これまで多くの企業では、損益分岐点の計算を、Excelで手作業で行うのが一般的でした。しかし近年では、生成AIの進化により、誰でも損益分岐点を自動で作成できる時代が到来しています。
本記事では、AIで損益分岐点を作成する方法について解説します。
なお、SHIFT AIでは、生成AIの利用を支援いたします。損益分岐点の作成について経営課題を感じている方は、まずは無料相談をご利用ください。
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損益分岐点とは

損益分岐点とは、事業が「利益ゼロ・損失ゼロ」となる売上の水準のことです。つまり、売上がこの水準を超えると利益が出て、下回るとマイナスになるという指標です。経営判断を行ううえで、損益分岐点を把握することは非常に重要です。
特に、プロジェクトを立ち上げる際には、「どのくらい売り上げれば利益になるのか」を事前に推測する必要があるため、損益分岐点の計算は、経営の出発点となります。
損益分岐点の作成に必要な項目

損益分岐点を求めるには、次の項目が必要です。
・固定費
・変動費
・売上
・将来の売上目標
それぞれの項目についてご説明します。
固定費
固定費とは、売上に関係なく毎月必要な費用のことです。たとえば、家賃や人件費、システム利用料などが該当します。たとえ売上がゼロでも発生するため、損益分岐点の計算では最初に把握しておきたい要素です。
変動費
変動費とは、売上に応じて変化する費用です。たとえば、交通費などが該当します。売上が増えると変動費も増えるため、利益率を把握するうえでも欠かせない項目です。
売上
損益分岐点を算出するには、売上の把握が必要です。売上の内訳を「1商品を販売したときの金額」として整理しておくことで、AIに計算を依頼する際もスムーズに進めることができます。
将来の売上目標
1つの商品の売上を把握したら、将来の目標売上を明確にしていきます。いつまでにどれだけの売上を伸ばしたいのかを明確にすることで、損益分岐点を作成できます。
AIで損益分岐点を作成する
AIを利用して、次のように損益分岐点を作成します。
・項目の数字を決める
・AIに表の作成を依頼する
・損益分岐点を確認する
それぞれご説明します。
項目の数字を決める
まずは、次のように項目の数字を記載します。
固定費 | 150万 |
変動費 | 0円 |
売上 | 200万 |
2年後 | 200万の売上 |
固定費は、人を雇用しているため、月150万円が必要です。変動費は、交通費などが該当しますが、今回は0円と考えます。1つの商品を販売した場合、200万円の売上があります。2年後に200万円の売上があることを想定して、計算してみます。
AIに表の作成を依頼する
AIに「下記で損益分岐点を作成して」と指示すると、損益分岐点を作成できます。
固定費 | 150万 |
変動費 | 0円 |
売上 | 200万 |
2年後 | 200万の売上 |
年月 | 売上高(万円) | 変動費(万円) | 限界利益(万円) | 固定費(万円) | 営業利益(万円) | 損益分岐点売上高(万円) |
1ヵ月目 | 8.33 | 0 | 8.33 | 150 | -141.67 | 150 |
2ヵ月目 | 16.67 | 0 | 16.67 | 150 | -133.33 | 150 |
3ヵ月目 | 25 | 0 | 25 | 150 | -125 | 150 |
4ヵ月目 | 33.33 | 0 | 33.33 | 150 | -116.67 | 150 |
5ヵ月目 | 41.67 | 0 | 41.67 | 150 | -108.33 | 150 |
6ヵ月目 | 50 | 0 | 50 | 150 | -100 | 150 |
7ヵ月目 | 58.33 | 0 | 58.33 | 150 | -91.67 | 150 |
8ヵ月目 | 66.67 | 0 | 66.67 | 150 | -83.33 | 150 |
9ヵ月目 | 75 | 0 | 75 | 150 | -75 | 150 |
10ヵ月目 | 83.33 | 0 | 83.33 | 150 | -66.67 | 150 |
11ヵ月目 | 91.67 | 0 | 91.67 | 150 | -58.33 | 150 |
12ヵ月目 | 100 | 0 | 100 | 150 | -50 | 150 |
13ヵ月目 | 108.33 | 0 | 108.33 | 150 | -41.67 | 150 |
14ヵ月目 | 116.67 | 0 | 116.67 | 150 | -33.33 | 150 |
15ヵ月目 | 125 | 0 | 125 | 150 | -25 | 150 |
16ヵ月目 | 133.33 | 0 | 133.33 | 150 | -16.67 | 150 |
17ヵ月目 | 141.67 | 0 | 141.67 | 150 | -8.33 | 150 |
18ヵ月目 | 150 | 0 | 150 | 150 | 0 | 150 |
19ヵ月目 | 158.33 | 0 | 158.33 | 150 | 8.33 | 150 |
20ヵ月目 | 166.67 | 0 | 166.67 | 150 | 16.67 | 150 |
21ヵ月目 | 175 | 0 | 175 | 150 | 25 | 150 |
22ヵ月目 | 183.33 | 0 | 183.33 | 150 | 33.33 | 150 |
23ヵ月目 | 191.67 | 0 | 191.67 | 150 | 41.67 | 150 |
24ヵ月目 | 200 | 0 | 200 | 150 | 50 | 150 |
損益分岐点を確認する
18ヵ月目を確認すると、0円になっています。ここが損益分岐点となります。つまり、現状の150万の固定費で運営する場合、18ヵ月目でプラスに転換するということです。この数値を見ることで、固定費が高いと思う場合は、費用を抑えた運用が必要となります。
AIで損益分岐点を見つけよう
損益分岐点は、最低限クリアすべき売上ラインを明確にしてくれる指標です。これまで、エクセルでの計算や手作業による表作成には時間を必要としていましたが、生成AIを利用することで、誰でも損益分岐点を見つけられるようになっています。
生成AIは、条件に応じて損益分岐点を計算し、表にまとめてくれます。これにより、経営判断がしやすくなり、チーム内での共有もスムーズになります。
AIを使えば、状況に応じた損益分岐点を試算できます。たとえば「固定費を100万円にした場合はどうか」など、試算の幅が広がります。
なおSHIFT AIでは、貴社のAIによる損益分岐点の作成をサポートしています。「まずは情報収集から始めたい」「自社に合うAI経営の方法を知りたい」──そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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