を整理
ChatGPTには、個人向けを含めて複数の利用プランがあります。
法人で導入を検討する場合、「何ができて、どこまで管理できるのか」を把握することが重要です。
ここでは、ChatGPTの主要な4つの利用形態を紹介し、それぞれの違いを整理します。
①ChatGPTFree/Plus|個人向けベースの基本プラン
用途:小規模な個人利用/社外の情報を扱わない業務向け
項目 | 内容 |
料金 | Free:無料/Plus:月20ドル(約3,000円) |
モデル | GPT-3.5(Free)/GPT-4Turbo(Plus) |
セキュリティ | ログ保存あり/学習への使用あり(オフ設定可能) |
管理機能 | なし(利用者ベース) |
注意点
法人用途での利用には、セキュリティ面でリスクがあります。
情報の学習除外やログ管理が難しく、正式な業務利用には不向きです。
②ChatGPTTeam|中小規模向けのチームプラン
用途:部門単位の導入/小規模なPoCや実証実験に最適
項目 | 内容 |
料金 | 月25ドル/年240ドル(1ユーザー) |
モデル | GPT-4Turbo(高パフォーマンス) |
セキュリティ | チームデータは学習に使われない(既定) |
管理機能 | ワークスペース管理/ユーザー権限設定あり |
特徴
- 少人数のチームで試したい企業におすすめ
- Plusよりも法人利用を前提としたセキュリティ設計
- ユーザー単位での契約だが、一定の管理機能も付属
③ChatGPTEnterprise|本格的な法人利用向けプラン
用途:セキュリティ要件が高い企業/全社導入/高度な管理を要する環境
項目 | 内容 |
料金 | 個別見積もり(要問い合わせ) |
モデル | GPT-4Turbo(無制限利用) |
セキュリティ | SSO対応/エンタープライズレベルのデータ保護/ISO・SOC準拠 |
管理機能 | 組織単位のポリシー設定/プロンプトログ・ユーザー監査機能あり |
特徴
- 機密情報を扱う業務でも利用可能なセキュリティレベル
- ログ取得や利用分析が可能な本格的な統制機能を備える
- 契約・請求も法人対応で稟議プロセスに対応しやすい
④ChatGPTAPI連携(OpenAIAPI/AzureOpenAI)|システム連携用途向け
用途:社内アプリケーションへの組み込み/カスタム開発
項目 | 内容 |
料金 | トークンベースの従量課金(利用量に応じて変動) |
モデル | GPT-4/GPT-3.5ほか(選択可能) |
セキュリティ | 自社インフラに合わせた制御が可能(特にAzure版) |
管理機能 | APIキー管理/アクセス制御可(実装に依存) |
特徴
- 社内システムやLINE、Slackなどとの独自連携が可能
- AzureOpenAIを選べば、日本リージョンでの運用も選択可能
- IT部門のサポートが必須で、開発リソースが必要
主要プラン比較まとめ(差別化ポイント)
プラン | 対象 | セキュリティ | 管理機能 | 特徴 |
Free/Plus | 個人 | 弱い | なし | 非推奨(法人) |
Team | 小規模法人 | 中 | 権限設定あり | 少人数チームでの検証向け |
Enterprise | 大企業 | 強い | ログ・SSO・統制機能あり | 本格導入に対応 |
API連携 | 開発部門 | 高(実装依存) | 自由設計 | 自社サービス組み込みに◎ |
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用途・業務別|どのプランを選ぶべきか?選定フローチャートで解説
「結局、自社はどのプランを選べばいいのか?」
この疑問に答えるために、業務内容や導入目的に応じた選定のポイントを整理しました。
まずはこのフローチャートで全体像を把握
Q1. 社外秘の情報を入力する業務に使いますか?
├─ はい → Q2へ
│ └ Q2. 利用者は数十名以上ですか?
│ ├─ はい → 【Enterprise】がおすすめ
│ └─ いいえ → 【Team】または【API連携】
└─ いいえ → Q3へ
Q3. 自社で既存のシステムと連携したい?
├─ はい → 【API連携】がおすすめ
└─ いいえ → 【Team】または【Plus】
業務別のおすすめプラン例
業務内容 | プラン | 理由 |
営業資料作成/メール文作成 | TeamまたはPlus | 安価に開始でき、セキュリティも最低限確保可能 |
社内FAQの自動生成 | Team | 少人数利用でも共有でき、導入障壁が低い |
機密性の高い社内データ分析 | Enterprise | SSO・ログ管理・データ保護の観点から必須 |
システムにAIチャットを組み込みたい | API連携 | UI不要で柔軟に構築可能/Azure版ならセキュリティも強力 |
ユースケースを社内に提案する際のポイント
- 「セキュリティ基準を満たせるか」は稟議で重要視されやすい
- 管理部門や情シスが懸念しやすい点を事前に比較表で示しておくとスムーズ
- 小規模導入の場合は、TeamプランでのPoC(実証実験)を提案→成果で拡大がベストプラクティス
セキュリティ・管理機能の違いを比較|社内導入時の説得材料にも
生成AIツールの導入時に、必ず問われるのが「情報漏洩リスクはないか?」という点です。
とくにChatGPTはクラウド型AIのため、ログの扱いや外部学習リスクへの配慮が不可欠です。
ここでは、法人向けプランごとのセキュリティ対策や管理機能の違いを整理します。
セキュリティ対策の比較
プラン | 学習除外 | ログ保存 | SSO対応 | ISO/SOC準拠 |
Free/Plus | ユーザー側で設定可 | 保存あり(既定) | × | × |
Team | 既定で除外 | OpenAIが保持 | × | 一部対応 |
Enterprise | 完全除外 | 企業側で管理・監査可能 | ○ | ○(SOC2/ISO27001等) |
API(OpenAI) | 要設定 | 実装依存 | × | × |
API(Azure) | 除外可 | Azureポリシーで制御 | AzureADと連携可 | ○(Microsoft準拠) |
ポイント
- 「社外秘を含む業務」には、EnterpriseまたはAzureAPIが必須
- Free/Plusは情報の社外送信リスクが高いため、社内利用は非推奨
管理機能の比較
プラン | 管理者画面 | 利用ログ閲覧 | ユーザー制御 | ポリシー設定 |
Free/Plus | × | × | × | × |
Team | 簡易あり | × | △(ユーザー招待制) | × |
Enterprise | 管理コンソールあり | ○(監査ログ) | ○(一元制御) | ○(ポリシー適用可) |
API連携 | 実装に依存 | 任意で設計可能 | 任意で設計可能 | 任意で設計可能 |
注意点
- Teamプランでは一部の管理が可能だが、利用ログまでは追えない
- Enterpriseなら、監査証跡(ログ記録)をエビデンスにできる
- 情報システム部門が導入を判断する場合、監査対応の可否が大きな分かれ目
情シスやセキュリティ部門への説得ポイント
- 「データが学習に使われない」ことを明示する
- 「SSOやログ管理でガバナンスが効く」と説明できるプランを選ぶ
- 情報資産の扱いルール(AI利用ポリシー)の整備とあわせて導入を進めると安心感がある
関連記事:生成AIの社内ルールはどう作る?今すぐ整備すべき7つの必須項目と実践ステップを解説
ChatGPT法人導入の成功事例|どのように活用されているのか?
「ChatGPTを導入したとして、具体的に何に使えるのか?」
その疑問に答えるために、実際の企業の活用事例をご紹介します。
業種・規模を問わず、業務の一部に自然に組み込まれつつあるChatGPT。
成果を出している企業では、以下のような使い方がされています。
事例①:SaaS企業|営業文書・FAQの生成に活用
SaaSプロダクトを展開するあるIT企業では、営業チームがChatGPTを使い、
提案書のたたき台やメール文の生成、FAQ回答案の自動化を実現しています。
作成時間が約3分の1に短縮され、提案スピードが加速。
ナレッジ共有にも活用されており、「属人化の解消」にも貢献しています。
事例②:製造業|API連携で社内Q&Aシステムを構築
大手製造業では、AzureOpenAIを使って社内向けのQ&Aボットを開発。
マニュアルや規定集などをベースに、従業員が自然言語で質問できる環境を整備しました。
結果、問い合わせ対応にかかる人件費を年間数千万円単位で削減。
社内のAI活用文化の醸成にもつながっています。
事例③:人材系スタートアップ|稟議資料・スカウト文作成の自動化
人材紹介サービスを展開するスタートアップでは、
ChatGPTでスカウト文・求人票の原案作成、稟議書のドラフト作成などを自動化。
1件あたりの作成工数が大幅に削減され、少人数でも回せる業務量が増加しました。
Teamプランでスモールスタートし、現在はEnterpriseに切り替えて本格活用中です。
導入事例の共通点
- 具体的な業務に紐づけて導入している(目的が明確)
- 最初は小さく導入し、効果を検証してスケールさせている
- セキュリティ・社内ルールの整備も並行して進めている
関連記事:業務で使える生成AIツール10選|部署別の活用例と導入成功のコツも紹介
このように、ChatGPTは「業務効率化」「属人性の排除」「自動化」といった課題に対して、
すでに多くの企業で具体的な成果を上げています。
法人での導入を成功させるポイント|社内展開ステップと落とし穴
ChatGPTを導入しても「使われない」「活用が定着しない」というケースは少なくありません。
ここでは、法人で導入を成功させるためのステップと、よくある落とし穴を整理します。
ステップ①:目的を「業務」に紐づけて明確にする
AI導入の失敗パターンは、「とりあえず入れてみた」というケースです。
そのためには、以下のように明確な目的設定が不可欠です。
- NG例:「話題だから導入したい」
- OK例:「営業資料の作成時間を30%削減したい」
「どの業務のどの課題を解決するか」を言語化し、それを元に選ぶプランも変えていきましょう。
ステップ②:少人数・限定用途でスモールスタート
一気に全社導入せず、チーム単位で試験導入(PoC)から始めるのがベストです。
導入初期は、「成果を出しやすい部門・タスク」に限定するのがコツ。
例
- 営業チームでメール文テンプレートをAIに生成させる
- 管理部門で稟議書のドラフト作成に活用する など
ステップ③:使い方・禁止事項を明文化する
現場での混乱を防ぐため、社内のAI活用ガイドライン・マニュアルを整備しましょう。
導入時点で以下のようなことを決めておくとスムーズです。
- 入力禁止の情報例(顧客データ、機密文書など)
- 使い方の推奨例(マニュアル要約、FAQ生成など)
- 問題が起きた際の連絡先や対応フロー
関連記事:AI活用の社内マニュアルには何を記載すべき?必要な内容・作成手順・失敗例も解説
法人導入でありがちな「落とし穴」
よくある失敗例 | 対策 |
利用目的が曖昧 | 課題とKPIを事前に設定 |
情報漏洩のリスクがある設定 | EnterpriseやAzureAPIでカバー |
利用ルールがない | 社内ガイドラインを整備 |
定着しない | 成果を見える化→他部門展開 |
社内展開を成功させるには、技術面よりも「組織の巻き込み方」がカギです。
特にミドルマネージャー層を味方につけることで、利用定着率が大きく変わります。
まとめ|自社に最適なChatGPT法人プランを選ぶために
ChatGPTを法人で導入する際は、「どのプランを選ぶか」以上に「どう活用するか」が重要です。
まずは解決したい業務課題を明確にし、そのうえでセキュリティや管理機能、拡張性などを軸に選定しましょう。
プラン選びのポイントおさらい
- セキュリティが重要→EnterpriseorAzureOpenAI
- まず試したい→ChatGPTTeamプランでスモールスタート
- 柔軟に組み込みたい→API活用(OpenAI/Azure)
- 社内定着を狙う→利用ルール・研修をセットで整備
社内展開・定着までを見据えた導入を
ツールを導入しただけでは、業務は変わりません。
使い方のガイドライン整備や研修、ユースケースの提示があって初めて、社員の活用が進みます。
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「社内展開に使える研修資料がほしい」という方は、上記リンクから資料ダウンロードをご覧ください。
- QChatGPTの法人向けプランと個人向けプランの違いは何ですか?
- A
法人向けプラン(Team・Enterprise)は、セキュリティ機能や管理機能、SLA対応が強化されています。
特にEnterpriseでは、データが学習に使われない保証やSAMLSSO、監査ログ機能などが提供されます。
- QChatGPTの法人プランは何人から契約できますか?
- A
Teamプランは1名からでも契約可能で、月額料金制です。
Enterpriseは契約人数や要件に応じてカスタム対応となります。10名以上での利用が目安です。
- Q機密情報を入力しても安全ですか?
- A
EnterpriseプランやAzureOpenAIを利用すれば、データがモデルの再学習に使われることはなく、安全性が高いです。
ただし、社内ルールで「入力してよい情報・ダメな情報」を明示することも重要です。
- Q社員がChatGPTを使いこなせるか不安です…
- A
多くの企業で社内研修やマニュアル整備による活用定着が進められています。
SHIFTAIでは、研修パッケージやユースケース共有支援も行っていますので、まずは資料をご確認ください。
- QAPI連携で独自の社内ツールに組み込むことはできますか?
- A
はい、可能です。OpenAIAPIやAzureOpenAIを使えば、社内ナレッジベースや業務ツールと連携した独自アプリを構築できます。
セキュリティポリシーに応じた設計もできるため、柔軟に導入可能です。
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